5号館を出て

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雑種のサンショウウオが暴れまくっている

 今日のPNASに出た論文ですが、早速ナショナルジオグラフィックニュース(日本語版、英語版)に取り上げられていました。

混成種サンショウウオが在来種の脅威に

Hybrid "Superpredator" Invading California Ponds

 英語のタイトルにある "Superpredator" (スーパー・プレデター)が日本語だと「脅威」になってしまっていますが、イマイチその恐ろしさのニュアンスが伝わってきませんね。「雑種の超プレデターがカリフォルニアを震え上がらせている」くらいの訳がいいかもしれません。

 原著論文はこちら Invasive hybrid tiger salamander genotypes impact native amphibians です。オープンアクセスですので、どなたでも読めます。
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 初めて知ったのですが、アメリカではバス釣りの生き餌としてサンショウウオの幼生を使うのだそうで、バス釣りの餌販売業者がテキサスから大量のサンショウウオ(ヨコシマ・タイガー・サラマンダーAmbystoma tigrinum mavortium)を、60年ほど前から運び込んでいるものが、カリフォルニアで生き延びているようです。地元にはもともと近縁種のサンショウウオ(カリフォルニア・タイガー・サラマンダーAmbystoma californiense)がいたのですが、そちらは絶滅危惧種に指定されるほど数が減っている反面、なんと雑種がどんどん増えているとのこと。

 この雑種というのが、写真で見るとわかりますが巨大で毒々しい模様をもっており、カリフォルニア・タイガー・サラマンダーを初め、カエルやイモリの幼生も食べまくっているようです。
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 左端Aが在来種で最大のもの、Bが最小のもの。Cが雑種で最小のもので、Dが雑種で最大のものです。すごい迫力ですね。欲しい気もします(笑)。EとFが食べられるイモリとカエルのオタマジャクシです。

 雑種でなくとも、サンショウウオは幼生も成体も肉食で、共食いもすれば、他の動物も食べるとは思いますが、この雑種がひときわどう猛で生命力が強いので目立つのかもしれません。まあ、昔から「雑種強勢」という現象も知られており、そういう意味で強いということなのかもしれません。
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 この写真は、左端が在来種で、右端が移入種、その間に20代以上続いた雑種(E)、F1(D)、F2(C)、在来種と雑種の戻し交配(B)、移入種と雑種の戻し交配(F)が並んでいます。ちょっと不謹慎ですが、かわいいですね。

 移入種問題はいつも悩みの種ですが、これももう60年以上も続いてこうなったというのであるならば、もはやどうにかできるというものではないように思います。

 原因を作ったのはここでも人間なのですが・・・。
Commented by ぜのぱす at 2009-06-30 22:26 x
元論文をまだ見ていませんが、これって、雑種が、一代雑種に限らず、雑種間で世代を重ねて、『新種』として、生き延びていると云うことですか?
Commented by stochinai at 2009-06-30 23:55
 「20代以上続いた雑種」というような書き方をしていますので、そういうことだと思います。かなり近縁だということなのでしょうか。
Commented by wak-yam at 2009-07-06 18:18 x
タイミング良く、京都市内で外来種または外来種との交雑のオオサンショウウオが見つかったと言う記事を朝日新聞の紙面でみかけました。6日付でインターネット版にも出ていました(http://www.asahi.com/eco/OSK200907030083.html、:を全角にしています)。この記事で取り上げられている松井教授の結果からすると、事態は相当深刻ですね。
Commented by stochinai at 2009-07-06 18:43
 これからどうするんでしょうね。「全頭検査」して、外来種と雑種を一匹ずつ処分するんでしょうか。記事を読むと、もう無理なところまできているように思えますが・・・・。
by stochinai | 2009-06-30 21:53 | 生物学 | Comments(4)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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