2009年 07月 03日
前途有望な科学者が忽然と消えた
私も気になっていたのですが、マージー・プロフェット(Margie Profet)という研究者のことがニュースになっていました。

彼女のことは、私の本「進化から見た病気」にも名前入りで取り上げてありますが、つわり、menstruation、アレルギーなどなければないに越したことはないと思われている不快な症状(「病気」)にも進化から見て適応的なヒトを守る役目があると主張した女性科学者です。
こうした研究を発表したのが1990年代の初めのまだ若い時だったために、天才少女として一躍アメリカ中で評判になり、専門論文以外にも次のような一般書籍がベストセラーにもなったり、国から奨学金や研究費をもらったり、大衆雑誌にもたびたび取り上げられたりして、一時は時代の寵児ともてはやされていたようです。
Pregnancy Sickness: Using Your Body's Natural Defenses To Protect Your Baby-to-be (Paperback)
つわり:生まれてくるあなたの赤ちゃんを守るために自分のからだの力を使おう
ところが、2000年を越えるあたりからぱったりと論文も見なくなり、彼女の話すら聞くことがなくなっていたのですが、いきなりディスカバリーチャンネルのニュースでこんな記事が飛び込んできてびっくりしました。
Scientist Disappears Without a Trace (科学者が忽然と消えた)
June 30, 2009
これだと、生きているのか死んでいるかすらわからないというような記事なのですが、WEEKLY SCIENTISTという渋いウェブサイトに、「その後のマージー」に関する長編のルポが載りました。このサイトの副題がNEWS ABOUT SCIENCE THAT'S FREQUENTLY UNREPORTED, OFTEN UNPUBLISHED, AND ALWAYS UNIQUE(報道されないユニークな科学記事のニュース)です。
THURSDAY, JULY 2, 2009
Margie Profet's Unfinished Symphony
A Promising Scientist Vanishes Without a Trace
A Weekly Scientist Exclusive Report
By Mike Martin
マージー・プロフェットの終わらないシンフォニー
嘱望されていた科学者が跡形もなく失踪した
ディスカバリー・チャンネルの記事では、よくわからなかったのですが、さすがにこちらの記事では何人もの関係者に会って緻密に取材しています。昔の大学関係者、友達、親族、そしてパートナーまで見つけて話を聞いた結果、彼女の全体像が見事に浮き上がってきています。
もともと生物出身ではなかった彼女は、一連の仕事でセンセーションを巻き起こした後、どうやらもとの数学や哲学の研究に戻ったようなのですが、そちらの研究の内容はあまりわかりません。ただ、たくさんの人の話を総合すると、天才的な資質を持っていた彼女はどうやら最初から精神的な問題も抱えていたようで、躁鬱的だったと見る人や典型的な統合失調症だったという人もあり、現在は表に出ずに引きこもっているということのようです。
たとえ悲惨な状況に追い込まれていたとして、なんとか生きているようでちょっとほっとしましたが、やはり常人とは異なる鋭い思考をするような人にはこうしたエピソードもなんとなく納得できるような気がします。
以下のサイトで、彼女がダーウィン医学関連でもてはやされていた頃の記事が読めますので、ご参考までに引用しておきます。
A Radical New View of the Role of Menstruation (New York Times)
Margie Profet: Evolutionary Theories for Everyday Life (Scientific American)
"School isn't my kind of thing" (Time)
A curse no more (People Magazine)
Are periods a protection against men? (New Scientist)
Margie Profet: Co-Evolution (Omni)
彼女のことは、私の本「進化から見た病気」にも名前入りで取り上げてありますが、つわり、menstruation、アレルギーなどなければないに越したことはないと思われている不快な症状(「病気」)にも進化から見て適応的なヒトを守る役目があると主張した女性科学者です。
こうした研究を発表したのが1990年代の初めのまだ若い時だったために、天才少女として一躍アメリカ中で評判になり、専門論文以外にも次のような一般書籍がベストセラーにもなったり、国から奨学金や研究費をもらったり、大衆雑誌にもたびたび取り上げられたりして、一時は時代の寵児ともてはやされていたようです。
Pregnancy Sickness: Using Your Body's Natural Defenses To Protect Your Baby-to-be (Paperback)
つわり:生まれてくるあなたの赤ちゃんを守るために自分のからだの力を使おう
ところが、2000年を越えるあたりからぱったりと論文も見なくなり、彼女の話すら聞くことがなくなっていたのですが、いきなりディスカバリーチャンネルのニュースでこんな記事が飛び込んできてびっくりしました。
Scientist Disappears Without a Trace (科学者が忽然と消えた)
June 30, 2009
これだと、生きているのか死んでいるかすらわからないというような記事なのですが、WEEKLY SCIENTISTという渋いウェブサイトに、「その後のマージー」に関する長編のルポが載りました。このサイトの副題がNEWS ABOUT SCIENCE THAT'S FREQUENTLY UNREPORTED, OFTEN UNPUBLISHED, AND ALWAYS UNIQUE(報道されないユニークな科学記事のニュース)です。
THURSDAY, JULY 2, 2009
Margie Profet's Unfinished Symphony
A Promising Scientist Vanishes Without a Trace
A Weekly Scientist Exclusive Report
By Mike Martin
マージー・プロフェットの終わらないシンフォニー
嘱望されていた科学者が跡形もなく失踪した
ディスカバリー・チャンネルの記事では、よくわからなかったのですが、さすがにこちらの記事では何人もの関係者に会って緻密に取材しています。昔の大学関係者、友達、親族、そしてパートナーまで見つけて話を聞いた結果、彼女の全体像が見事に浮き上がってきています。
もともと生物出身ではなかった彼女は、一連の仕事でセンセーションを巻き起こした後、どうやらもとの数学や哲学の研究に戻ったようなのですが、そちらの研究の内容はあまりわかりません。ただ、たくさんの人の話を総合すると、天才的な資質を持っていた彼女はどうやら最初から精神的な問題も抱えていたようで、躁鬱的だったと見る人や典型的な統合失調症だったという人もあり、現在は表に出ずに引きこもっているということのようです。
たとえ悲惨な状況に追い込まれていたとして、なんとか生きているようでちょっとほっとしましたが、やはり常人とは異なる鋭い思考をするような人にはこうしたエピソードもなんとなく納得できるような気がします。
以下のサイトで、彼女がダーウィン医学関連でもてはやされていた頃の記事が読めますので、ご参考までに引用しておきます。
A Radical New View of the Role of Menstruation (New York Times)
Margie Profet: Evolutionary Theories for Everyday Life (Scientific American)
"School isn't my kind of thing" (Time)
A curse no more (People Magazine)
Are periods a protection against men? (New Scientist)
Margie Profet: Co-Evolution (Omni)
by stochinai
| 2009-07-03 21:24
| ダーウィン医学
|
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