5号館を出て

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沈丁花

 関東地方の方から、沈丁花の花を送っていただきました。北海道(札幌)には、おそらくない木だと思います。たとえあったとしても花は咲かないでしょう。

 歌や小説などには良く出てくる花で、名前だけは知っていたのですが、実際に見てこの香りをかいだのは初めてだと思います。だと思う、というのはこの香りはまったく知らない香りではなく、なんとなく懐かしい気がするのは、香料などにも使われているからでしょうか。

 石川さゆりの歌う「沈丁花」は、結構好きでした。

   降りしきる雨の吐息に
   濡れて傾く沈丁花

 部屋のどこにあるのかわからないくらいの距離からほのかに香りがただよってくると、和服の粋なちょっと年増のお姉さんを思い起こさせてくれるような、なんとも色気のある香りだと思います。

 そう言えば、小学生に上がるより前、ものごころがつくかつかないかの幼少の頃、家の近くにあった材木置き場で遊んでいて、高く積まれた材木から降りられなくなって泣いていた私を、抱いて下ろしてくれた見ず知らずの和服のお姉さんがとても良い匂いの人だった、というような甘酸っぱい記憶もよみがえってきました。匂いによる記憶の覚醒作用には、すごいものがあります(^^;)。

 本州では早春の花なのですね。北海道でいうと、雰囲気はカルミアやシャクナゲにちょっと似た感じかもしれませんが、花はずっとずっと小さく可憐です。北国の厳しい春には似合わないかもしれません。

 札幌の春は、雪が融けるとすぐに咲き出すクロッカスと、エゾムラサキツツジが特徴かもしれませんが、どちらも特に香りのある花ではないと思います。 

 毎年、沈丁花の香りで春を知る本州の人と、半年ぶりに見る黒い土の香りを嗅いで春を知る我々北海道人が異なる情緒の人間になってしまうのは、仕方がないかもしれません。

 だからと言って、必ずしも粗野な人間が多いというわけではないと思うのですが、どうでしょうか。

#今日もまた全国ニュースになってしまった北大です。今朝の9時に大学前とホームページで同時に発表される予定だった入試合格者のリストが、どうやらホームページでは昨夜からアクセス可能になっていたようです。リンクさえ張っていなければ見られることはないと思っていたのかも知れませんが、アドレスを直接打ち込んだらアクセスできるってことを理解していなかったことが原因のようです。ITオンチと言われても仕方のない失態ですが、またまた減点ですね。ははは。
Commented by tama at 2005-03-24 00:39 x
関西出身の私ですが、沈丁花は昔から実家の庭に植えてありました。近づきすぎるときついにおいですが、春先にどこかから香ってくるような時には何とも言えずうれしくなり、懐かしい気持ちにもなります。においが記憶と強く結びついているということは、自分でもよく実感します。
今私は北海道に住んでいるのですが、こちらにはないのですか、、、ちょっと寂しいですね。
Commented by stochinai at 2005-03-24 14:45
tamaさん、コメントありがとうございます。
 キンモクセイと孟宗竹の竹林は、大学院生になって本州以南での学会に行くようになってから知った異国情緒でした。沈丁花はこの年になって、初めて本物を見ました。
 本州にあるものでこちらにないものもたくさんありますが、こちらにしかないものもたくさんあります。そのうち、向こうに帰ってから無くて寂しく思うものも出てくると思いますよ。
 北海道も楽しんでください。
by stochinai | 2005-03-23 21:50 | つぶやき | Comments(2)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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