5号館を出て

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e-patients と参加型医療

 闘病記を活用し、多くの人の闘病体験を共有する医療情報サービス「TOBYO」を開発している会社が運用しているブログがあります。

 TOBYO開発ブログ

 ネット上には、たくさんの方の闘病記録が日々蓄積され続けています。運悪く患者になった方の中には、病気やその治療法に関する情報を得るために精力的にネットを利用されている人がたくさんおられるようです。さらに進んで、ご自分の闘病体験をネットに記録なさっている方も多く、そういう方の記録は時には医療関係者から得られる情報よりも他の患者さんの力になることもあるようです。

 そうしたネット上に作られた「体験コンテンツを可視化し、共有し、活用する」ために作られた新しい医療情報サービスが「TOBYO」(闘病)ということだそうです。

 そのTOBYO開発ブログに、非常に興味深い情報が掲載されました。

参加型医学(Participatory Medicine)

 ネット先進国のアメリカでは、何年も前から患者も参加する医療を標榜する動きがあるようで、残念ながら2006年に亡くなってしまったTom Fergusonという人を中心に現在もブログサイトが活動しています。

e-patients.net

 2007年にはe-patients白書も出版されています。
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 こうした運動から発展して、患者も医療行為に参加する重要メンバーであることを訴える団体もできているのには驚きました。

Society for Paricipatory Medicine (参加型医療協会)
Participatory Medicine is a cooperative model of health care that encourages and expects active involvement by all connected parties (patients, caregivers, healthcare professionals, etc.) as integral to the full continuum of care.

参加型医療とは、病気にかかわっている関係者全員(患者、患者の世話をする人、ヘルスケアの専門家なども含めた)全員が、当事者として協調しながら医療行為にに積極的に参加していく医療モデルである。
 この協会が、この10月には Journal of Participatory Medicine という「専門誌」までも発刊する運びとなったということです。この雑誌は、オンラインでのみ提供されるオープン・ジャーナル・システムで、ブリティッシュ・コロンビア大学、サイモン・フレーザー大学、それにスタンフォード大学が非営利で運用します。もちろん、オープン・アクセス・ジャーナルで購読は無料です。経費については、投稿者から取るとも書いてありませんので、どうなるかはちょっとわかりませんが、お金のない人に負担を強いるものにはなっていないことを願わずにはいられません。

 がんなどの難しい病気にかかった患者さんの中には、インターネットを駆使したりすることで、専門が原著論文にもアクセスする人がいると聞きます。今回刊行される雑誌は、そうした患者の方をも読者として想定されて書かれることになるでしょうから、参加型医療を推進するための「場」となることも期待されます。

 ブログサイトができ、協会ができ、さらには雑誌が出るというふうに着々と進んでいる様子を見ていると、たとえ一部ではあっても「医療文化」にも確実な変化が起こり始めていることを感じます。

 患者も参加する医療。日本でも出てくるでしょうか。冒頭のブログから、現在の日本の状況を表している部分を引用しておきます。
特に日本ではネット医療情報提供サービスが質量ともにきわめて貧弱な現状がある。だが、そもそも「完全に正しい医療情報」など、誰も提供することはできないはずだ。これは医療者でさえそうである。「ネット上の医療情報」といえば、すぐに「不完全情報の危険性」や「情報規制」という短絡発想が反射的に立ち上がるような、そんな認識呪縛やバイアスやクリシェから、そろそろ自由になってもよいのではないか。
 まったく同感です。
Commented by こーた at 2009-10-01 00:29 x
同感です。googleやスマートグリッドなどの発想を見ていると、なんて自由で多様なんだろうと思います。もちろん、責任も伴うのでしょうが、日本にもそんな社会になる日がくるのしょうか?
by stochinai | 2009-09-30 20:15 | 医療・健康 | Comments(1)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai