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マダガスカル島でミステリー・クレイフィッシュが野生増殖中

 甲殻類関係の専門誌であるJournal of Crustacean Biologyの最新号、Journal of Crustacean Biology 29(4):562-567. 2009に、アフリカのマダガスカル島で単為生殖する移入種のザリガニが増えているという論文が出ていました。

Journal of Crustacean Biology 29(4):562-567. 2009
doi: 10.1651/08-3125.1

Parthenogenetic Alien Crayfish (Decapoda: cambaridae) Spreading in Madagascar

Tadashi Kawai, Gerhard Scholtz, Shinsuke Morioka, Fihaonantsoa Ramanamandimby, Chris Lukhaup, and Yukio Hanamura


 おもしろいことに筆頭著者のカワイさんというかたは、なんと日本の北端の町の稚内にある水産試験場の研究者のようです。稚内とアフリカのマダガスカルをつなぐリンクにも興味がわく論文です。しかし、共同研究者につくばにある国際農林水産業研究センターの方がいらっしゃるので、鍵はそのあたりにあるのかもしれません。

 さて、件の単為生殖するザリガニがミステリー・クレイフィッシュであるかどうかは論文の写真を見ると、ほぼ間違いないと感じられます。
マダガスカル島でミステリー・クレイフィッシュが野生増殖中_c0025115_19575268.jpg
 調べてみると、私のところでもミステリー・クレイフィッシュを写真入りで、何度も何度も取り上げていますので、比べていただければ、なるほどと思われることでしょう。

ミステリー・クレイフィッシュ2005-08-26 22:24
ミステリークレイフィッシュ繁殖中2005-11-07 21:37
ミステリー・クレイフィッシュ孵化2005-11-14 19:28
ミステリー・ザリガニ増殖中2006-04-26 20:30
子どもが卵を産んだ2006-05-24 20:11
憲法までも強行採決するのだろうか2007-04-12 21:37
真夜中のミステリー2008-05-15 23:50
晩秋の駐輪場2008-11-08 23:48

 見た目や外部形態や生殖方法だけでは、これが本当にドイツのペット・ショップで発見されて、日本でもホームセンターなどでも売られるほど広まっている「ミステリー・クレイフィッシュ」と同じものかどうかは断定できないというわけで、それをDNAで調べた論文もありました。なんと Biological Invasion などという専門誌があるのですね。

Biological Invasions
Volume 11, Number 6 / 2009年6月:1475-1482

The perfect invader: a parthenogenic crayfish poses a new threat to Madagascar’s freshwater biodiversity

Julia P. G. Jones, Jeanne R. Rasamy, Andrew Harvey, Alicia Toon, Birgit Oidtmann, Michele H. Randrianarison, Noromalala Raminosoa and Olga R. Ravoahangimalala


 タイトルで、パーフェクト・インベーダーと呼ばれているのがこのザリガニです。遺伝子を調べることによって、このザリガニが間違いなく、我々がミステリー・クレイフィッシュと呼んでいるものだということが結論されています。

 それにしても、このザリガニが見つかったのは現地の市場で食料として売られていたことがきっかけだったそうですので、現地ではもはや食べ物として認識されるほどポピュラーになっているということなのでしょうね。

 まあ、場所がマダガスカルという希少種の宝庫ですので、移入種問題といっても日本の場合などとはケタが違う大問題だとは思うのですが、おそらく現地の人にとっては食用以上のなにものでもなく、どんどん増えくれるのは大歓迎で、中には積極的に増やそうと思っている人もいるかもしれません。

 論文では、このザリガニは基本的に草食なので現地での米の生産に問題が起こるかもしれないと書かれていますが、おそらくそういう説明では現地の人を説得して駆除することは難しいのではないかと思われます。日本だって、昔はアメリカザリガニとかウチダザリガニを国を挙げて輸入していたのですから、マダガスカルの人を無知と笑うことなどできないと思います。

 さて、どうしたものでしょうね。
Commented by ぜのぱす at 2009-10-14 21:18 x
『見た目や外部形態や生殖方法だけでは、・・・・・・・・DNAで調べた論文もありました。』 ← 文脈変ですよ。

前にも書きましたが、遺伝学の良い実験材料になり得る生き物ですね。密かにこいつのファンです。


Commented by stochinai at 2009-10-14 23:11
 すみません。頭の中ではロジックはつながっているつもりだったのですが、私の悪い癖である、「お経のように読点のない文章」になってしまってました。
by stochinai | 2009-10-14 20:15 | 環境 | Comments(2)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai