5号館を出て

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細密画としての自然

 今日の夕方に撮った、電灯に照らされた黄葉または紅葉したナツツバキの葉です。ナツツバキは丈夫な木でなんの手入れもしていないのに毎年たくさんの花を咲かせてくれます。また、仏教では重要な沙羅双樹にちなんでシャラノキ(娑羅樹)というありがたい別名を持った木でもあります。
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 私が植物や動物の写真を好んで撮る理由の中に、どんなに下手な写真でも、撮影された対象には世界最高技術の細密画にも勝る細部が「描き込まれている」ことに安心できるからということがあります。

 つまり、動物や植物を撮影した写真は、私にとっては限りなくきめ細かなディテールが書き込まれた細密画と同じ存在なのです。たとえ、ピンぼけであったとしても、そこには決して手が抜かれていない本物が存在しているという安心感を感じることができます。
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 今年もホオズキが勝手に芽吹き実を付け、きれいに色づきました。

 ホオズキの実を包む袋が腐り始めて葉脈だけになると、いわゆる「網ホオズキ」になります。春になって雪が解けるとその下からたくさん出てきます。(これは2007年4月15日のブログで使ったものです。)
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 葉脈は秋のうちからむき出しになり始めるんですね。
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 こういう自然の限りない精密性を思うたびに思い出すビデオがあります。

 「POWERS OF 10 (10のべき乗世界)」という動画で、我々が生きているこの世界を指数的に10分の1ずつ縮小して見ていって、やがては宇宙の果てまで行ってしまうのですが、今度はそこから10倍ずつに拡大していって、最後は素粒子の世界にまで突入するという、自然界の階層性を実感するための最強の教育映画のひとつです。

 YouTubeにもあります。一度はみておくべきものだと思いますし、教育関係者の方には是非とも有効に使っていただきたいと思います。



 放送大学で使われたらしい日本語字幕つきのものもあります。
Commented by ぢゅにあ at 2009-10-18 23:49 x
ビデオを見てたらうしろからだんなに、高校生のときに見たよ、と声をかけられました。私も以前見た記憶がありますが、そんなに古いものだとは知りませんでした。30年前にしてこの画像、すごいですよね。
100万光年でストップしたときのナレーションが感動的です。
Commented by stochinai at 2009-10-19 07:05
 自然科学教育に対する、教える側の「姿勢」の違いをまざまざと見せつけられる例だと思います。そして、30年たってもその状況がほとんど違っていないことは、たとえば高校や大学の生物学で使っている教科書の違いを見れば一目瞭然です。よく言われるように教育者する人の社会的地位の低さも原因のひとつなのかもしれません。
by stochinai | 2009-10-18 22:02 | 科学一般 | Comments(2)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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