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ゲリラと正規兵:状況はどちらに味方するか

 「踊る新聞屋-。」さんが忙しさの合間を縫って精力的にエントリーを書いてくれています。これは踊る新聞やさんの今日のエントリー「正規兵はゲリラにはなれない」に刺激されて書いているトラックバック・エントリーです。

 ここのところ、プロのジャーナリスト(マスコミ屋さん)正規兵とブログ・ゲリラがネット上で敵味方のはっきりしない戦いを繰り広げている雰囲気があります。確かに敵味方ははっきりしないのですが、ゲリラの方には正規軍の存在意義を評価する意見がほとんどないのに対して、ブログをやっているプロの方々の中はブログをはじめとする新しいメディアに対する評価が真っ二つに分かれていることが、とても興味深い現象です。

 逆に見ると、このことこそが旧ジャーナリズムが崩壊あるいは大きな変化を受けつつあることの証拠と言えるのではないでしょうか。

 旧体制の現役メンバーでありながらもネット上に姿を現し、ブログ上に散在する多くのゲリラ兵を「正規兵に比べて、力のないものばかりだ」と嘆いていらっしゃる方が、ゲリラ兵ばかりではなく身内からも攻勢を受けています。

 アンシャン・レジームから、ネットの世界に乗り込んできて失望している人たちの気持ちも理解できないわけではありません。私を含めて、ネットの世界でブログを書きつづっている人たちの多くは、プロのジャーナリストから見るとあまりにも稚拙で、一次情報へのアクセスも弱く、「なんでこんなやつらによって、優秀な正規兵によって固められた旧体制が壊されなければならないのか」という怒りとも脱力感ともつかない感情が湧くのは当然とも思えます。

 しかし、そこで大切なのは正規兵とゲリラの力を比較して、「これなら俺たちは負けていない」と判断することではなく、「なぜ、こんなゲリラに俺たちが殺されなければならないのか」さらには「なぜ、こんなゲリラに俺たちが殺されているのだろう」という現実を直視した危機感ではないでしょうか。

 正規兵の人たちの大きな勘違いのひとつがここにあると思います。新聞やテレビなどの旧メディアは、ブログがあろうとあるまいと遅かれ早かれ壊れていくべき状況に追い込まれているのです。つまり、ブログが出てきたせいで旧体制が壊されてきているのではないかという判断が、完全に間違っているのだと思います。実は話は逆で、旧体制が壊れてきているからこそ「何の力もないように見えるゲリラ」が正規兵の理解を越えた驚くべき力を持っているように「見える」というのが実情なのではないかというのが私の意見です。

 その状況の中で、ゲリラ兵には力がないのだから、俺たち正規兵が負けつつあるように見えるのは幻覚にすぎない、いや絶対に負けることはないだろうなどと叫んでも、状況を変える力にはならないということをアンシャン・レジームにいる力を持った上官の皆さんはしっかりと認識していただきたいという気がします。

 また、踊る新聞やさんは「正規兵はゲリラになれない」とおっしゃっていますが、そんなことはありません。ガ島さんのように、本当のゲリラになった元正規兵もいらっしゃいますし、アホな上官を後ろから撃つことができれば現役の正規兵と言えども立派なゲリラの同士です。

 いずれにせよ、アンシャン・レジームが崩壊し、新しいシステムが作られつつあるのが現状であり、その状況の中で自分はどうするのかが問われているかというのが動かしがたい事実だと思います。正規兵であれゲリラであれ問われていることは同じです。

 状況が味方すると、いくら力のある正規軍でもゲリラに負けることもあるのだということを、まだ記憶に残るくらいつい最近も、我々はベトナム戦争で教えらたではありませんか。同じように今、新聞社や放送局がブログに負けることだって十分に高い確率を持った可能性のひとつだと思います。

 状況を見誤らないこと。難しいことですが、それがキーワードだと思います。
Commented by 松岡美樹 at 2005-03-30 02:28 x
初めまして。

既存メディアとブログ、情報発信について
気まぐれに2本ほど書いて見ましたので
トラバお願いしました。

よろしくお願いします。
Commented by stochinai at 2005-03-30 12:24
 松岡さん、TBありがとうございました。

 末永くおつき合い願えると幸いです。よろしくお願いします。
by stochinai | 2005-03-26 23:59 | つぶやき | Comments(2)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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