5号館を出て

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ゴーヤーのエキスが乳がん細胞の増殖を抑え細胞死を促進する

 あちこちでニュースになっています。

 Bitter Melon Extract Decreased Breast Cancer Cell Growth (苦いメロンの抽出物が乳がん細胞の増殖を抑える)

 ビターメロン(苦いメロン)というのが良くわからなかったのですが、調べてみるとなるほど「苦いウリ」、ニガウリ、苦瓜、ゴーヤーのことでした。
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 (C)photoXpress

 ゴーヤーは健康食品としていろいろな効能があることが知られています。血糖値を下げたり、血中の脂肪分を下げる働きは実証されているようですが、ここを見ると、解熱、解毒、下痢治療、糖尿病の血糖値降下、創傷の治癒の促進など、古くからさまざまな用途に使われているようです。

 というわけで、また「民間療法」に近いの話かと思ったのですが、研究者がきちんとした実験をして論文を書いて、がん研究では大御所の雑誌である Cancer Research に載っている論文の話でした。

Published online first on February 23, 2010
[Cancer Research, 10.1158/0008-5472.CAN-09-3438]

Bitter Melon (Momordica charantia) Extract Inhibits Breast Cancer Cell Proliferation by Modulating Cell Cycle Regulatory Genes and Promotes Apoptosis

Ratna B. Ray, Amit Raychoudhuri, Robert Steele and Pratibha Nerurkar


 セントルイス大学の科学者による研究です。ゴーヤーを患者さんに摂取してもらうというようなことではなく、ゴーヤーの抽出物を乳がんと正常乳腺上皮の培養細胞に与えて、その遺伝子発現の変化やアポトーシスと呼ばれる細胞死をチェックするという、オーソドックスなものです。

 その結果、ゴーヤーのエキスで処理された乳がん細胞は細胞分裂の周期が停止して細胞死を起こすとともに、がん細胞を生かし続けるタンパク質の合成を止めたり、細胞分裂を促進する遺伝子を働かなくすることなどを明らかにしました。

 細かいデータに興味のある方は、オンラインでpdfファイルも入手可能ですので、論文に当たっていただくとして、ここでは彼らの結論を示した図を引用しておきます。
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 BMEというのがビター・メロン・エクストラクトで、その効果により細胞分裂が止まり、細胞死が誘導されるという仮説です。

 ただし、このBMEの中のどのような成分がこれらの効果を引き起こすのかということや、さらに大事なことなのですが、身体の中にある乳がんの細胞にも効くのかどうかなどについてはまだまだ研究途上ですので、この結果からすぐにゴーヤーが乳がん治療に適応されるということにはならないと思います。

 でも、ゴーヤーはもともといろいろと身体に良いと言われているものなので、積極的に摂る理由が増えることにはなると思います。いわゆる「希少健康食品」と違って安いところもいいですね。
Commented by リョウ at 2010-02-25 01:02 x
質問ですが、いいですか?
この記事は、ゴーヤの成分を直接細胞に添加しているということですよね?
経口摂取した場合、その成分が消化されてしまうということは無いのですか?この実験のような効果、または類似したことがあるのでしょうか?
Commented by stochinai at 2010-02-25 07:09
 食べた場合に有効成分が分解されずに体内にはいるかどうかというところは大きな問題になるだろうと思います。もしも有効成分が低分子のものだったら、食べても分解されずに吸収される可能性はあると思いますが、今の段階ではまったく予測はできないですね。場合によっては抽出した成分を注射しなければダメということも十分あり得ると思います。
by stochinai | 2010-02-24 19:41 | 医療・健康 | Comments(2)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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