2010年 03月 23日
大きすぎず 小さすぎず
昨夜のNHKの放送記念日特番はほとんどというか2-3分しか見ませんでしたが、その裏でUstreamで流された「激笑 裏マスメディア~テレビ・新聞の過去~」には、結局2時頃まで付き合うことになってしまいました。
NHKというか、旧来のマスメディアのもっとも不得意とするものが、「激突本音トーク」だと思います。「朝まで生テレビ」がそれを打ち破る気配を見せてくれたこともありますが、所詮は一方的垂れ流ししかできない旧メディアの制約から逃れることはできなかったと思います。その結果、朝までつきあって見ていて、他の多くの番組に比べると「ちょっとはマシ」程度に思える意見を聞けたとしても、それはたまたま「運が良かった」程度のことにすぎず、視聴者がリアルタイムで議論の場に刺さっていくことができないということがはっきりした時点で、多くの人はネットへと流れていったのではないかと思います。
テレビとネットの大きな違いは何かというと、そのひとつはテレビではその名前を出すだけでたちまち数万、数十万、数百万の視聴者を集める力のある「有名人」が出てくる一方、ネットではたとえ有名人と言えどもはせいぜいが数千、数万の人を集める程度です。しかし、保証されているわけではないというものの、ネットではテレビと違い、いちおう技術的には双方向的な情報の流れが成立しています。
というわけで、もしもテレビでも人を集めることのできるような「有名人」がネットに登場したらどうなるでしょう。
昨夜のダダ漏れ“革命的Ustream”では、ネットの世界以外でもそこそこの視聴率を稼ぐことのできるホリエモンや週刊誌ではヒーローの上杉隆、それにネットの上では完全にトップクラスの存在である、小飼弾、切込隊長、そしてtwitterで一躍有名になった津田大介という面々が登場し、この人が中継したらたとえつまらない「ダダ漏れ」でも、数千の視聴者を集めることができるというそらのさんがUstream中継担当をしたわけですから、その結果は予想できたことでした。さらに、途中からは、「表」のNHK番組にも登場していたドワンゴ会長の川上量生が参加して番組の裏を暴露するというおまけまでありましたから、日本のUstreamでは歴史的ともいえる視聴者14万人をたたき出したのは不思議でもなんでもないことでした。
中継舞台の全貌
一方、それだけのうねりを生み出した舞台裏は、ネットに繋がったコンピューターが1台にカメラが1台、技術者のそらのさんが一人。ザッツオールです。これがネットの強みです。たったこれだけの仕掛けで、6時間にも及ぶ「実況中継」ができてしまうのです。NHKの番組を放送するのと比べると、数100分の1あるいは数千分の1の費用とエネルギーでできてしまうということこそが、昨日の騒ぎが「歴史」を作ったと言われる所以なのだと思います。
機器を操作するそらのさん
もちろん、無料のサービスを利用してネット配信しているわけですから、7000人-8000人というユーザーがアクセスすることで瞬断だけではなく、完全にダウンしてしまうトラブルがあるなどということは当然だったと思います。
おそらくサービスを無料で提供するUstream側としては、せいぜいが数百人程度のアクセスを想定して作っているシステムだと思いますので、7000人のアクセスが殺到しても「動画のようなもの」が流れ続けるということだけでも驚異的なことだと、私は思っていました。
そういう意味で、実験としては大成功だったと思います。参加者にアルコールが入っていたことで、飲み屋での会話のように議論としては効率(時間的パフォーマンス)の悪いものになったことや、twitterで送られてくるコメントがあまりにも多すぎてほとんどまったく対応することができなかったことなどは、逆に今後この手の企画をやるときに参考とすべきたくさんの情報を与えてくれものだたと思います。
昨夜の企画に失敗があったとすれば、それは適切な規模で行われなかったことが大きな原因だったのではないでしょうか。つまり、双方向性のコミュニケーションを利点とするネットというメディアは、マスメディアと同じように使うにはあまり適切なものではなく、昨日のメンバーは人を集めすぎたという意味であまりネット向きではなかったのだと思います。
ネットで双方向のコミュニケーションを行おうとするならば、twitterで参加するユーザーがせいぜい数十人から100人くらいが適切なものではないでしょうか。そうなると、視聴者全員としても多くても1000人か2000人くらいが限界でしょう。そのくらいであれば、ネットに過大な負荷がかかることもなく、視聴者からのtwitterのコメントもトークをしている参加者に適切に届く可能性もあり、そうすれば参加者の方でも酒を飲みすぎることもなく緊張感を持ってネットの向こう側とうまくキャッチボールできる可能性も出てくると思います。
もちろん、twitterでの発言を上手に拾うためのソフトウェアや、それを適切に処理して参加者へと伝えるモデレーター(コミュニケーター)というようなものの位置を確立することなど、課題はたくさんあるのですが、昨日の「狂乱はそうした課題をひとつひとつ克服していきさえすれば、確実にネットというものが新しい時代の新しいコミュニケーションツールになってくれる可能性を示してくれたものとして、やはり歴史に残る一日になるのだろうと感じています。
今は、そらのさんのようなパワーあふれる若者たちの出番なのだと思います。あちこちから、小規模・中規模のコミュニケーションの場が立ち上がってくることを期待しています。
とても、楽しみです。
NHKというか、旧来のマスメディアのもっとも不得意とするものが、「激突本音トーク」だと思います。「朝まで生テレビ」がそれを打ち破る気配を見せてくれたこともありますが、所詮は一方的垂れ流ししかできない旧メディアの制約から逃れることはできなかったと思います。その結果、朝までつきあって見ていて、他の多くの番組に比べると「ちょっとはマシ」程度に思える意見を聞けたとしても、それはたまたま「運が良かった」程度のことにすぎず、視聴者がリアルタイムで議論の場に刺さっていくことができないということがはっきりした時点で、多くの人はネットへと流れていったのではないかと思います。
テレビとネットの大きな違いは何かというと、そのひとつはテレビではその名前を出すだけでたちまち数万、数十万、数百万の視聴者を集める力のある「有名人」が出てくる一方、ネットではたとえ有名人と言えどもはせいぜいが数千、数万の人を集める程度です。しかし、保証されているわけではないというものの、ネットではテレビと違い、いちおう技術的には双方向的な情報の流れが成立しています。
というわけで、もしもテレビでも人を集めることのできるような「有名人」がネットに登場したらどうなるでしょう。
昨夜のダダ漏れ“革命的Ustream”では、ネットの世界以外でもそこそこの視聴率を稼ぐことのできるホリエモンや週刊誌ではヒーローの上杉隆、それにネットの上では完全にトップクラスの存在である、小飼弾、切込隊長、そしてtwitterで一躍有名になった津田大介という面々が登場し、この人が中継したらたとえつまらない「ダダ漏れ」でも、数千の視聴者を集めることができるというそらのさんがUstream中継担当をしたわけですから、その結果は予想できたことでした。さらに、途中からは、「表」のNHK番組にも登場していたドワンゴ会長の川上量生が参加して番組の裏を暴露するというおまけまでありましたから、日本のUstreamでは歴史的ともいえる視聴者14万人をたたき出したのは不思議でもなんでもないことでした。
中継舞台の全貌
一方、それだけのうねりを生み出した舞台裏は、ネットに繋がったコンピューターが1台にカメラが1台、技術者のそらのさんが一人。ザッツオールです。これがネットの強みです。たったこれだけの仕掛けで、6時間にも及ぶ「実況中継」ができてしまうのです。NHKの番組を放送するのと比べると、数100分の1あるいは数千分の1の費用とエネルギーでできてしまうということこそが、昨日の騒ぎが「歴史」を作ったと言われる所以なのだと思います。
機器を操作するそらのさん
もちろん、無料のサービスを利用してネット配信しているわけですから、7000人-8000人というユーザーがアクセスすることで瞬断だけではなく、完全にダウンしてしまうトラブルがあるなどということは当然だったと思います。
おそらくサービスを無料で提供するUstream側としては、せいぜいが数百人程度のアクセスを想定して作っているシステムだと思いますので、7000人のアクセスが殺到しても「動画のようなもの」が流れ続けるということだけでも驚異的なことだと、私は思っていました。
そういう意味で、実験としては大成功だったと思います。参加者にアルコールが入っていたことで、飲み屋での会話のように議論としては効率(時間的パフォーマンス)の悪いものになったことや、twitterで送られてくるコメントがあまりにも多すぎてほとんどまったく対応することができなかったことなどは、逆に今後この手の企画をやるときに参考とすべきたくさんの情報を与えてくれものだたと思います。
昨夜の企画に失敗があったとすれば、それは適切な規模で行われなかったことが大きな原因だったのではないでしょうか。つまり、双方向性のコミュニケーションを利点とするネットというメディアは、マスメディアと同じように使うにはあまり適切なものではなく、昨日のメンバーは人を集めすぎたという意味であまりネット向きではなかったのだと思います。
ネットで双方向のコミュニケーションを行おうとするならば、twitterで参加するユーザーがせいぜい数十人から100人くらいが適切なものではないでしょうか。そうなると、視聴者全員としても多くても1000人か2000人くらいが限界でしょう。そのくらいであれば、ネットに過大な負荷がかかることもなく、視聴者からのtwitterのコメントもトークをしている参加者に適切に届く可能性もあり、そうすれば参加者の方でも酒を飲みすぎることもなく緊張感を持ってネットの向こう側とうまくキャッチボールできる可能性も出てくると思います。
もちろん、twitterでの発言を上手に拾うためのソフトウェアや、それを適切に処理して参加者へと伝えるモデレーター(コミュニケーター)というようなものの位置を確立することなど、課題はたくさんあるのですが、昨日の「狂乱はそうした課題をひとつひとつ克服していきさえすれば、確実にネットというものが新しい時代の新しいコミュニケーションツールになってくれる可能性を示してくれたものとして、やはり歴史に残る一日になるのだろうと感じています。
今は、そらのさんのようなパワーあふれる若者たちの出番なのだと思います。あちこちから、小規模・中規模のコミュニケーションの場が立ち上がってくることを期待しています。
とても、楽しみです。
by stochinai
| 2010-03-23 20:58
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