5号館を出て

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付和雷同するミミズ

【注意:下の方に行くとミミズの写真が出てきますので、苦手な方はスクロールしないほうが良いかもしれません(笑)。】

 種によって違うのでしょうが、土の中に住んでいるミミズは生殖の時を除くと他の個体とのコミュニケーションなどしていないと思われがちですが、行動実験によってシマミミズ(Eisenia fetida)は接触によるコミュニケーションによってお互いの行動を変化させることが明らかになりました。解説記事がBBC Newsに載りました。

 Earthworms form herds and make "group decisions"

 元記事は、行動学 Ethology という学術雑誌のオンライン版に出ています。

Ethology
Early View (Articles online in advance of print)
Published Online: 22 Mar 2010
RESEARCH PAPER
A New Case of Consensual Decision: Collective Movement in Earthworms
Lara Zirbes, Jean-Louis Deneubourg, Yves Brostaux & Eric Haubruge


 実験は、このような装置を使って行われました。
付和雷同するミミズ_c0025115_19221556.jpg
 上の装置ではAのところに40匹のミミズを入れ、両側にあるBの端に同じ餌(堆肥)を入れておき、ミミズがどちらの餌を選ぶかを調べました。下の装置では、手前にミミズを置き二又に別れた路を通って向こうにある餌にたどり着く時、どちらの経路を選ぶかを調べました。

 簡単な装置を使った簡単な実験ですが、結果はきわめて明快で、ミミズは同じ餌があっても多くのミミズと行動を共にして餌場を選ぶというものと、みんなで同じ経路をたどりながら餌場にたどりつくというものでした。この結果はミミズに社会性などないだろうという「常識的予想」をくつがえす驚くべきものだと述べられています。

 1匹ずつのミミズで実験した場合には、前に他のミミズが通ったルートを次のミミズが通るということは観察されず、2匹以上を一緒に実験した場合には、ミミズはお互いに接触しながら行動するのが見られたということから、ミミズのコミュニケーションはルートに残される化学物質などによるものではなく、直接接触によって行われていると考えられます。

 研究者たちは他の種のミミズでも同じ行動パターンが予測されると考えていますが、日本にもいる赤いシマミミズは堆肥の中などで塊(ダンゴ)になっているのを良く見かけますので、シマミミズは特に「社交的」である可能性も否定できないと思います。

 土から出してミミズだけにすると、ミミズ同士でからまりあってダンゴを作ることも良く知られていることです。こちらはBBCニュースから引用したミミズダンゴです。
付和雷同するミミズ_c0025115_19382027.jpg
 私たちが実験に使っているヤマトヒメミミズも土や寒天から出すと、最初はミミズダンゴを作りますが落ち着いてくるとバラバラになって自由な行動を取り始めます。

 というわけで、このミミズの社会行動は防御のための群つくり行動なのかもしれません。ミミズがかたまるのは当たり前と言ってしまうと身も蓋もないのですが、それを「行動パターン」という視点から見ると、こういうふうな研究論文になるということです。

 ちょっと、「夏休み自由研究」みたいな雰囲気もするのですが、こういうお金のかからない研究は基本的に好きです。そして、それをニュースで取り上げるBBCもえらいと思います。
by stochinai | 2010-04-09 19:46 | 生物学 | Comments(0)

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