5号館を出て

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ニセ科学と戦い続けたサイエンスコミュニケーター没

 Martin Gardner, 95, math and science writer, dies (AP)

 MY WORLD IS A LITTLE DARKER… (James Randi)

 マーティン・ガードナー(Martin Gardner)と聞いても、すぐに誰だかわかる人はそれほどたくさんいらっしゃらないかもしれませんが、「奇妙な論理〈1〉―だまされやすさの研究」や、「奇妙な論理〈2〉なぜニセ科学に惹かれるのか」という本のタイトル、さらには「自然界における左と右」、我々の年代ならScientitic American(日系サイエンス)で連載されていた「数学ゲーム」と聞くと知っている方はかなり多いと思います。

 私も訃報を聞いたときに一瞬、誰だろうと思ってしまいましたが、上に挙げたAPの記事や友人の弔文を読んで、思い出しました。

 95歳だったということなので、天寿をまっとうしたと言えるのだと思いますが、半世紀にわたってニセ科学と戦い続けるとともに、主に数学を中心に科学の楽しさを一般の読者に伝え続けてきたことには改めて敬意と、心からの弔意を示したいと思います。

 数学をエンターテインメントとしてポピュラーにした功績が有名ですが、同じ数学者の書いた古典的名作童話である「不思議の国のアリス」と「鏡の国のアリス」の合本に彼が注釈をつけた「The Annotated Alice」という本をアメリカで買ってきたことも思い出しました。今は、その本がさらに改訂され決定版「The Annotated Alice: The Definitive Edition」が出ています。
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The Annotated Alice: The Definitive Edition

 中にある文章および図版は、オリジナルのアリスの絵本のもので、欄外に数学者であるガードナーが数学者であるキャロルの意図を解説した文章が並んで書かれています。解説のほうも、本文に負けず劣らず格調の高い文章のような気がして、ある意味難解なのかもしれませんが、オリジナルの文章と絵もそっくり残っていますので、お得な一冊だと思います。
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 そして、これは原著の中にある著作権の消滅した挿絵の一枚です。(改めて見てみると、アリスは勝間和代さんに似てませんか?)

 最近は3DでCGを駆使したAlice映画が話題になっていますが、なんと「不思議の国のアリス」はすでに1915年に無声映画になっていたようで、YouTubeでその一部が見られます。


     (動きが悪いようでしたら、解像度を落としてごらんください。)

 しかも、この映画の背景で朗読されているのが、マーティン・ガードナーの上の本「決定版・The Annotated Alice」の一節なのです。(残念ながら、読んでいるのは本人ではなく女性アナウンサーでした。)

 というわけで、最近ますます彼の存在がクローズアップされてきたのは、ようやく時代が彼に追いついてきたということなのかもしれません。

 まあ、そんな様子を見ながら永遠の眠りにつけるというのは、ある意味、幸せなことかもしれません。

 ご冥福をお祈りいたします。
by stochinai | 2010-05-23 23:21 | 科学一般 | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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