5号館を出て

shinka3.exblog.jp
ブログトップ | ログイン

また中教審2:博士課程への囲い込み

また中教審:追記です。

 少々感情が先走った脊髄反射的な前のエントリーに対して、たくさんの方からトラックバックおよびコメントをいただきました。トラックバックをいただいた、Dr Blue さん、今日行く審議会さん、まきこみ計画さんのエントリーを読むと、中教審の今回の決定に対する批判は冷静に議論され、重要なポイントはだいたい出つくしているようにも思われます。みなさん、ありがとうございました。

 特に、まきこみ計画さんの制度改変の本当の理由の議論に関しては、まったくその通りだと思いました。実は怠慢で調べていないのですが、中教審の委員の中にかなりの数の国立大学関係者がいるのではないかと、私も薄々感じていたところです。というわけで、まきこみ計画さんのおっしゃる通り、国立大学の法人化と今回の決定とに関係があるという推測は、かなり当たっているのではないかと私も思います。

 法人化の前からそうなのですが、大学では学生定員の充足と歩留まりの良い卒業率、大学院ならばそれに加えて効率良く(短期間でできるだけたくさんの学生に)学位を取らせることが求められており、法人化以降はその達成率が評価に反映され、ひいては大学への運営資金の配分にも影響があると恐れられているようです。

 私もさっき知ったばかりなのですが、「北大大学院工学・博士課程1年生の授業料タダ 不人気脱却を狙う」には驚きました。

 これと併せて考えると、博士号の取得を在学者だけに限ることで論文博士狙いの学生の就職を阻止し(なんということでしょう!)、法人化した大学院博士課程へ人材を囲い込もうという魂胆が露骨に見えてくるように思われます。でも、博士の価値が下がり始めてしまった以上、こんなことで修士卒者の就職を阻止できるのか、疑問です。

 自分の大学の悪口は言いたくないですが、なんか大学院博士課程は自滅への道を走り始めたようにもみえるんですけど、、、、。
Commented by blue at 2005-04-15 21:10 x
なるほど、、ですね 学費も上がったし 学生の囲い込み ですか 長女が昨年大学に入ったんですが 同窓会費(卒業してないのにもう同窓会費)とか 寄付とか 色々です それでいて ただで非常勤講師させて 母校ですが 昔で言う旧帝大も東大以外は 苦しいんだな、、、教育立国は 遙か明治の夢か、、
Commented by stochinai at 2005-04-15 22:25
 大学院生というのは、大学の研究室にとっては非常に貴重な労働力なのです。そして、場合によっては頭脳として活躍している研究室も多いのです(ボスが無能)。ですから、学生が博士課程に進学してくれないと文科省に叱られるだけではなく、その研究室の研究業績生産力にかかわる大問題になるというわけです。
 昔はただでこきつかっても、いずれ後継者として独立した研究者になれるという希望を持って辛抱強く宮仕えしてくれたものですが、今の大学院生は将来に不安がありますので、学生は博士課程を敬遠し始めているという状況があります。
 今回の「奇策」は、それに対する対策のひとつなのだと思います。でも、機能するかどうかは未知だと思います。
Commented by apj at 2005-04-18 00:23 x
すいません、ウチのブログシステムから始めてトラックバックしたら、文字化けしてしまいました。SJISにしたのがいけなかったんでしょうか?
私の方でも、論文博士廃止について書きました。私自身は、課程博士と論文博士の両方経験しています。論文博士は無くして欲しくないですね。
Commented by Dr. Jason at 2005-04-18 02:36 x
 はじめまして,Jason ともうします.
 私のblogにも少しかきましたが,米国,英国,ドイツ,日本と大学も大学院もシステムの内容がだいぶ違いますから,海外との比較云々は,ドクターの出し方だけで議論するのは適切ではないでしょう.
 大学や大学院が生徒集めに苦しいくなるのは,人口のトレンドからいっても大分前から明らかです.だから,あちこちで社会人向けの大学院や,都心への出店が多くなっているのだと思います.名門でもやはり地方の大学,大学院は苦戦しています.

 論文博士の36%は,全体の平均でしょう?日本の課程博士は医,歯,保健系が一番多いはずなで,この分野を含んだ場合と,除いた場合とでは,バランスが全く違うと思います.
 東大のように大学院が大きいと,課程博士も多いけど,論文博士もとても多い(この10年ぐらいは400-500人/年)だと思います.
 私の母校(工学系)では,昔は課程博士は非常に難しかったので,課程:論文の累計の比率は,いまだに70:100ぐらいです.
Commented by stochinai at 2005-04-18 10:24
 apjさん。いつも、別MLでお世話になっております。
 文字化けの件ですが、気になさらないでください。他にも数例、発生する状況が確認されています。
 論文博士は、日本が世界に誇るべきシステムに育て上げるのが筋だと思います。
Commented by stochinai at 2005-04-18 10:27
 Jasonさん、ブログ読ませていただきました。勉強になります。
中教審に任せておくだけではなく、文科省はもっといろんな人の意見を集約して間違いのない選択をしてもらいたいですね。
 もっとも、文科省の方針が先に決まっていて、中教審はそれにお墨付きを与えただけなのかもしれませんが、、、。
Commented by 匿名 at 2005-04-27 08:31 x
私は人文系ですが、我ながらかなり独創的研究をしてまして、その結果指導教授と対立し、母校を飛び出して地方大学に就職しました。
人文系では論文博士のほうがレベルが高いのですが、私は現在までの研究成果で十分に論文博士を取れると自負しています。
しかし母校で博士を取るのは人間関係上難しい。他学でもまずそこの教授と友達になってからでないと話が始まりません。
今回の論博廃止により、暫定的措置として一定期間論博の公開募集が行なわれるならば、人間関係抜きに取得できそうですから、私に取ってはむしろ福音かも知れません。
Commented by stochinai at 2005-04-27 12:19
 匿名さん。理系でも、研究のアイディアや能力がありながら、指導教員と対立して大学院を辞める人はたくさんいます。そうした事情の後で、論文博士を出す時には人間関係のわずらわしさがあるのは、現実だと思います。
 しかし、たとえ論文博士の公開募集が行われたとしても、その審査は今の博士認定機関が行うことになるでしょう。そうなると、やはり「人間関係抜きに取得できそう」にはならない、と私は思います。
by stochinai | 2005-04-15 11:45 | 大学・高等教育 | Comments(8)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai