5号館を出て

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暑さの中の北大植物園

 昨日の34.1℃から比べると、涼しくなったとはいえ今日の最高気温も32.5℃。札幌としては、異常な高温が連日続いております。毎日が異常だと、それはもはや異常ではなく正常ということになるわけで、地球全体のことはさておき、札幌が温暖化していることだけはまぎれもなく実感できる毎日です。我々もつらいですが、動けない植物や、気温の影響を受けやすい小動物は明らかに何十年に一度のこの熱波を受けて、種(しゅ)の存続をかけた瀬戸際に追い込まれているものも多いと思われます。

 また、それと同じくらいの数の動植物が「札幌でも住める」とばかりに、北上してきていることでしょう。生態系の変遷を目撃できる貴重な一瞬に立ち会っていることがいいのか悪いのか、いろいろと考えさせられるのですが、この高温で頭があまり働かないので、考えさせられても良い思考が展開しないのがなんともはや、というところです。

 さて、今日は年に一度の恒例行事になった人間ドックの日です。昨夜から絶食して、今日は早朝から病院で各種の検査漬けです。最近は慣れてきたので、絶食時間や飲み物制限なども軽く破ることもするようになったので、昔ほどのプレッシャーもなくなってきました。また年々、検査機器や検査方法が進歩していて、受診(受検?)する我々の負担もどんどん軽くなってきている気がします。そういうところをみると、医療も「客商売」としてつらいものがあるのかもしれませんね。

 というわけで、例年通りカロリーの過剰摂取に伴う肝臓への脂肪蓄積や、血圧・血糖・コレステロールなどに対する警告は受けたのですが、すぐに入院加療を要求されるようなことにもならずに解放されました。

 ドックの会場は冷房完備で気がつかなかったのですが、一歩外へ出ると30数℃の熱地獄で、このまま大学へ行く気はとても起こらなかったため、ひsびさに都会のオアシス「北大植物園」へ逃避することにしました。

 北大関係者なら無料なので、「理学研究院のものです」と言ってはみたものの、「何か証明書はありますが」と言われ、大昔に作った写真付き証明書も見つからなかったのでとりあえず図書館利用証を見せて入れてもらいました。

 植物園の中は、コンクリートやアスファルトの照り返しがないだけでも涼しい感じです。
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 こんな木漏れ日もいかにも夏らしくていいですね。

 それでもやはり暑いので、あまりあちこち歩き回る気は起こらず、とりあえず北海道の草花コーナーへ。
 この写真ではあまりわからないのですが、春先に可憐な花を咲かせるミズバショウもこの時期にはとてつもなく巨大化していることを再認識しました。
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 アイヌの貴重な食料となっていたトチの実ですが、「トチ」はアイヌ語だって知ってました?

 北大植物園の自慢の一つであるトリカブトコレクション。
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 これはアイヌがヒグマを狩るのに用いたエゾトリカブトです。
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 たしかに、花がカブトの形をしています。
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 ヒグマはどでかい熊という印象があるのですが、博物館の中にエゾシカと並んでいるヒグマの骨格を見ると、意外とちっちゃく感じます。(若いのか?)
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 ヒグマとエゾシカはまだ野生で現存していますが、こちらはすでに絶滅したエゾオオカミ。オオカミは世界各地で絶滅させられているところをみると、クマなどと比べるとより人間との争いが起こる場所に近く暮らしていたということなのかもしれませんね。
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 ヒグマがいるんだから、エゾオオカミがいたっていいじゃないかと思うのですが、絶滅したものはもう戻ってはきません。
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 「謎」のように説明してますが、ヒトがいなければ絶滅はたぶんなかったでしょう。

 オオカミがいる北海道も悪くないと思いながらも、猛暑の北大に戻りました。
by stochinai | 2010-08-31 20:52 | 札幌・北海道 | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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