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ブルーバックス「新しい高校生物の教科書」11刷り

 いまだに大学新入生で生物の基礎知識に不安のある学生には勧めている本なのですが、ついに11刷りを重版することになりました。出版から4年半、いまだに読んでくれる方が増え続けていることには感激しております。ほんとうにありがとうございます。
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新しい高校生物の教科書 (ブルーバックス)

 この本を書いたきっかけは2006年問題と呼ばれる、学習指導要領の大幅な内容削減に対抗するために、一冊読むだけで「生物学の基礎」がきちんと学べる教科書が日本人全員にとって必要だと思ったからです。考えてみれば、青くさい考えだと自分でも恥ずかしくなるのですが、いまだに売れ続けるロングセラーとなったことを考えると、基本的にはやはり求められていたものだったのだという自信が持てます。

 遺伝子組み換え作物というものをどのように考えたら良いのか、今年ノーベル賞を取った体外受精という技術に生物学的問題はないのか、法律が変わって臓器移植医療がどんどん行われるようになったけれども自分はどのようなスタンスで対応したらよいのか、生物多様性を守るということはどういうことなのか、と我々の周辺では生物学的リテラシーを要求されることが非常に多くなってきている昨今です。もちろん専門家や批評家の意見を参考にすることも大切なのですが、最終的には一人一人が自己責任の上で自己決定することが要求されることになると思いますから、最低限は「自分で考え、自分で判断する」力が求められるのだと思います。

 そんな時に、とりあえずこの本を読んで最低限の生物学的リテラシーを身につけることから初めていただきたいと思っています。義務教育を終えた高校生程度の方なら誰でも読めるレベルに書いたつもりですので、日本人ならほとんどの方が全員が苦労なく読めると思います。全国の図書館には間違いなく入っていると思いますので、興味を持たれたらまずは借りて読んでいただけるだけでも光栄です。

 さて、今日はいまだに余韻さめやらぬ「ノーベル賞事件」で、またまた存在感をアピールし続けているCoSTEPが主催する大学院講義「科学コミュニケーション」の第1回講義におつきあいさせていただきました。分野の異なる大学院生同士が科学コミュニケーションを通じて、新しい共同研究を立ち上げていくという目標をもった野心的な企画のようです。最終的にどのような研究が立ち上がるのか今から楽しみです。

 札幌はすでに晩秋の雰囲気が漂い始め、博物館の壁にはりついているツタの紅葉が始まりました。
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 文系長屋の自転車置き場を囲うドウダンツツジはもう真っ赤です。
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 後は初雪を待つばかりという札幌です。
by stochinai | 2010-10-09 23:58 | 生物学 | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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