5号館を出て

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小学校で細胞のお勉強

 北大の北にある札幌市立和光小学校というところで、CoSTEPの修了生が母親として家庭教育学級長をやっておられる縁で、開校記念日で休校になっている教室で行われた「親子サイエンス教室」のお手伝いに行ってきました。
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 この和光小学校はできてから50年もたっていない、札幌市としては比較的「新しい」学校ですが、私の父が2代目の校長を務めさせていただいた学校なのです。もちろん、私は訪問するのは初めてだったのですが、なんとはなしに不思議な親近感を感じさせられました。

 学校というと、どうしても体育館をのぞいてみたくなる私なのですが、子どもたちのいない体育館の広さはなんともいえず良いものでした。
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 さて、今日の「親子サイエンス教室」は、この春にCoSTEPを修了した時に、修了制作として「SCOPE ~生命の楽譜~」という「絵本」(オンライン版はこちら)を中心になって作ったK本さんが、専門用語をほとんどまったく使わないでどのくらい細胞のイメージを小学生に伝えられるか、というワークショップでもありました。

 まず最初に、「細胞」という言葉以外はまったく説明なしに、それぞれの子どもたちに、ミトコンドリアやゴルジ体、核やER、リボソームなどを貼り絵作業で作ってもらいました。(これらの言葉は、基本的には最後まで使いませんでした。)
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 さすがに、遺伝子(DNA)やタンパク質という言葉は使わざると得ないということで、言葉によるコミュニケーションをする助手として私がお手伝いをさせてもらったというわけです。
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 糸で作ったDNAと、きらきらと光るいろんな色のビーズ(タンパク質)をそれぞれ思い思いに貼り付けて子どもたちが作った「細胞」を前に、細胞は何をしているのかというディスカッションをしているところです。

 自分たちで細胞を「作った」子どもたちの「食いつき」は想像以上のものがありました。おまけとしてやらせていただいた「みんなはどうして風邪をひくのか」「そして、どうして治るのか」ということについての細胞レベルでの話も、驚くほど良くわかってくれたと思います。「ウイルスが遺伝子を持っていて、細胞の中に入っていって、その遺伝子でどんどん増えるのが風邪の原因」なんてことは、小学生でもあっさりと理解してくれるということには、ちょっと感動しました。

 そして、どうやったら風邪にかかりやすくなるか、風邪を早く治すにはどうしたらよいか、などということも細胞やウイルスの挙動という次元で理解してくれたように思います。

 最後の質問の時間には、実に的確な質問が次々と途切れることなく続き、どうして大学生になると誰も質問しなくなるのかとまたまた考え込まされることもありましたが、この子たちをこのままのびのびと育てる教育さえできれば、なんの心配もいらないと思ったものです。

 しかし、現実は・・・。
by stochinai | 2010-10-20 19:35 | コミュニケーション | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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