5号館を出て

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口蹄疫に続いてトリインフルエンザが宮崎を直撃

 まったくお気の毒で言葉もないのですが、口蹄疫のダメージから復帰する前に、こんどは立て続けの鳥インフルエンザで、宮崎市に続いて新富町で養鶏場で飼育されているニワトリの殺処分が始まりました。宮崎市では1万羽ちょっとの処分だったのですが、新富町ではなんと44万羽という大量のニワトリが処分されることになり、地元のショックもかなり大きいことと思います。

 さて、口蹄疫に続いて、トリインフルエンザという家畜伝染病が立て続けに宮崎県で発生したのはどうしてなのでしょうか。

 口蹄疫に次いで、ニワトリにインフルエンザが発症してしまったことについて、もっとも可能性が高いのは単なる偶然ということだと思います。トリインフルエンザのウイルスは北海道から九州まで、あちこちで野鳥から検出が相次いでいます。そうしたものが、ニワトリの飼育施設に持ち込まれる可能性は、日本中どこでもあり得ることだと思います。

 それが、たまたま宮崎で出てしまったということで、我々の気持ちとしては「あの口蹄疫で痛めつけられた宮崎がまたやられてしまった」という、なんとも言えない気持ちになりやすいのだと思いますが、韓国では現在口蹄疫とトリインフルエンザが全国的に猛威をふるっているようですし、もちろんその隣の北朝鮮でも状況がそれより良いと推測する理由はまったくなく、東アジアではむしろ口蹄疫やトリインフルエンザがどこにでもある状態であり、逆に日本はもっともそれらが良くコントロールされている地域だと見なすことができるように思います。

 とするならば、宮崎にはその東アジアルートを通ってくるウイルスの侵入経路があるという可能性も否定できないかもしれません。宮崎に限りませんが、今は全国各地に国際空港ができており、ヒトが往来しているのではないでしょうか。また、飛行機以外にも船やトラックを介して荷物(家畜のエサやワラなど)としてアジアから流入するものも多いでしょう。もちろん、それも宮崎だけではなく日本中に運び込まれていると思いますが、酪農王国宮崎には特に大量の物資が運び込まれているということがそこにウイルスが運び込まれやすい理由があるのかもしれません。

 温暖な気候なども関係して、それが発病としてアウトブレイクしやすい地域が宮崎だという不運もあるのかもしれません。

 いずれにしても、アジア各国で口蹄疫やトリインフルエンザが蔓延している状況のなかで、日本だけがどこまでウイルスの侵入を阻止できるのかと考えるとかなりこころもとない気がします。農水省のホームページでも畜産関係者の海外旅行には格別の注意を呼びかけています。
畜産関係者の方で外国に行かれる場合

・ 中国や東南アジアの国々は、口蹄疫、高病原性鳥インフルエンザ、豚コレラなどの悪性伝染病の発生国であり、我が国はこれらの国からの動物及びそれに由来する肉の輸入を、原則として、禁止しています。

・ これまでもお願いしてきましたが、畜産に関係する仕事に従事している方々が、これらの国々を訪問した際には、家畜を飼育している農場などへの立ち入りは極力避けるようにしてください。また、やむを得ず農場などの畜産関連施設へ立ち入ったり、家畜に接触した場合には、病原体が人や物に付着しているおそれがありますので、帰国時に動物検疫所のカウンターにお立ち寄りください。我が国への病気の侵入を防止するため、皆様方のご理解とご協力をお願いいたします。
 畜産関係者だけではなく、一般の旅行者も注意すべきなのでしょうが、どのくらい啓発が行き届いているのでしょうね。

 この国際時代に、ヒトの移動を完全に遮断することなどできませんが、一度出てしまうと、口蹄疫やトリインフルエンザは殺処分という消極的な対策しかとれないというのも悲しいので、なにか革命的ともいえるような根本的対策をひねり出す必要があるのかもしれません。とは言っても、そろそろそういうことを考えなければというような頃になると、今回のように次の騒ぎが始まってしまうということだと、いつまでも終わらないモグラたたきで疲れ切ってしまいそうです。

 宮崎の方々はのんびりと朝焼けを愛でるような気分にはとてもならないでしょうが、今朝の札幌も朝焼けがきれいでした。
口蹄疫に続いてトリインフルエンザが宮崎を直撃_c0025115_194159.jpg
 宮崎でもうこれ以上、騒ぎが拡がらないことをこころから祈っております。
by stochinai | 2011-01-24 19:42 | 生物学 | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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