2011年 03月 30日
海を汚してスミマセン
せっかく理解しつつあったベクレルを使わなくなってきたのはどういうことでしょう。今日のTBSニュースでは「原発近くの海水からは国が定める濃度限度の3300倍を超える放射性物質が検出されました」と言っています。
ヨウ素131 50ヨウ素131 50ベクレル/cm3(炉規則告示濃度限度の1250.8倍)(炉規則告示濃度限度の1250.8倍)
このベクレル値は、1立方センチメートルあたりとなっています。赤ちゃんのミルクを作る水の場合は1キログラムあたりで100ベクレルということでした。とりあえず、換算してみると3355倍だと134ベクレル/cm3、2572倍だと103ベクレル/cm3ということになります。1キロあたりだとさらに1000倍になりますので、それぞれ134000ベクレル、103000ベクレルということになります。いずれにしても、許容量の数千倍ということは、どう考えても「直ちに健康に影響が出てくる」と考えるべき値でしょう。
もちろん、海はとても広いのでこれ以上原子炉から出てこなければどんどん薄まっていくことになりますが、現実はどんどん濃くなっているのです。これは27日に発表された福島第一原発南放水口付近の海水放射能濃度の推移(ベクレル/立方センチメートル;東京電力の資料)です。
21日からのデータが示されており、22日に低下を見せていますが、その後25日まで上昇を続けています。その後も上昇を続け、今日に至っていると見るべきでしょう。
つまり、原発の放水口からはどんどん新しい放射性物質が量を増しながら排出されていると考えられます。
(C) photoXpress
この写真の海は福島のものではありませんが、福島の海もたとえ放射性物質で汚染されていたのとしても、このように美しい風景を見せてくれるはずです。水銀で汚染された水俣の海を見た時も同じような気持ちになりました。あの海を見て、こんなに美しい水俣の海を、目に見えない危険物で汚染するとは、人間とはなんと罪深いことをするものかという気持ちになったものですが、あの事件を教訓にすることができず、我々日本人は今また放射性物質で海を汚しています。
見た目には見えなくとも、汚染物質は海の動植物に取り込まれ、あるものは死に、あるものはがんになり、あるものは見た目には顕著な影響は見えずとも、放射性物質を持ち続けます。原子炉から排出された物質が放射能を持ち続けているかぎり、放射線をまき散らしながら自然界を回り続けることになります。薄まったように見えても、あるものは動植物の体内で濃縮されることがあります。いわゆる生物濃縮です。水銀やカドミウムが動物体内で濃縮されることは有名ですが、放射性物質でもセシウムストロンチウムは脊椎動物の骨に取り込まれて濃縮されることは有名です。他にセリウム、鉄、プルトニウムなどが動物体内に濃縮されるようです。(データ)
放射性核種の生物濃縮 (09-01-04-02)
この表が掲載されていた元の文献はこちら(財 高度情報科学技術研究機構)にあります。
これを考えると、今は大丈夫でもしばらくすると、この海からとれた海産動植物を食べられなくなることは確実ということになります。この先、何十年何百年も漁のできない海になってしまいます。もちろん、陸地も原発の周囲数キロは人の住めない、農業もできない土地になってしまいます。
というわけで、毎日大量の放射性物質を空気中だけではなく海にまでまき散らしている我が国のことを世界は非常に迷惑に思っていることは間違いなく、もちろん我々は日本人として東京電力および政府に抗議したい気持ちでいっぱいですが、いったん国際的な見地に立つと、世界の人々が我々に対して抗議したい気持ちでいることも痛いほどわかります。
海を、大気を、地球を汚してスミマセン
ともかく、一日いや一時間でも早くこの状況を収めない限り、汚染がどんどん拡大し続けることだけは確実です。世界の人々に頭を下げて助けを求める必要がある事態だと思います。それは政府の責任というものでしょう。
と書いているうちに、なんと2号原発からの白煙というニュースまでもが、入ってきました。被害はまだまだ拡大するのでしょうか。
福島第一原発の放水口。ここからおよそ330メートル離れた場所で、29日午後2時前に採取された海水から、国が定める濃度限度の3355倍の濃度の放射性ヨウ素131が検出されました。29日は午前中にも2572倍のヨウ素131が検出されています。27日のニュースで、このように書いてあるものを見つけました。
・・・・・
原子力安全・保安院は、ただちに影響はないとしています。同じ場所では3月26日の午後、1850倍の濃度のヨウ素131が検出された後、一時、濃度は低まっていましたが再び高まりました。
ヨウ素131 50ヨウ素131 50ベクレル/cm3(炉規則告示濃度限度の1250.8倍)(炉規則告示濃度限度の1250.8倍)
このベクレル値は、1立方センチメートルあたりとなっています。赤ちゃんのミルクを作る水の場合は1キログラムあたりで100ベクレルということでした。とりあえず、換算してみると3355倍だと134ベクレル/cm3、2572倍だと103ベクレル/cm3ということになります。1キロあたりだとさらに1000倍になりますので、それぞれ134000ベクレル、103000ベクレルということになります。いずれにしても、許容量の数千倍ということは、どう考えても「直ちに健康に影響が出てくる」と考えるべき値でしょう。
もちろん、海はとても広いのでこれ以上原子炉から出てこなければどんどん薄まっていくことになりますが、現実はどんどん濃くなっているのです。これは27日に発表された福島第一原発南放水口付近の海水放射能濃度の推移(ベクレル/立方センチメートル;東京電力の資料)です。
つまり、原発の放水口からはどんどん新しい放射性物質が量を増しながら排出されていると考えられます。
この写真の海は福島のものではありませんが、福島の海もたとえ放射性物質で汚染されていたのとしても、このように美しい風景を見せてくれるはずです。水銀で汚染された水俣の海を見た時も同じような気持ちになりました。あの海を見て、こんなに美しい水俣の海を、目に見えない危険物で汚染するとは、人間とはなんと罪深いことをするものかという気持ちになったものですが、あの事件を教訓にすることができず、我々日本人は今また放射性物質で海を汚しています。
見た目には見えなくとも、汚染物質は海の動植物に取り込まれ、あるものは死に、あるものはがんになり、あるものは見た目には顕著な影響は見えずとも、放射性物質を持ち続けます。原子炉から排出された物質が放射能を持ち続けているかぎり、放射線をまき散らしながら自然界を回り続けることになります。薄まったように見えても、あるものは動植物の体内で濃縮されることがあります。いわゆる生物濃縮です。水銀やカドミウムが動物体内で濃縮されることは有名ですが、放射性物質でも
放射性核種の生物濃縮 (09-01-04-02)
この表が掲載されていた元の文献はこちら(財 高度情報科学技術研究機構)にあります。
これを考えると、今は大丈夫でもしばらくすると、この海からとれた海産動植物を食べられなくなることは確実ということになります。この先、何十年何百年も漁のできない海になってしまいます。もちろん、陸地も原発の周囲数キロは人の住めない、農業もできない土地になってしまいます。
というわけで、毎日大量の放射性物質を空気中だけではなく海にまでまき散らしている我が国のことを世界は非常に迷惑に思っていることは間違いなく、もちろん我々は日本人として東京電力および政府に抗議したい気持ちでいっぱいですが、いったん国際的な見地に立つと、世界の人々が我々に対して抗議したい気持ちでいることも痛いほどわかります。
海を、大気を、地球を汚してスミマセン
ともかく、一日いや一時間でも早くこの状況を収めない限り、汚染がどんどん拡大し続けることだけは確実です。世界の人々に頭を下げて助けを求める必要がある事態だと思います。それは政府の責任というものでしょう。
と書いているうちに、なんと2号原発からの白煙というニュースまでもが、入ってきました。被害はまだまだ拡大するのでしょうか。
by stochinai
| 2011-03-30 20:56
| 環境
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