2005年 04月 27日
JR西日本に捧げる
新しいエントリーを書こうと思ったのですが、あまりの情けなさに脱力状態ですので、JR北海道のために3月14日に書いた私のエントリーを、そっくりそのままJR西日本さんに捧げさせてもらいます。
3月14日
事故が多発するJR北海道
----------------
12日は国公立大学の2次試験後期日程の日でした。そして、JR北海道でまた事故がありました。新得駅で貨物列車が停止信号を無視して暴走したのです。
奇しくも、大学入試の前期日程の2月25日にも、北広島市のJR北広島-上野幌駅間で貨物列車の機関車が立ち往生して、千歳線が朝から一時不通になり、当日行われた北大や札幌医大の入試の開始が1時間半から2時間遅れるという大事件が起きています。
ここのところ不気味にJRの事故が多くなっている気がします。今のところ幸い、ケガ人が出るような事故は起こっておりませんが、いつ人身事故が起こっても不思議がない状況であることはJRでも認識しているようです。
先日、高知県で運転士が死亡する特急列車の暴走事故がありました。JR北海道では、今年になってからもはや12件の事故が起きており、昨年1年で起こった事故件数の10件を越えているとのことです。
私には、これらの事故の根底に何かしらの共通する原因があるのではないかと思われてなりません。
さまざまな安全装置が付けられているので、場合によっては人が居眠りしても安全に走行できるようになっているとさえ言われている航空機でさえ、2-3名の乗員がコックピットに入っています。
一方、ATSやATCという装置がついているとは言え、無人での走行ができるほどには自動化していないJRや民間の鉄道はどうなのでしょう。運転席にいるのは運転士が1人なのではないでしょうか。
JR北海道貨物の支社長は「現場の社員一人ひとりにまだまだ安全意識が浸透していないからではないか」と話しているそうですが、逆ではないでしょうか。安全意識が徹底して守られていた時代から、それを守ることができないくらい社員が酷使されたり、志気が低下してきているということの方がありそうな話だと思いました。
今後も事故が続きそうだと思われるのは、これらの異常に多発している事故に対する対策が「支社幹部が社員と安全について直接対話」することや、「関連会社へ指導を徹底」するなどという1円のお金もかからない精神主義だというところからです。
事故が起こっているのに、具体的にものを動かす対応をとらずに「がんばりましょう」とかけ声をかけるだけで何とかなると思っている人は、自分が猛烈に睡魔に襲われた時に精神力だけでどのくらい抵抗できるか考えてみたら良いと思います。意識の力だけで睡魔と闘うことがいかに無力かということは、水で顔を洗うあるいは水を浴びるという実力行使をしてみたらすぐにわかることです。
JRの事故に関しても、運転士1人1人に注意を喚起するということではなく、運転中に彼らの注意を喚起できる外部からの刺激(理想的には2名体制でしょうが)を与えることを考えるべきだと思います。
経費を節減しているつもりでも、実際に事故が起こってしまうと、支払いきれない損害が生じることをそろそろ思い出しておきましょう。大事故が起こってからでは遅すぎます。
歴史から学ぶということは、そういうことだと思います。
追記:北海道のJRにはJR北海道とJR北海道貨物という二つの会社があるらしいです。でも、事故が多くなっているという点については、同じような傾向がありそうです。
3月14日
事故が多発するJR北海道
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12日は国公立大学の2次試験後期日程の日でした。そして、JR北海道でまた事故がありました。新得駅で貨物列車が停止信号を無視して暴走したのです。
奇しくも、大学入試の前期日程の2月25日にも、北広島市のJR北広島-上野幌駅間で貨物列車の機関車が立ち往生して、千歳線が朝から一時不通になり、当日行われた北大や札幌医大の入試の開始が1時間半から2時間遅れるという大事件が起きています。
ここのところ不気味にJRの事故が多くなっている気がします。今のところ幸い、ケガ人が出るような事故は起こっておりませんが、いつ人身事故が起こっても不思議がない状況であることはJRでも認識しているようです。
先日、高知県で運転士が死亡する特急列車の暴走事故がありました。JR北海道では、今年になってからもはや12件の事故が起きており、昨年1年で起こった事故件数の10件を越えているとのことです。
私には、これらの事故の根底に何かしらの共通する原因があるのではないかと思われてなりません。
さまざまな安全装置が付けられているので、場合によっては人が居眠りしても安全に走行できるようになっているとさえ言われている航空機でさえ、2-3名の乗員がコックピットに入っています。
一方、ATSやATCという装置がついているとは言え、無人での走行ができるほどには自動化していないJRや民間の鉄道はどうなのでしょう。運転席にいるのは運転士が1人なのではないでしょうか。
JR北海道貨物の支社長は「現場の社員一人ひとりにまだまだ安全意識が浸透していないからではないか」と話しているそうですが、逆ではないでしょうか。安全意識が徹底して守られていた時代から、それを守ることができないくらい社員が酷使されたり、志気が低下してきているということの方がありそうな話だと思いました。
今後も事故が続きそうだと思われるのは、これらの異常に多発している事故に対する対策が「支社幹部が社員と安全について直接対話」することや、「関連会社へ指導を徹底」するなどという1円のお金もかからない精神主義だというところからです。
事故が起こっているのに、具体的にものを動かす対応をとらずに「がんばりましょう」とかけ声をかけるだけで何とかなると思っている人は、自分が猛烈に睡魔に襲われた時に精神力だけでどのくらい抵抗できるか考えてみたら良いと思います。意識の力だけで睡魔と闘うことがいかに無力かということは、水で顔を洗うあるいは水を浴びるという実力行使をしてみたらすぐにわかることです。
JRの事故に関しても、運転士1人1人に注意を喚起するということではなく、運転中に彼らの注意を喚起できる外部からの刺激(理想的には2名体制でしょうが)を与えることを考えるべきだと思います。
経費を節減しているつもりでも、実際に事故が起こってしまうと、支払いきれない損害が生じることをそろそろ思い出しておきましょう。大事故が起こってからでは遅すぎます。
歴史から学ぶということは、そういうことだと思います。
追記:北海道のJRにはJR北海道とJR北海道貨物という二つの会社があるらしいです。でも、事故が多くなっているという点については、同じような傾向がありそうです。
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花見月
at 2005-04-27 14:21
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昨日、JRを利用しようと、駅に行ったら、踏切事故で常磐線が遅れていました。原因は、踏み切り内で大型トラックと、特急電車が衝突、脱線でした。
この地域では、筑波と東京を結ぶ「筑波エクスプレス」が8月に開業します。当初JRは料金面での優位を予想していたようですが、
ふたを開けてみると、料金はほとんど同じ。多くの客が新しい路線に流れることになりそうです。
そこでJRは特急電車を増やして、スピードで勝負をかけるつもりのようです。
競争は必ずしも利用者のためになりません。
安全面をこそ、JRの誇りにして欲しいです。
この地域では、筑波と東京を結ぶ「筑波エクスプレス」が8月に開業します。当初JRは料金面での優位を予想していたようですが、
ふたを開けてみると、料金はほとんど同じ。多くの客が新しい路線に流れることになりそうです。
そこでJRは特急電車を増やして、スピードで勝負をかけるつもりのようです。
競争は必ずしも利用者のためになりません。
安全面をこそ、JRの誇りにして欲しいです。
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stochinai at 2005-04-27 22:21
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Juny
at 2005-04-30 00:00
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生命科学系の研究者のブログが少しずつ増えてきましたが、京大の柳田先生も今回の事故のことを事前に危惧していたようです。
でも、一般人が「危ない気がする」と思っても、その会社の電車に乗らないことくらいしかできないのでしょうか…。選択肢が他にほとんどないですよね。
http://mitsuhiro.exblog.jp/m2005-04-01/#1455010
http://mitsuhiro.exblog.jp/m2005-04-01/#1602192
でも、一般人が「危ない気がする」と思っても、その会社の電車に乗らないことくらいしかできないのでしょうか…。選択肢が他にほとんどないですよね。
http://mitsuhiro.exblog.jp/m2005-04-01/#1455010
http://mitsuhiro.exblog.jp/m2005-04-01/#1602192
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stochinai at 2005-04-30 13:20
Junyさん、情報をありがとうございます。
柳田さんのエントリーを読ませていただきました。非常に率直な物言いで、好感が持てました。
問題は、ネットのあちこちにちらばる有益な意見が、なかなか当事者には伝わらず、ましてや吸収してなどもらえないということですが、いずれそうしたものを整理するツールも出てくることを期待したいと思います。
柳田さんのエントリーを読ませていただきました。非常に率直な物言いで、好感が持てました。
問題は、ネットのあちこちにちらばる有益な意見が、なかなか当事者には伝わらず、ましてや吸収してなどもらえないということですが、いずれそうしたものを整理するツールも出てくることを期待したいと思います。
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stochinai at 2005-05-02 19:47
桜日和さん、TBありがとうございました。同じものが重複していたようで、しかも後のものはサーバーが見つかりませんエラーが出ていましたので、削除しておきました。何か不都合がありましたら、お知らせ下さい。
by stochinai
| 2005-04-27 12:27
| つぶやき
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