5号館を出て

shinka3.exblog.jp
ブログトップ | ログイン

まだこんな接待漬け商売が続いていたのか医薬品業界

 昔、医薬品のセールスは「プロパー」と呼ばれる販売員によって担われていて、そのプロパーさん達の主な業務活動が医師や薬剤師、薬局長の接待だと聞いたことがあります。時代が移り変わり、プロパーさんという名前がなくなり、今は同じような立場の方をMR(メディカル・りプレゼンたティブ:医薬情報担当者)と呼ぶようになって、昔のような激しい接待攻勢などはなくなったのだと思っておりました。
c0025115_19513935.jpg
 (C) photoXpress (本文とは関係のないイメージです。)

 そんな気持ちでいたら、今さら目を疑うようなデジャブ感のただようニュースに出会いました。ミクスOnlineからです。
メーカー公取協 医師らへの接待関連行為規制見直し骨子決める 禁止行為と可能行為を明確化
             公開日時 2011/05/20 05:02

 医療用医薬品製造販売業公正取引協議会(メーカー公取協)は、医師ら医療者に対するメーカーの接待関連行為について見直す内容の骨子を決め、5月19日の通常総会に報告した。これまでも接待関連行為については公正競争規約で華美、過大なものであれば違反となるとされ制限されてきたが、規定があいまいで、解釈の違いが生まれ、それが違反につながるケースもあった。
 要するに、ルールがあいまいだったので、実質上接待漬け商売がなくなっていなかったということのようです。というわけで、一つずつ例をあげるとともに、それぞれのケースで具体的な金額までも示しているのですが、その小中学生に対するような例示の仕方もさることながら、その金額の大きさにも驚いてしまいました(という、私の生活水準が貧乏臭すぎるのでしょうか??)。ここに書いてある見直し後の値段でも、まだかなり高い気がするのですが、それは今まではどんなにお金を使っていたのかという事が推し量られるということでもあります。
▽商談の打ち合わせに伴う飲食は1人単価5000円を上限とする
▽医薬情報担当者によると自社医薬品の説明会に伴う茶菓・弁当は1人単価3000円を上限とする
▽自社医薬品講演会に伴う情報交換会(立食パーティ)での飲食は1人単価2万円を上限とする
▽講演会役割者に対する慰労等の飲食は1人単価2万円を上限とする
▽講演会・研究会等の世話人会等の会議出席者への飲食は1人単価2万円を上限とするとする
▽アドバイザリー会議等の会議出席者への飲食は1人単価2万円を上限する
これら以外の飲食の提供は禁止。飲食提供後、改めて提供内容を変えて飲食を提供すること(いわゆる2次会)も禁止。ゴルフや釣り、観劇、遊興などの「娯楽の提供」も禁止する。
 さすがに、「金額が大きすぎるとの意見が多かった」らしいとも書いてあるので、ちょっとは安心したのですが、「医療業界の常識は庶民の非常識」という慣例に押し戻されたということののでしょうか。

 そもそも、医薬品業界が賄賂と見紛うばかりの接待費を使っているのは、それが回収できるからであり、回収される分は医薬品の価格に上乗せされているというのは、資本主義の論理であり、そんなことは誰でもわかることです。

 ただでさえ、健康保険などで支払われる医療費が膨らみ、保健制度そのものが破綻しかねないとまで言われている陰で、このような「無駄な」あるいは「不浄な」お金が営業活動に使われて、医療費を押し上げているのだとしたら、何をかいわんやです。

 おそらく接待される医師など「関係者」の方々の多くはこの現実をご存知なのだろうと思われますので、売る側の姿勢が変わらないのだとしたら、買う側あるいは利用を媒介する側の医療関係者の方々が「接待拒否」の強い姿勢を示していただけないものかと思います。

 接待されなければ生活できないほど苦しい生活をしているのでなければ、なんとかそこは公明正大にしていただけないものかと願うばかりです。
Commented by まちのあかり at 2011-06-21 20:47 x
私は家族が接待される側に長くおりますが、昔ほど酷くはないにせよ一般的な金銭感覚とはやはり乖離していますよ。こんなルールを作ったって交通費名目で渡したり、換金性の高いもので渡すことも出来ますから。接待を受けない医師もいますし、特に公務員の医師は接待を受けづらくはなりましたが、薬があっての医療だというフラットな姿勢でMRさんと対峙している医師は今も昔も少数派です。
Commented by stochinai at 2011-06-22 14:34
 コメントありがとうございます。「やっぱりか」という思いで読ませていただきましたが、被害を被る人がはっきり見えないという構造が問題の解決を遠のかせている気もします。そういう時こそ政治の出番なのでしょうが、日本の政治は「アレ」ですからね。
Commented by Blue at 2011-06-24 10:57 x
まあ、お恥ずかしいですね。でもだいぶ良くなりました。昔のことを知っているMRさんが、それでも古い開業医の先生が、未だにこうしろああしろと言うのには参るとか言っていましたね。これ以上に問題なのは、もっと巧妙に製品販売促進戦略でしょうね。医学研究自体のスポンサーをメーカーがやり、学術的な発表論文をスピンして、さも効果があるように販売する。それも一般人を対象に巧妙に宣伝する戦略です。医師に対する接待はいずれは消滅するでしょうが、販売戦略はマーケティングと称してますます行われるでしょう。新しい糖尿病新薬などがそうでしょうかね、、、
Commented by stochinai at 2011-06-24 22:14
 一気に変わるというのはさすがに難しいことのようですね。一方で行われるようになったという販促戦略は原発と同じ手法ですね。それならば、今の社会は多かれ少なかれどんな営利企業でもやっていることなので、それはそれで「フェア」だといえるのかもしれません。ただし、バレたときの反作用リスクはしっかりと覚悟しておかねばなりませんが。
Commented by Blue at 2011-06-25 08:57 x
その「フェア」が問題です。私はお上の取り締まり、政治の出番という発想では対応できないと思います。Conflict of Interestを見ればわかるように、各大学がもう遵守していますが、規程にふれなければいいということで、各大学医学部の教授は薬剤メーカーの広告塔となっています。薬剤メーカーの戦略は、まず一般大衆に効果的な薬剤ができたことを喧伝して、さらに医師に研究結果(都合の良いデータ、あるいは都合の良いように加工したデータを)を提示し、研究会を行うというものです。大規模な研究はメーカーの資金t提供がなければ、出来ないようなものです。特に日本では公的な研究資金は限られています。医師に対するオマケ、接待などは相対的に大したもんではない大規模なマーケティング戦略です。そのような戦略に対しては大学や研究機関が毅然とした対応が不可欠ですが、国立大学自体が独立法人化され稼ぐ体質に変化してますから、極めて難しいですね。
Commented by stochinai at 2011-06-25 10:12
 おっしゃるとおりのことが現実だと思いますが、それを監視できる賢い市民(国民あるいは消費者)がいなければ、対抗することは極めて難しいということだと思います。市民のための科学者を含んだNPOなどの存在が期待される所以だと感じています。
Commented by Blue at 2011-06-25 11:44 x
そうですね、NPOを含めて、言論や報道の自由、オカシイと思ったら率直に意見できる、インターネットに代表される(スポンサー付きの大メディアではない)中メディアの活躍の場かもしれませんね(ちなみにNHKのスポンサーは政府ですから)。
Commented by 医療関係者 at 2011-12-21 22:53 x
私は接待される側とする側が家族や身内に大勢おりますが、はっきり言って接待とかって迷惑なんですけど。不安だし心配なことだらけです。奥さんや彼女の立場から言わせてもらうと。だから、接待なんて無くなって欲しいです。家族はみんな迷惑してます。
by stochinai | 2011-06-20 20:23 | 医療・健康 | Comments(8)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai