5号館を出て

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人間ドック

 今日は一日人間ドックでした。世の中にはおもしろい学会がたくさんあるとは思っていましたが,この「人間ドック学会」もある意味で,かなりおもしろい気がします。
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 人間ドックといえば,昔は「自覚症状がないがんを発見する」ということで名を挙げたような気がするのですが,最近はどうなのでしょう。この人間ドック学会で出している毎年のプレスリリース「人間ドックの現況」を見ると,確かに人間ドックでは確実にがんが発見され続けているのですが,その成績は年々増加しているということではないようです。
人間ドック_c0025115_198315.jpg
 それよりもおもしろい(?)のは,先日のニュースにもありましたが人間ドックを受診した人の「健常率」がどんどん低下しているということです。
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 これは地域ごとのデータで,北海道や東海・北陸,近畿などに特徴的にみられることですが,年を追うごとに急激に健常者の割合が減っているという傾向があります。といって,特にどこの地域の健常者が少ないというわけでもないのはこの図を見るとわかります。「健常者」はどこにも多くないのです。
人間ドック_c0025115_191061.jpg
 全国的に健康な人が減っていることと,我々の食生活などの生活習慣が関係していそうだということはどなたもおわかりだと思いますが,次の図をごらんください。
人間ドック_c0025115_1905284.jpg
 年を追うごとに増加している,高コレステロール,肥満,肝機能異常はすべて高カロリー食生活あるいは飲酒などと関連した項目です。

 要するに日本のほとんどの地域において,食べる・飲むということにおいて「必要以上」の摂取をしている人の割合が増えているということなのだと思います。

 その検査値が「異常」だからといって,即「病気」というわけではないところが「検査値」の難しさでもあり,人間ドックの結果の生かし方の難しさだとも思います。もちろん,ドックの目的は明らかな「病気」になる前にそれを阻止し,病人を減らすことなのですが,捉え方如何によってはドックで「異常値」が出た人はすでに病人であり治療を要する存在なのだということになってしまい,本来の目的である病人を減らすことから病人を増やすことになってしまうという本末転倒になりかねません。

 というわけで,異常と正常の間に「要注意レベル」を設定し,なるべく早くそこから正常へと戻ってもらうためにこそ,人間ドックのデータが活用されるべきだということなのでしょう。

 私に関していえば,ずっとこの「異常」な存在に居続けている不良受診者なのですが,少なくともこの3年に関していえば,着実にすべての検査値が正常へとシフトし続けていることが判明し,今年の値だけを見たならばまだまだ「異常」ではあるものの,医師・栄養士の方々のご意見では,このまま努力を続けることで「正常値」へと着地することが十分に期待できるので,努力を怠らないようにとのアドバイスをいただきました。

 ありがとうございました。
Commented by 多門 at 2016-06-01 14:35 x
記事中の「人間ドック異常率」の画像をお借りしています。(URL)
もしだめでしたらお手数ですが以下へご連絡いただけますでしょうか。誠に勝手ながら済みません。 d7629@hotmail.com
Commented by STOCHINAI at 2016-06-01 16:25
多門さま
 コメントありがとうございました。
 もともと私の描いた図ではありませんので、引用元が「人間ドック学会」であることを明記されておられれば問題ないと思います。
 またプレスリリースは毎年出ており、最新の調査は2014年「人間ドックの現状」というのがありますので、そちらを引用されたほうがよいと思います。pdfがこちらにあります。

http://www.ningen-dock.jp/wp/wp-content/uploads/2013/09/e1ab5e9d9ec665e4918e3619911dea65.pdf

 p25とp27に同じ図の最新版がありますので、そちらを使われたほうがよろしいかと思います。
 よろしくお願いします。
by stochinai | 2011-08-24 19:32 | 医療・健康 | Comments(2)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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