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分子データでもつながったクマムシ,カギムシ,節足動物

 すっかり有名になったクマムシです(Wikipediaの写真)。
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 こちらも根強いファンのいるカギムシです(Wikipediaの写真)。
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 この2種類の動物は,昔からエビ・カニやクモ・ゲジゲジ・昆虫などを含む節足動物に近いと考えられてきており,我々も大学の系統分類学ではそのように習った記憶があります。

 ところが分子生物学的データを使った研究によると,カギムシと節足動物が近いというデータはたくさん提出されているのですが,クマムシはむしろ線虫に近いというデータが多く,論議を読んでいたのだそうです(私は,ちっとも知りませんでした)。

 日本時間で本日出たオンラインのPNASには,その「矛盾」が解消されたという論文が出ていました。

Published online before print September 6, 2011, doi: 10.1073/pnas.1105499108
PNAS September 6, 2011

分子データでもつながったクマムシ,カギムシ,節足動物_c0025115_2033338.jpg
 ミソはタンパク質を作るために発現しているmRNAの配列と,最近流行のmicroRNAの配列を比較して系統樹を描いたというところだそうです。
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 こちらが系統樹の全体像です。

 ちょっと見難いかもしれませんが,真ん中あたりに描かれている絵をみるとだいたいわかると思います。上からハエ,カニ,ゲジゲジ,クモ,カギムシ,クマムシ,線虫と並んでいます。

 今回の論文で大事なところは,上に固まった節足動物のそばにカギムシがいて,その蕎麦にクマムシがいるという系統樹が描かれたというところです。

 左側の系統樹はmRNA(EST)の近縁度で描いたものです。
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 古典的な形態による系統樹をうまく一致しています。

 それだけだったら,使った遺伝子や動物を操作して無理やりつじつまを合わせたのではないかといわれかねないのですが,今回は右側にあるmicroRNAの比較によって描いた系統樹が,左側の系統樹と矛盾のない枝を描いたというところがポイントです。
分子データでもつながったクマムシ,カギムシ,節足動物_c0025115_20143997.jpg
 2つの独立した分子による比較で同じ結果が得られたということは,その確からしさの大きな保証になります。

 というわけで,結果としては昔から我々が教えられてきた動物の系統関係が正しかったということをサポートしただけと言えなくもないのですが,古典的分類と分子系統学の矛盾のない統一というのがもっとも落着く結末で,我々動物学者はホッとするのです(微笑)。
by stochinai | 2011-09-07 20:49 | 生物学 | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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