5号館を出て

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園芸の中の理科

 植物を育てていると,その多くは生物学ですが,いろいろな理科のネタに出会います。

 これは,ツタの枝を水に差したものです。
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 最初は生花のつもりだったのですが,ツタは水挿しにしているだけでもとても根の出やすい植物で,あっという間にどんどん根が張ってきました。こうなると土に植えてやるだけで「無性生殖」が実現してしまいます。

 こちらは秋の風物,ホオズキです。
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 写真を撮っていた時には気がつかなかったのですが,アリが一匹袋の上を歩きまわっています。

 古い日本画にもホオズキにたかるアリが描かれているものがあります。アリがホウズキの実の汁を吸いに来ているのか,それともホオズキにたかるアブラムシが狙いなのか,他の虫が狙いなのかわかりませんでしたが,いずれにしても生態学的に興味深い現象があるはずです。

 こちらはムクゲです。
園芸の中の理科_c0025115_23202276.jpg
 よく見ると,たくさんあるオシベのうち,根元の方にあるいくつかのものが花びらのように変化していることがわかります。もともと花びらというものは葉っぱが変化したものなのですが,この写真をみるとオシベも花びらに変化することがあることもわかります。八重咲きの花というものはこのようにオシベやメシベが花びらに変化してできるものだという「進化」の現場をのぞき見ることもできるのです。

 オシベやメシベも花びらもみんな葉が進化してできたものですから,オシベやメシベは意外と簡単に花びらに変化して,八重咲きの花ができるのです。というわけで,八重咲きには種ができないものが多い理由も簡単にわかりますね。

 ここのところ,雨が多いので上の写真のムクゲもそうですが,花びらにも雨粒がついていることが良くあります。この雨粒がレンズの働きをするので,物理学の勉強もできます。
園芸の中の理科_c0025115_2332771.jpg
 フクシアの花びらについた水滴の中に何か見えます。拡大してみると,こんなふうに見えます。
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 凸レンズで遠くの景色を見るとさかさまになるということがはっきりと実感できますね。

 というわけで,庭の周辺には理科がいっぱいです。
by stochinai | 2011-09-17 23:36 | 生物学 | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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