2005年 05月 07日
大学はどこへ行くのか
「大学教育を考えたりする私」さんが、2006年度に設置が予定されている学部、2006年に新設が予定されている大学、および2007年度に予定されている大学をめぐる出来事というリストを出しておられます。
特にコメントもつけずに並べてあるだけなのですが、それを見ているとなんだか考え込まされてしまいます。
2007年度の出来事の最初に「大学・短大全入に」と書いてあるのですが、そのくらい大学入学者数が減っているにもかかわらず、大学や学部がどんどんと増えているという印象を受けます。
もちろん廃止になる学部や倒産する大学も出てくるのでしょうから、単純に増加していくわけではないと思うのですが、何か学生数減少と学部・大学の新設には整合性が感じられません。
ご存じの通り、大学というものは文科省が設置を認めてくれなければ作ることはできませんので、このリストは文科省が認めたものということなのでしょうが、文科省としてはしっかりとしたビジョンを持って認可作業を進めていることを期待したいと思いますが、本当に大丈夫なのでしょうか。
設置予定の学部に医療や看護、保育それにはやりの「こども学部」などというものが目立つのは、少子高齢化社会への対応としてわかるのですが、城西国際大学 観光学部、京都精華大学 マンガ学部、園田学園女子大学 未来デザイン学部などというものは、大学でやらなければならないものなのかどうか、疑問も残ります。
また、相変わらず名前からでは訳のわからないものもあり、工学院大学 グローバルエンジニアリング学部、駒澤大学 グローバル・メディア・スタディーズ学部などでは、どんなことをまなぶことができるのでしょう。
新設の大学9校のうち、札幌に3校もあります。札幌市立大学 デザイン学部 看護学部、札幌大谷大学 音楽学部、北海学園商科大学 商学部です。札幌市立大学以外は、母体となる大学がすでにありますので、純粋の新設というわけではないのですが、札幌市立大学は完全な新設です。我々の大学との競合も予想されることになるのでしょうか。さらに名寄市立大学 保健福祉学部を加えると、新設大学9校中4校が北海道ということになります。経済的に冷え切っていると言われている北海道で、新たに大学をそんなに増やして大丈夫なのかと、とても心配になります。
さらに2007年に予定されているイベントのエントリーを見ると、「早稲田大学理工学部が『先進理工学部』『基幹理工学部』『創造理工学部』の3つになる」など、特定の大学が独走する予想も見て取れる感じです。
たとえ私立大学でも、文科省から認可されると多額の補助金が出るはずで、それは我々の税金によってまかなわれるので、我々も大学の将来について考えコメントする権利があると思います。どんどん作ってはつぶれて、そのたびにたくさんの被害者となる学生と、多額の税金の浪費が行われるのだとしたら、そうそう黙って見過ごすわけにはいきません。
なんだか最近は、監視しなければならないものが多すぎて困ります。そういうことをやってもらうために、政府とか官庁とかがあるはずで、そのために税金を納めているはずなのに、税金を払った上に、大変になっている現状ってやっぱり変だと思います。
特にコメントもつけずに並べてあるだけなのですが、それを見ているとなんだか考え込まされてしまいます。
2007年度の出来事の最初に「大学・短大全入に」と書いてあるのですが、そのくらい大学入学者数が減っているにもかかわらず、大学や学部がどんどんと増えているという印象を受けます。
もちろん廃止になる学部や倒産する大学も出てくるのでしょうから、単純に増加していくわけではないと思うのですが、何か学生数減少と学部・大学の新設には整合性が感じられません。
ご存じの通り、大学というものは文科省が設置を認めてくれなければ作ることはできませんので、このリストは文科省が認めたものということなのでしょうが、文科省としてはしっかりとしたビジョンを持って認可作業を進めていることを期待したいと思いますが、本当に大丈夫なのでしょうか。
設置予定の学部に医療や看護、保育それにはやりの「こども学部」などというものが目立つのは、少子高齢化社会への対応としてわかるのですが、城西国際大学 観光学部、京都精華大学 マンガ学部、園田学園女子大学 未来デザイン学部などというものは、大学でやらなければならないものなのかどうか、疑問も残ります。
また、相変わらず名前からでは訳のわからないものもあり、工学院大学 グローバルエンジニアリング学部、駒澤大学 グローバル・メディア・スタディーズ学部などでは、どんなことをまなぶことができるのでしょう。
新設の大学9校のうち、札幌に3校もあります。札幌市立大学 デザイン学部 看護学部、札幌大谷大学 音楽学部、北海学園商科大学 商学部です。札幌市立大学以外は、母体となる大学がすでにありますので、純粋の新設というわけではないのですが、札幌市立大学は完全な新設です。我々の大学との競合も予想されることになるのでしょうか。さらに名寄市立大学 保健福祉学部を加えると、新設大学9校中4校が北海道ということになります。経済的に冷え切っていると言われている北海道で、新たに大学をそんなに増やして大丈夫なのかと、とても心配になります。
さらに2007年に予定されているイベントのエントリーを見ると、「早稲田大学理工学部が『先進理工学部』『基幹理工学部』『創造理工学部』の3つになる」など、特定の大学が独走する予想も見て取れる感じです。
たとえ私立大学でも、文科省から認可されると多額の補助金が出るはずで、それは我々の税金によってまかなわれるので、我々も大学の将来について考えコメントする権利があると思います。どんどん作ってはつぶれて、そのたびにたくさんの被害者となる学生と、多額の税金の浪費が行われるのだとしたら、そうそう黙って見過ごすわけにはいきません。
なんだか最近は、監視しなければならないものが多すぎて困ります。そういうことをやってもらうために、政府とか官庁とかがあるはずで、そのために税金を納めているはずなのに、税金を払った上に、大変になっている現状ってやっぱり変だと思います。
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dennou3 at 2005-05-08 07:36
札幌市立大学は、市立高等専門学校、高等看護学院の四年制大学化です。
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taiwa
at 2005-05-08 09:18
x
高校で父母会がある時に説明がこの頃つきます。
「このところ、実力もさだかでない大学の学科ができあがっています。
惑わされぬように」と。 私立大学の学科を示唆しているのと思っておりますが・・ 私の子供も後2年後なのでこの手の情報には 関心がどうしてもいきます。何をどう判断しつつみていかなきゃならないのか
いろいろと考えをいただけます事をありがたいなと思っています。
「このところ、実力もさだかでない大学の学科ができあがっています。
惑わされぬように」と。 私立大学の学科を示唆しているのと思っておりますが・・ 私の子供も後2年後なのでこの手の情報には 関心がどうしてもいきます。何をどう判断しつつみていかなきゃならないのか
いろいろと考えをいただけます事をありがたいなと思っています。
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stochinai at 2005-05-08 11:50
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inoue0 at 2005-07-10 04:28
6年制薬学部の大半は、10年以内に倒産が続出するでしょう。
1.薬剤師需要は減る(すでに病院薬剤師数が減少している)
2.供給は現在の9000人から15000人にまで増える
3.現在のように、薬にとらわれない幅広い科学教育をして、卒業生が技術者・研究者になれるような教育は不可能になり、薬剤師に「しか」なれない人材ばかりが輩出される
ということは、関係者全員が認識しています。しかし、薬科大学で禄を食んでいる人間はそんなことは言えないんで、表向きは「薬学部の前途は洋々ですよ!」と広報してるんですね。真実を語っているのは、東京大学大学院薬学系研究科教授の松木則夫氏だけです。
1.薬剤師需要は減る(すでに病院薬剤師数が減少している)
2.供給は現在の9000人から15000人にまで増える
3.現在のように、薬にとらわれない幅広い科学教育をして、卒業生が技術者・研究者になれるような教育は不可能になり、薬剤師に「しか」なれない人材ばかりが輩出される
ということは、関係者全員が認識しています。しかし、薬科大学で禄を食んでいる人間はそんなことは言えないんで、表向きは「薬学部の前途は洋々ですよ!」と広報してるんですね。真実を語っているのは、東京大学大学院薬学系研究科教授の松木則夫氏だけです。
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stochinai at 2005-07-11 18:33
医学部では学会または医師会からの圧力(?)で、製造する医師の数を調整しているように見えます。薬剤師というのは薬学部に対してギルドを守るということに関しては力を持っていないのか、それとも薬剤師というのは薬学部の単なる専門学校部門の卒業生にに過ぎないということなのでしょうか。
どうも、職業と学部が結びついている世界のことが良くわからないものですから、いつも首をひねっております。
どうも、職業と学部が結びついている世界のことが良くわからないものですから、いつも首をひねっております。
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inoue0 at 2005-07-11 19:55
医学部定員を規制しているのは厚生労働省官僚です。医師は自由開業制なので、医師の数が増えるほど開業医も増え、医療費が膨張するので、医師数の制限で対応しようとしているんですね。
しかし、20床以上のベッドをもつ「病院」は地域医療計画の枠で制限がかかっていて、勝手に作れません。19床以下の診療所でできる医療といったら、ごく些細なものです。1回の手術で500万円の心臓手術や600万円の腎臓移植なんてできません。
しかし、20床以上のベッドをもつ「病院」は地域医療計画の枠で制限がかかっていて、勝手に作れません。19床以下の診療所でできる医療といったら、ごく些細なものです。1回の手術で500万円の心臓手術や600万円の腎臓移植なんてできません。
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inoue0 at 2005-07-11 20:01
日本薬剤師会はおろかにも「6年制」をもろ手をあげて賛成するばかりで、需給にはあまり関心がありません。もともと、薬剤師のうちで薬剤師の仕事をしている人が少数派なので、供給が2倍になっても、薬剤師たちにはあまり関係ないのでしょう。すでに職に就いている人が解雇されることはありえないし。かわいそうなのは新規学卒で、6年も「薬剤師教育」という虚構の学習をさせられて、薬剤師としての受け入れ先はドラッグストアのレジ打ちを含めても10人に2人ぐらいで、残りは大学院に進学してさらに4年かけて博士を取るか、文系就職しなくちゃなりません。
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stochinai at 2005-07-11 20:19
医学部や薬学部、それに工学部や農学部もそうかな、直接産業があるところというのは、いろんな意味で社会からの影響が大きいんですね。理解はできますが、ついてはいけません。
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stochinai at 2005-10-30 21:54
私は大学に「マンガ学」があっても良いと思いますよ。
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inoue0 at 2005-10-31 01:01
文学部や美大や音大に行っても、小説家や画家や音楽家になるにはあまり役に立たないですが、学校教育なしで「評論家」や「研究者」になるのは難しいでしょう。
マンガも同じです。音楽や美術と同様、評論のための「マンガ学」は成立しうるし、あった方が良いのですが、マンガ家になるための学科は作れないです。
マンガも同じです。音楽や美術と同様、評論のための「マンガ学」は成立しうるし、あった方が良いのですが、マンガ家になるための学科は作れないです。
by stochinai
| 2005-05-07 17:03
| 大学・高等教育
|
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