5号館を出て

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【季節のご挨拶】 今年のテーマは『祈』

 今年も、製作者がみずから年末恒例のグリーティングカードを届けてくださいました。(比較的大きなファイルのまま掲載していますので、図をクリックして拡大し、プレス印刷の風合いをじっくりと味わってみてください。)
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 さすがに今年は、ハッピー・クリスマスやニューイヤーというわけにもいかないということで、「祈」をテーマに北関東大震災および関連の事故で被災された方への鎮魂のカードになったそうです。

 それぞれの千羽鶴にものすごい個性と表情が感じられて、ちょっと怖い気もするような凄みも感じられます。

 なぜかこのカードを見て、子どもの頃に読んで、ろうそくの持つ魔力のようなものを感じた小川未明の「赤いろうそくと人魚」を思い出しました。この童話にも、海の恐ろしさが出てきますが、人間の力ではどうすることもできない自然の力の恐ろしさを、いろいろな伝説で後世に伝えようとしてきた人々の知恵を垣間見ることができます。

 確かに人間が空を飛ぶようになったり、原子力からエネルギーを取り出せるようになりはしましたが、飛行機や原発の事故に対して素手で戦うことなどできないひ弱な存在であることは、裸で暮らしていた昔と変わらない事実であり、地震や津波に対して為す術もなく抵抗出来なかった3.11の出来事を新しい伝説として後世に伝えていくことができないならば、もはや滅びるだけの存在になってしまったと言えるのかもしれません。

 さて、我々日本人はどの道を選ぶのでしょうか。 
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 これは今日の夕日ですが、これを見て人間の小ささ、自然の大きさを感じながら、自分たちにふさわしい謙虚な生き方を選べるでしょうか。

 昨年のグリーティングカードを取り出してみると、3.11を経験する前とした後で年末を迎える我々の心象風景が大きく変わってしまっていることを感じます。
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 来年の今頃までには、こうしたメルヘンの世界に素直に戻ることができるほど、回復していたいものです。
Commented by schuko at 2011-12-02 22:42
stochinai先生,3月11日の地震と津波,および福島原子力発電所の事故によってもたらされた大きな悲しみ,苦しみの中で新しい年を迎えることになります。日本だけではありません。(アラブ,ヨーロッパに限らず)世界を見渡しても,たくさんの命が暴力によって失われ,社会基盤そのものが危うくなっています。
「折り」鶴に鎮魂の「祈り」。stochinai先生に有り難く紹介して頂き(自分でコメントを書き込むのは恥ずかしいことであって)直接(メール)でお礼をしようと思ったのですが,今回はコメントさせていただきました。作法も知らず申し訳ありません。5号館ファンの母が喜びます。
by stochinai | 2011-12-02 20:07 | コミュニケーション | Comments(1)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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