2011年 12月 13日
ハイギョは四足歩行する
我々、陸上生活する四足類がサカナから進化したことについてはほぼ異論なく同意されています。サカナの中でもシーラカンスやハイギョが含まれる肉鰭類というしっかりした足のようなヒレをもっているものが進化したということも確からしいと言われています。確かにシーラカンスの生態動画などを見ていると、ヒレを肢のように使って、海底の岩の上などを歩くように泳いでいる様子は珍しいものではありません。
ティクターリクの発見などから、サカナの段階で肘や手首や指を持った手のひらを持っていたものがあり、それらの子孫が陸に上がって我々の先祖になったというストーリーは今や教科書に書かれるようになっています。
そのティクターリクの化石を掘り出したシュービン達がまたまたおもしろい論文を書きました。

現世のハイギョを観察して、彼らが水の底を「歩行」する時に、陸上のトカゲやイモリが陸上を歩くのと同じ歩行スタイルをしていることを見出したのです。
論文はオープンアクセス
シカゴ大学医学部のプレスリリースはこちら
解説記事もたくさん
使ったハイギョは日本のペットショップなどでも良く見かけるアフリカハイギョ(Protopterus annectens)です。この写真はWikipediaからお借りしたP. aethiopicusという同属異種のハイギョです(クリエイティブ・コモンズ 表示 2.5 一般ライセンスのもとに利用を許諾)。

意外と太い肢を持っています。
やったことは、ただこのハイギョが水の底を歩いている様子をビデオに撮って解析しただけです。今までも、ハイギョは歩くように水底をはっているとか、陸を歩くこともあるとか、伝説のように言われていたのですが、真剣に歩く様子を解析した研究者がいなかったのは、ちょっと驚くべきことかもしれません。かなり省力化した実験でPNAS論文として採用させたのは、さすがにシュービンの筆力だったかもしれません。
動画もあるので、それを見ると確かに短時間はトカゲ歩きやイモリ歩き、さらには両足を揃えてカエル飛びのような歩き方をしているようにも見えます。
Download Movie_S01 (AVI)
Download Movie_S02 (AVI)
Download Movie_S03 (AVI)
Download Movie_S04 (AVI)
特に後肢(サカナでいうと腹びれ)の動きは非常に肢っぽい動きをすることがわかります。前肢(胸びれ)はしばしば動きをサボっているのも、なんとも微笑ましい感じがします。こちらが、肢(ひれ)の動きを連続的に図に落としたものです。

細かいことはさておき、これを、こちらからお借りしたサンショウウオの「トカゲ歩き」と比べてみると、ゴタゴタ言わなくても、「そっくり」と感じられませんか?

というわけで、サカナが陸に上がるにあたり、ティクターリクの発見によって手のひらや腕や肢の関節がサカナの時代に進化していたことが示されたのに続いて、陸上四足動物に特異的と考えられたいたトカゲ歩きという行動すらもサカナの時代にすでに獲得されていたということを示した論文が本日公開されたということでした。
でも、よく考えてみるとコイとかの巨大なサカナがゆったりと泳ぐ様子を見ていると、この歩き方は泳ぐサカナの時代からすでに身に付いていたのではないかとふと思ってしまいました。コイの泳ぐ姿を同じようにビデオに撮って解析すると、この論文と同じようなものが1ヶ月ほどでできそうな気もするのですが、どなたかチャレンジしてみませんか(笑)。
いずれにしても、こんなふうに中学生でもできる実験をして、大物雑誌に載る論文ができるのを見るは痛快です。「世界はアイディアでできている」という言葉が、思わず口をついて出てきます。
ティクターリクの発見などから、サカナの段階で肘や手首や指を持った手のひらを持っていたものがあり、それらの子孫が陸に上がって我々の先祖になったというストーリーは今や教科書に書かれるようになっています。
そのティクターリクの化石を掘り出したシュービン達がまたまたおもしろい論文を書きました。

論文はオープンアクセス
シカゴ大学医学部のプレスリリースはこちら
解説記事もたくさん
使ったハイギョは日本のペットショップなどでも良く見かけるアフリカハイギョ(Protopterus annectens)です。この写真はWikipediaからお借りしたP. aethiopicusという同属異種のハイギョです(クリエイティブ・コモンズ 表示 2.5 一般ライセンスのもとに利用を許諾)。

やったことは、ただこのハイギョが水の底を歩いている様子をビデオに撮って解析しただけです。今までも、ハイギョは歩くように水底をはっているとか、陸を歩くこともあるとか、伝説のように言われていたのですが、真剣に歩く様子を解析した研究者がいなかったのは、ちょっと驚くべきことかもしれません。かなり省力化した実験でPNAS論文として採用させたのは、さすがにシュービンの筆力だったかもしれません。
動画もあるので、それを見ると確かに短時間はトカゲ歩きやイモリ歩き、さらには両足を揃えてカエル飛びのような歩き方をしているようにも見えます。
Download Movie_S01 (AVI)
Download Movie_S02 (AVI)
Download Movie_S03 (AVI)
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特に後肢(サカナでいうと腹びれ)の動きは非常に肢っぽい動きをすることがわかります。前肢(胸びれ)はしばしば動きをサボっているのも、なんとも微笑ましい感じがします。こちらが、肢(ひれ)の動きを連続的に図に落としたものです。


でも、よく考えてみるとコイとかの巨大なサカナがゆったりと泳ぐ様子を見ていると、この歩き方は泳ぐサカナの時代からすでに身に付いていたのではないかとふと思ってしまいました。コイの泳ぐ姿を同じようにビデオに撮って解析すると、この論文と同じようなものが1ヶ月ほどでできそうな気もするのですが、どなたかチャレンジしてみませんか(笑)。
いずれにしても、こんなふうに中学生でもできる実験をして、大物雑誌に載る論文ができるのを見るは痛快です。「世界はアイディアでできている」という言葉が、思わず口をついて出てきます。
by stochinai
| 2011-12-13 18:59
| 生物学
|
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