5号館を出て

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週末DVD劇場 「英国王のスピーチ」

 今朝9時ころの札幌。気温はマイナス4℃から5℃。ご覧のように雪です。最高気温も3.3℃ともはや慣れてしまった真冬日でした。
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 なんとなくだらだら過ごした1日でしたが、夜にはほんとうに久しぶりにDVDを1本見ました。

 『英国王のスピーチ』

 アカデミー賞作品賞、監督賞、主演男優賞、脚本賞の他、世界中で何十もの賞をとっているので、今さら内容の紹介でもないでしょうから、ちょっとした印象などを。

 それほど遠くない第二次世界大戦前後の実話ということで、資料や証人もたくさん残っているので史実にかなり忠実に作られたものだと推測されます。

 もともと吃音(どもり)だった今のエリザベス女王のお父さん、ジョージ6世が国王だった兄エドワード8世が離婚歴2回というアメリカ人のウォリス・シンプソン夫人と結婚するために、退位したため(王冠を賭けた恋)、望まない王位を継承することになり、ただでさえ吃音のために苦手だった演説をする機会が増えて追い込まれたのですが、オーストラリア人セラピストのライオネル・ローグによって吃音を克服するというお話です。

 もともとそれほどひどい吃音というわけではなかったようですが、この演説では半ば頃にちょっと目立つ部分が出てきます。



 これが、映画の中にも出てくるラジオで放送されたヒットラーナチスへの宣戦布告演説になると、ほとんど気にならないくらい改善されていることがわかります。(最初に出てくるスチール写真は映画の中でも出てきますが、実際の放送場面ではなく、放送が終わった後に撮影された「やらせ」の写真と思われます。実際の放送がどのように行われたかは、ぜひ映画を御覧ください(笑)。)



 吃音の原因が精神的なものである場合には、このセラピストのように基本的にはカウンセリングのような手法で改善できるのだということが説得力を持って描かれている良い映画だと思いました。

 この映画の後で、YouTubeにアップされている、このアルバムをみると、なんともほのぼのとしたいい気分にさせられます。バックに流れている Rosemary Clooney の "As Time Goes By" (これもカサブランカという映画の音楽ですね)も秀逸です。



 ところで、この映画に出てくるセラピストを演じるジェフリー・ラッシュという人は、昔「シャイン」という映画で狂気のピアニスト(これも実在のモデルがいたようです)を演じていたことを思い出しましたが、不思議なことにその時は彼が吃音の役を演じていました。

 ジョージの妻のエリザベスを演じていたヘレナ・ボナム・カーターは相変わらず美しいと思いましたが、上のアルバムに出てくる実在のエリザベスと同じようないわゆる中年型女性の体型になっていたのはちょっと驚きました。この役のために体重を増やしたのでなければ、お腹に何か巻いていたのでしょうか。いずれにしても、リアルを追求する役者魂を見せられたような気がします。

 これは映画のことではなく、歴史上の事実ですがジョージ6世はなんと1952年に57歳の若さで急逝しています。心臓の冠状動脈血栓だそうで、過労・心労がたたったのではないかと同情します。一方、王位を捨てて結婚した兄のエドワード8世は1972年まで生きています。国王になって短命で終わるよりは、自分の欲望の赴くままに気楽に長生き(といっても78歳)した兄の生き方もまた悪くなかったのかもしれません。

 とまあ、歴史といってもちょっと前の「昔話」みたいなお話は、知っている人や事実がたくさん出てくるという意味でも楽しめるものだと思いますが、現代史を知るお勉強としても一度は見ておいて損のない映画です。
by stochinai | 2011-12-18 23:59 | 趣味 | Comments(0)

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