5号館を出て

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ロボットに戦争をさせてはいけない

 TBSラジオが配信しているラジオ番組「荒川強啓のデイ・キャッチ!」を良く聞いています。先週はほとんど聞けなかったのですが、今朝先週の木曜日の番組で流れた山田五郎さんの「デイ・キャッチャーズ・ボイス」を聞いていろいろと考えさせられました。
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 ここにも書いてありますが、なんと「アメリカ国防省が保有する軍用機の4割が「無人機」」になってしまっているという現実があるのだそうです。(上の画像をクリックするとポッドキャストが聞けます。)

 軍事用ロボットというとすぐに偵察機を思い出しますが、今や無人飛行機は偵察だけではなくミサイルを搭載して、攻撃や爆撃も可能になっているそうです。(下の写真はWikipediaからお借りしたMQ-1 プレデター)
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 プレデターが搭載しているミサイルは2台ですが、こちらのMQ-9 リーパー(Wikipedia)は、大きなミサイルを2台、小型を4台搭載しており、かなりの破壊力を持っています。
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 航空機のみならず、地上では爆弾処理ロボットや偵察ロボットから進化した攻撃能力も持ったものがどんどん作られているようです。
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 (リモコン偵察攻撃ロボットSWORDS: Wikipediaより)

 そうかと思えば、本日配信されたエンガジェット日本版では「米DARPA、兵士が二足歩行ロボットを遠隔操作する「アバター計画」を開始」という記事もありました。
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米国防高等研究計画局 DARPA が、今度は遠隔操作で兵士の「代理」となって働く二足歩行ロボットの開発計画「Avatar プロジェクト」を開始します。

二脚ロボットが対応すべき状況としては「室内制圧、セントリーコントロール、戦闘負傷者回収」が挙げられており、生身の兵士と協力して矢面に立つ状況での利用を想定しているようです。なお、上の写真は運搬用4脚ロボ LS3 のメーカー Boston Dynamics がDARPAの資金で開発中のヒューマノイドロボ PETMAN。
 ポッドキャストの中で五郎さんもおっしゃっているのですが、せっかく我々はロボットが現実のものとなるはるか前から「ロボット三原則」という素晴らしい倫理憲章を持っているのに、これはなんとも許しがたいことです。アイザック・アシモフのロボット三原則をWikipediaから引用します。
第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
第二条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
第三条 ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。
         — 2058年の「ロボット工学ハンドブック」第56版 , 『われはロボット』より。
 日本には世界に誇る工業用ロボットの伝統があるにもかかわらず、そうしたロボット工学の技術を原子力発電所の事故にまったく活かすことができなかったことを政治家・研究者・技術者は大いに恥ずべきことだと思います。本気でお金と人を投入していれば日本には素晴らしいロボットがたくさん誕生していたはずで、そうすれば毎日たくさんの作業員を被曝させずに済んでいたのにと思いますが、アメリカにすらそうした現場で使える作業ロボットはほとんどなかったということが今回の事故で明らかになりました。

 本来ロボットは人間を救うために作られるべきものだったのに、アメリカではひたすら人間を殺すための改良が加えられているのが現実です。今回の事故に関しては遅すぎますが、今からでも遅くありませんから、原発事故を含むあらゆる未来災害(宇宙や深海、大地震・大火災・噴火などあらゆる過酷事故)に立ち向かって人間を救ってくれるロボットの開発を、日本が先導していくべきではないでしょうか。

 それこそが、本来の科学・技術というものだと思います。
by stochinai | 2012-02-20 19:46 | 未分類 | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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