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メディアの中の生命科学と生命科学用語のあり方

 知る人ぞ知る「白楽ロックビル先生」から、ご高著の謹呈をいただきました。私のようなものの存在を意識していただけるだけでも畏れ多いのに、最新刊までもいただけるとはお茶の水大学の方に三拝九拝しております。

 『メディアの中の生命科学と生命科学用語のあり方  バイオ政治学第3巻』
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 しかも、この本なかなか手に入りにくいもののようで、頂いたものには値段もついておりませんでした。ということは、当然ながらアマゾンや楽天を検索しても出てこないものです。

 こんなに素晴らしい本が普通の流通経路で手に入らないということは、日本の科学および科学コミュニケーション業界にとっては大変な損失になると思うのですが、どうしても欲しいという方には、細いながらもチャンネルはあいているようです。
 
 白楽先生の「バイオ政治学」ホームページを見ると、「訪文堂書店からのみ入手できます。ウェブサイトには映画ポスターなどが商品とされていますが、『メディアの中の生命科学と生命科学用語のあり方 バイオ政治学 第3巻』を扱っています。お問い合わせください。E-mail : service@houbundou.net TEL 042-311-1840、FAX 042-311-1846」と書かれています。

 確かに訪文堂書店のホームページに行っても、先生の本を扱っているという気配が感じられません。映画関連の商品を扱っている、かなりコアな書店さんのようです。

 この不思議な出版物(下に書かれているように、ISBNもありませんので「本」と呼ぶのも微妙なところがあります。情報を転載します。
『メディアの中の生命科学と生命科学用語のあり方 バイオ政治学第3巻』

著者 : 白楽ロックビルと白楽研究室
分類 : 科学社会学、生命科学、メディア学
出版社 : 松李軒
出版年 : 2012年2月23日
ページ数 : 232
内容 : メディアが生命科学と生命科学者のイメージを大衆に伝えている。長年、実験生命科学を研究してきた生命科学者が、生命科学者の視点から、メディアがどのように生命科学と生命科学者を描いているかを「バイオ政治学」的に思索的に記述した。メディアは「新聞」「映画」「テレビ」「イラスト」「マンガ」「コンピュータゲーム」を扱っている。さらに、最近命名された「コンピュータゲーム」由来の生命科学用語をはじめ、日本語・日本文化由来のタンパク質用語を多数収集し、それらが生命科学そのものを歪めないか、生命科学と社会との関係を歪めないかの視点で、生命科学用語のあり方を論じた。〈ソフトカバー〉
読者 : 科学メディア関係者。「新聞」「映画」「テレビ」「イラスト」「マンガ」「コンピュータゲーム」制作者および関係者。生命科学者。科学政策の政府職員。「科学社会学、生命科学、メディア学、国語学」の学部生・大学院生・大学教員・研究者。科学コミュニケータ。一般人。
ISBN : なし
 内容説明にあるように、「メディアがどのように生命科学と生命科学者を描いているか」を、「生命科学者」の視点から書いているというものの、私のようなそこいらの「生命科学者」が普通にフォローできる「新聞」の世界を遥かに越えて、「映画」「テレビ」「イラスト」「マンガ」「コンピュータゲーム」において「生命科学」と「生命科学者」がどのように扱われているかが、縦横無尽に描かれています。

 私はひたすらおもしろがって読んでいるところですが、一部の方にとっては喉から手が出るほど欲しいものではないかと思います。大学それも女子大で教えておられるということも関係あるのか、生命科学関係の講義のネタとなるような情報が満載と考えることもできる素敵な「本」です。

 内容にはそこかしこにウェブサイトのアドレスがありますが、これがまた短縮アドレスにもなっておらず、間違いなく打ち込むことは不可能と思われるようなとてつもなく長いものが多いのも、一部のオタク関係者の挑戦欲を呷りそうにも思えます。ソフトカバーの232ページには情報がぎっしりとつまっていますので、私としてはこれは電子書籍として出版して欲しかったと思っております。

 いずれにしても、これだけの力作の出版物の値段が気になっております。頂いたものは非売品で値段がついていないとしても、問い合わせたらいったい「いくら」と言われるのでしょうか?

 あなたなら、いくらの値段をつけますか、と言われそうで恐くもありますが・・・。
by stochinai | 2012-03-05 19:11 | 科学一般 | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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