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ナナホシテントウはアブラムシが好む植物を見分ける

 ナナホシテントウは植物の害虫であるアブラムシを食べてくれるので、農家や園芸家の強い味方です。
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photo credit: JKonig via photopin 

 アブラムシがいると、いつのまにかテントウムシががやってくるのは、当然のことながらアブラムシを見つけてテントウムシがやってくるのだと思っていました。生物学者の間でも当然そうだろうと思っている人が多かったようですが、その常識を覆す論文が出ました。
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 動物行動学という学術雑誌に出た論文のタイトルは「捕食者は被食者が見分ける餌の良し悪しを見分けることができるのか?」というものです。

 NewScientistに出ていたニュース「Ladybirds think like an aphid to catch a meal テントウムシはアブラムシがやっているのと同じ思考方法で餌のおいしさを見分けている」で論文を知ることができました。

 エンドウにつくエンドウヒゲナガアブラムシは、エンドウが病気になったり、まさしくアブラムシに襲われたりした時にエンドウが作る防御物質を出すなどして防御態勢にはいっているエンドウより、健康で防御態勢に入っていないエンドウを好んで食べることが知られています。

 またエンドウの防御態勢は実験的に根からベータアミノ酪酸(BABA)という物質を吸わせることで誘導することができます。このBABA自体はアブラムシにもテントウムシにも無害であり、両者ともにそれを忌避するということがないことは予め確かめられています。

 で、このBABAを根から吸収させて防御態勢に入ったエンドウを用意して、その葉っぱの上にアブラムシあるいはテントウムシを放してどの葉っぱを選ぶかということを実験してみました。
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 これがその実験のセットで、2種類の濃度のBABAで処理した葉っぱと処理していない葉っぱを置いた装置の中に動物を放します。

 その結果、葉っぱの液を吸うアブラムシがBABA処理されていない葉っぱを好むのはわかりますが、アブラムシを食べる肉食性のテントウムシまでもが、防御態勢に入っていない葉っぱを好むという結果が得られました。
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 左がテントウムシ、右がアブラムシで、ほとんど同じ傾向が出ています。

 テントウムシはアブラムシにひかれるので、同時に放してどちらの葉っぱに集まるかという実験をしても、当然のことながら同じ結果が得られました。
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 アブラムシが自分の餌の質を見分けるのは当然としても、テントウムシがどうやってアブラムシの好む餌を見分けるのかというのは謎として残っています。いずれにしても、テントウムシにとってはアブラムシの好みを見分けることで、場合によっては「待ちぶせ」することもできるので、非常に合理的な能力だと思います。

 著者らによると、こうした捕食者が被食者の好みを見分けるという機構が見つかったのは世界初だそうですが、これをきっかけに今後、同じような論文が続々と出てくるような気がします。
by stochinai | 2012-04-09 19:27 | 生物学 | Comments(0)

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