5号館を出て

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神戸3日目(言語の壁はなくなりつつあります)

 めずらしく真面目に学会に集中した1日でした。
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 日本で開催しており、参加者の大多数の日本人の学会ですが、学術発表と討論は基本的に英語だけで行われています。

 口頭発表と質疑応答は日本人同士でも英語で行います。ポスターはもちろん英語で作ることになっていますが、これに関してだけは発表者と質問者が日本人同士の時だけ日本語でやりとりすることが許されて(見逃されて?)おります。

 発生生物学会はもう何年もオフィシャル・ランゲージが英語という形式を続けているのですが、確かにみなさんがおっしゃるように英語での発表も質疑応答もだんだんと上手になってきたことを感じます。研究に関しては「論文」という基本的な最終発表手段が国際的に英語に統一されているという「現実」がありますので、おそらくこの流れは続いていくだろうと思います。

 日常的に英語を使っているわけではないのは日本人だけではなく、アメリカとイギリスを除くと欧米でも英語を不自由なく使いこなしている人がそんなに多いわけではありません。逆にアジアなどに「公用語」が英語になっているところもあります。そういう国の方々がしゃべっている時には、よく聞くと英語だとわかりますが英米のいわゆる英語とはずいぶん異なる響きを持った「言語」に聞こえることもあります。こうした状況なので、オフィシャル・ランゲージを英語にしなければならないという理由には実はそれほどの必然性がないのかもしれませんが、例えば我々日本人と中国人や韓国人というアジア人同士でもとりあえず知っている共通言語は英語なので、とりあえず英語でコミュニケーションするのが便利であるという現実もまたあります。

 というわけで、国際会議などはとりあえず英語で行うという選択は経済的などの理由も含めもっとも現実的な選択なのでしょう。もちろん英語を学ぶことがそのまま国際化であるというのは幻想だとしても、こういう状況はこれからも続きそうですので、国際的に活動するために道具としての英語を身に付けておくことはなにかと便利には違いありません。

 だからと言って、こうした学会での研究者の変化を見ていると、ネイティブになるためではなく道具として使うための英語だったら、大人になってからでも大丈夫なもののようにも思えますから、子どもに対する早期の英語教育をそれほど深刻に考える必要もないのだろうと感じたりもしています。

 さて、いよいよ最終日です。
by stochinai | 2012-05-30 23:59 | 科学一般 | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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