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コハクに封じ込められたハエ・ダニの最古記録が一気に1億年さかのぼる

 現地時間で8月27日に配信されたPNASのオンライン版に三畳紀のコハクに封じ込められた節足動物という記事が出ていました。

Alexander R. Schmidt, Saskia Jancke, Evert E. Lindquist, Eugenio Ragazzi, Guido Roghi, Paul C. Nascimbene, Kerstin Schmidt, Torsten Wappler, and David A. Grimaldi.

Arthropods in Amber from the Triassic Period.

Proceedings of the National Academy of Sciences, August 27, 2012 DOI: 10.1073/pnas.1208464109

 コハクに封じ込められた動物といえば、ジュラシック・パークに出てきた恐竜の血を吸ったカがあまりにも有名ですが、今までにコハクの中に見つかった昆虫などの節足動物は白亜紀から新生代のもののみで、せいぜい1億3千万年前のものが最古のものでした。

 北東イタリアからたくさん見つかっている三畳紀後期のコハクは2億3千万年前のものですが、その中から見つかった生物として今までには微生物以外の報告はありませんでした。こちらがザクザク出てくるそのコハクです。
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 コハクというのは木から滲み出してきた樹脂ですから、多くは「涙の形」をしています。
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 この論文の著者たちは、このコハクを詳細に調べてハエの仲間(双翅目)やダニの化石を発見しました。
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 双翅目の昆虫は部分的にしかはいっていなかったので、種までは決めることができませんでしたが、ハエではなくカであることはわかったようです。

2種類のダニはほぼ完全な標本になっており、植物を食べていた種であるということもわかりました。もちろん今までに知られていなかったものなので、新種として名前がつけられました。

 こちらがTriasacarus fedeleiと名付けられたものです。
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 そして、こちらがAmpezzoa triassicaと名付けられました。いずれの学名にも発見された地層である三畳紀Triassicを意味するtriasが入っています。

 現存するこれらのダニの近縁種の多くは顕花植物を食べて虫こぶを作らせるものですが、コハクの中から出てきたものは針葉樹を食べていたようで、虫こぶを作らせるダニの祖先は針葉樹を食べていたものであるという興味深い生態もわかってきたということです。

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 コハクは樹脂を出す植物(主に針葉樹)が進化した石炭紀(3億4千万年前)からありますし、節足動物も4億年くらい前から出現しているので、今後まだまだ1億年くらい古いコハクの中から見つかる可能性は大きいと思います。

 「化石」としては異常に保存性の良いコハクに封じ込められた動植物による古生物学のますますの発見に期待したいところです。
by stochinai | 2012-08-29 18:23 | 生物学 | Comments(0)

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