5号館を出て

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禁酒の北大祭

 大学生(=おとな)になった自覚というものが、あまりないのかもしれません。

 今年の北大祭はアルコール抜きで行うこということで、実行委員会と大学当局との間で合意が成立したようです。大学側からの公式な説明をウェブ上で見つけることはできませんでしたが、実行委員会からの説明はここにpdfファイルがあります。

 それを読んでみると、大学当局の担当者が強硬だったらしく、実行委員会は「酒類の販売・構内での飲酒の禁止、営業時間の22時までの切り上げ、保健管理センターの協力撤廃」を申し渡されたようです。さらに、もし酒類販売などを強行した場合は、北大祭への物資援助の減少・打ち切り、教室・区画の使用許可取り消し、北大祭期間中の特別休講阻止の取り消しなどをするという、対抗策(明らかな脅しですよね)も示唆してきたようです。

 実行委員会の方針としては、このまま酒類販売等を強行しようとすると、北大祭自体の開催があやぶまれるということで、大学の要求を全部呑んでしまったと書いてあります。

 まあ、自主的に北大祭を運営する主体である実行委員会が決めたことですから、とやかくいうつもりもないのですが、なかなかおとなしく素直な学生さんだというふうに感じました。

 北大生も、北大祭も変わってきているのでしょう。

 最近は学生と酒を飲んでも、飲む量もすくなければ、食べる量もお上品なものだというふうに思います。私らの年代のほうが、いい年をしてメチャメチャ飲んで学生の残した分までガシガシと食べてしまうのは、(私の個人的な状況も大きいのかも知れませんが)世代による違いかもしれないと思うことも多々あります。

 北大祭自体への思い入れも、わりとあっさりしたものなのではないでしょうか。あるいは、そんなものはほとんどないのかも知れません。お酒が飲めないのなら、北大でのお遊びは適当に切り上げて街に飲みにでかければ済むことですし、大学当局と闘ってまで得るものがあるとは思えないのなら、この決定も納得できる気がします。

 大学当局としては、前から思っていたことをちょっとだけ強く言ってみただけなのでしょうが、おそらく「こんなに簡単に通るとは思っていなかった」というのが、担当の先生方の感想のような気がします。

 同じような感想を文科省が大学に対して持ったことがあるという話を聞いたことがあります。国立大学の法人化とか、教員の任期制とか、一昔前なら絶対に大学側が受け入れるはずのないことが、今なら何でもするすると通るのだという話です。

 もちろん、私が文科省の方から直接聞いた話ではありませんから、情報源の信頼性はないのですが、なんとなく本当にように聞こえる話です。

 社会全体の変化というものが、我々おやじ世代が思っていたよりも速いスピードで起こってしまっているというのが、今の時代なのかもしれません。
Commented by Juny at 2005-05-21 21:45 x
Yahoo!のニュースのトピックスにも出ましたね。
もし死者が出ればマスコミに当局が叩かれるでしょうから、当局の考えはわかる気がします。双方の意見を見ても、当局の方が正論に近いと思います。そもそもお酒の販売が行われているのは18~20歳の学生が多い旧教養ですし…。

ただ、「飲酒も禁止」はどこまで守られるのでしょうか…。そもそも北大生協が普段お酒を売っていますからね。お酒つきで1000円の「ジンギスカンセット」だって、買っている人のうちかなりの割合は20歳以下でしょう。

公式には「ダメ」と言いつつも、「もちこみの飲酒」はある程度黙認というのが双方の妥協点ですかね。
Commented by ぢゅにあ at 2005-05-23 23:56 x
え〜っ、絶対だめ!何のため、誰のための学祭?
当局のいいなりになってまでやる学祭に何の意味がある?
問題は「酒」がいいかどうかじゃない。
確かに最近の学祭は「こどもの祭り」と批判されることもしばしばで
祭りをやることが前提になってしまって、意義は後付けという気がする。
「こどもの祭り」に酒はいらない、やらせてあげてるのだから
言う通りにしろ、と言われて悔しくない?
だからといって妥協が「おとな」な考えだというのは大間違い。
何にも属さない身分だからこそなし得る経験は
若気の至りと呼ばれるかもしれないが、決して無駄とは思わない。
少なくとも北大を社会の予備校にしてほしくない。
学生が権力に嫌悪感を感じなくなったらおしまい。
学祭がだめなら3日3晩酒瓶片手に一斉ストーム
という「お下品」な発想はもう過去の遺物ですか?
Commented by 花見月 at 2005-05-24 10:19 x
10数年前に某国立大学の大学生だったものです。
1年生の時こそ、学祭に参加したものの、一回体験すれば十分でした。
(着物着て、お汁粉売りました)
それ以降は、学祭とは、まとまって授業が休みになるので、
旅行に出かける期間といった感じでした。
(記憶が曖昧ですが、蓮見重彦先生は、学祭期間中も
決然と授業を敢行したように思います)
サークルや研究室などの団体と一心同体になっている人以外は、
周囲もそういう学生が多かったようです。

バカ騒ぎしたり、お店屋さんごっこをやったりするだけの祭にしか、
見えなかったし。
幼稚な人たちが羽目を外す祭りなら、飲酒についても
先生にコントロールしていただいた方がいいかも・・・。
Commented by ぢゅにあ at 2005-05-25 05:20 x
大学は大人の学校だと思っていました。
子供っぽかろうが幼稚だろうが学生は「おとな」です。
その学生を「こども」として管理しようとすること、管理されることに抵抗しないことが問題だと思います。
「こども」なのだから管理されて当然という風潮も問題です。
日本の教育は、学校は学問のみならず人間形成の場であるという欧米教育を取り入れ、自主性の育成をうたう一方で、子供は半人前であり大人の管理、指導が必要という儒教思想を根強く引きずり、非常に中途半端なことをやっています。大人になるには「おとな」として扱われることが必要なのだと思います。
バカ騒ぎ結構、おやじもやってます。
それに係る批判も責任もすべて負ってもらう、それが大人に対する対応です。おやじにそんな子供みたいなことはやめろと言いますか?
こんなこと言うのも私が全時代の人間だからでしょうか?
しかし「オヤジ」のたわごとってのは格好がつきますが、
「オバン」ってのは様になりませんね。
Commented by 花見月 at 2005-05-25 10:07 x
飲酒に関しては、大人と子供は、20歳で線が引かれています。
大学には18歳以上の人が在籍しており、
18歳から20歳までの人は、飲酒に関して「子供」として、
管理されるべきだと思います。

大学だから、学祭だからというので、特別扱いされるべきではありません。公共の場には、お酒が飲めない人もいるし、
酔っ払いのバカ騒ぎを不愉快に感じたり、迷惑だと思う人もいるんです。

公共物である学校の施設を破壊したり、
急性アルコール中毒で救急車を呼んだり。

こういった事件・事故は全国で毎年繰り返されています。
入学試験に受かったから、大人!というような
おごりが大学生にはあるのかもしれませんが、
社会全体の大学へのイメージは急速に変わっています。
今の大学は、周囲の人に迷惑をかけてしまう可能性がある嗜好品をどうやって楽しめばいいのか、大人の振る舞いを「しつけ」る場として社会から期待されているのかもしれません。
Commented by ぢゅにあ at 2005-05-25 23:04 x
何度もすみません。
学祭の飲酒やバカ騒ぎを肯定するつもりはありませんので、その点はご理解を。
ここ数ヶ月、訳あって学祭関係の文献を読みあさっていました。ある東大助教授の投稿文に「自分を含め教師、職員はもとより学生もまとまった休みを利用して旅行するものや、本を読みふけるものが大多数で
、大学祭には関心がない。その理由は何故か?いろいろ言われているが、要は子供っぽいのである。旧高時代の稚気をそのまま引きずっているのだ。」
1970年発行の雑誌です。実に35年前から状況は今と何ひとつ変わってません。東大の駒場祭といえば今では数日で10万人を動員する学祭です。
では、何故今になって学生の言うことは聞いてられない、がまかり通るようになったのか?私はそちらを問題にしたいと思っています。
Commented by 花見月 at 2005-05-26 12:14 x
学際の文献のお話、面白いですね。
そうですか。70年代から、変わってないのですね。
興味深い話なので、また、コメントさせていただきます。

私が現状の学祭のあり方を厳しい目でみてしまうのには、
いくつか、個人的な体験が背景にあると思います。
高校の文化祭の模擬店で、目の前で売りこの女の子のゆかたの袖に
火がつき、炎上するのを見たこと。
大学では、前日に準備した模擬店を、見張りで泊まった学生が酔っ払って破壊したこと。

この2つのできごとから、学祭について、いろいろ考えさせられました。

「なぜ、今になって・・・」ですが、
人間が過密になると、ちょっとしたことで、いさかいが起こる。
(例えば、地下鉄でのケンカが発展しての殺人など)
これまで、飲酒に関しては非常に寛大な日本社会でしたが、
そういうことが、多くなると、日本でもカナダやイギリスのように、
飲酒、喫煙のルールを厳しくならざるを得ないのではないでしょうか。

いずれにしても、規制されるという、「貴重な」機会に、
学生さんたちに、社会とキャンパスのかかわりについて、
議論を深めてもらいたいですね。

Commented by stochinai at 2005-05-26 12:21
 お二人のやりとり、興味深く見守らせていただいておりました。

 期待したとおり、とても参考になる議論を展開していただき、誠にありがとうございます。場所を提供できて、大家(?)としては喜びに耐えません。m(_n_)m
Commented by 通りすがりの北大院生 at 2005-05-27 22:01 x
 はじめまして。学生が大変おとなしい、すんなり通ってしまったという印象をお持ちのようですが、まったく同感です。
 あの「決定」からなんらの全学的な運動や署名など起こるでもなく、ただなすがままにされているのは、飲んべえの私には残念なかぎりです。
 大学の責任云々以前に、「つまんねー」という印象です。シシカバブを食べながらオレンジジュースを飲むなんて、ちょっとぞっとしますね。
Commented by stochinai at 2005-05-28 00:21
 通りすがりの院生さん、コメントありがとうございます。
 「飲んべえの私には」という下り、他人事とは思えませんでした(汗)。
 嫌いな人にとっては酒飲みは嫌悪の対象にしかすぎないかも知れませんが、適量のアルコールは人生の潤滑剤となります。上手な飲み方を知るのも大学で飲めばこそ、などというもっともらしい理屈を付ければ付けるほど空しくなるものです。
 単純に「つまんねー」に、激しく同意いたします。
by stochinai | 2005-05-21 18:17 | 大学・高等教育 | Comments(10)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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