2012年 09月 24日
チーターの模様と飼いネコの模様
飼いネコにはいわゆる「トラ」という縞を持っているものが多いです。一方野生のネコにはトラのように縞模様を持っているものもいますが、ベンガルヤマネコやチーターのように斑点模様のものもいます。
これはWikipediaからお借りしたベンガルヤマネコです。

よく見るとおでこや尾のところは縞模様になっているように見えます。
先週のScience誌には、飼いネコの縞模様を乱す遺伝子の突然変異と、チーターの斑点模様を縞模様に変える突然変異の原因となる遺伝子が同じものであるという論文が出ていました。
Science 21 September 2012:
Vol. 337 no. 6101 pp. 1536-1541
DOI: 10.1126/science.1220893
REPORT
Specifying and Sustaining Pigmentation Patterns in Domestic and Wild Cats
原著論文はちょっとという方には、スミソニアン・ドット・コムに解説記事があります。
September 20, 2012
Same Gene Guides Cheetah and Tabby Cat Coat Patterns
これはスミソニアンのサイトに載っている記事の写真でいわゆるトラ(鯖トラ)模様のネコと、縞が乱れて太くなったネコを並べたものです。

このいわゆる鯖のようなほそい縞が太く乱れたブロッチと呼ばれる縞に変わる突然変異は昔から知られていました。
サイエンス誌の論文ではこの変化の原因となるのが膜貫通型のアミノペプチダーゼTransmembrane aminopeptidase Q (Taqpep)の突然変異であることをつきとめています。
さらにこの遺伝子の変異が飼いネコの縞模様を乱す原因になっているだけではなく、野生のチーターで稀にみられるキング・チーターと呼ばれる毛皮の変異の原因でもあることを示しました。こちらはScience誌の論文に載っている図です。

左側が普通のチーター、右側がキング・チーターです。遺伝子のDNAにアデニンが一個挿入されるだけで、この変異が起こるようです。
普通のチーターは体中に小さな斑点が分布していますが、キング・チーター変異では、ネコのブロッチ変異と同じような太く乱れた縞模様になっています。もともとの模様が猫では鯖縞で、チーターでは細かい斑点なのに同じ遺伝子に起こった変異の結果、似たような模様になってしまうのは不思議です。
膜貫通型のアミノペプチダーゼが働かなくなると模様が変わるかの理由はまだはっきりしていませんが、その変化によって毛皮の模様の黒いところで強く働いているとされているエンドセリンEndothelin3 (Edn3)などの発現パターンが変わるのだろうと考えられています。
我々が見ると模様の違いは衝撃的な違いに見えるのですが、ネコやチーターにとっては模様の違いなどはほとんど気にならないようで、この写真を見てもそれがオスメスの選択に影響したり、イジメ差別を誘発したりする原因になったりすることはないようです。(スミソニアンのサイトから)

ヒトという動物が、あまりにも見た目を気にしすぎる特殊な生き物なのかもしれませんね(笑)。
これはWikipediaからお借りしたベンガルヤマネコです。

先週のScience誌には、飼いネコの縞模様を乱す遺伝子の突然変異と、チーターの斑点模様を縞模様に変える突然変異の原因となる遺伝子が同じものであるという論文が出ていました。
Science 21 September 2012:
Vol. 337 no. 6101 pp. 1536-1541
DOI: 10.1126/science.1220893
REPORT
Specifying and Sustaining Pigmentation Patterns in Domestic and Wild Cats
原著論文はちょっとという方には、スミソニアン・ドット・コムに解説記事があります。
September 20, 2012
Same Gene Guides Cheetah and Tabby Cat Coat Patterns
これはスミソニアンのサイトに載っている記事の写真でいわゆるトラ(鯖トラ)模様のネコと、縞が乱れて太くなったネコを並べたものです。

サイエンス誌の論文ではこの変化の原因となるのが膜貫通型のアミノペプチダーゼTransmembrane aminopeptidase Q (Taqpep)の突然変異であることをつきとめています。
さらにこの遺伝子の変異が飼いネコの縞模様を乱す原因になっているだけではなく、野生のチーターで稀にみられるキング・チーターと呼ばれる毛皮の変異の原因でもあることを示しました。こちらはScience誌の論文に載っている図です。

普通のチーターは体中に小さな斑点が分布していますが、キング・チーター変異では、ネコのブロッチ変異と同じような太く乱れた縞模様になっています。もともとの模様が猫では鯖縞で、チーターでは細かい斑点なのに同じ遺伝子に起こった変異の結果、似たような模様になってしまうのは不思議です。
膜貫通型のアミノペプチダーゼが働かなくなると模様が変わるかの理由はまだはっきりしていませんが、その変化によって毛皮の模様の黒いところで強く働いているとされているエンドセリンEndothelin3 (Edn3)などの発現パターンが変わるのだろうと考えられています。
我々が見ると模様の違いは衝撃的な違いに見えるのですが、ネコやチーターにとっては模様の違いなどはほとんど気にならないようで、この写真を見てもそれがオスメスの選択に影響したり、イジメ差別を誘発したりする原因になったりすることはないようです。(スミソニアンのサイトから)

by stochinai
| 2012-09-24 19:43
| 生物学
|
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