2012年 10月 04日
ヘビの攻撃から自切で逃れるカタツムリの幼個体
今朝6時の東の空です。登る朝日を眺められる季節になってきたことを改めて感じます。
さて、日本の新聞にも取り上げられていたようですが、見落としていました。海外のニュースで「日本が・・・」とか「日本人が・・・」とかいうフレーズがあるとついつい反応してしまいます。 しっぽを捨てて逃げるカタツムリとはなかなかおもしろそうなお話です。
原著の論文もオープンアクセスになっているので、是非ともごらんください。
著者は単独です。学振のポスドクで現在はオランダの研究所にいる細 将貴(ほそ まさき)さんが、世界で初めて沖縄・八重山諸島の石垣島と西表島に住むイッシキマイマイというカタツムリが捕食者であるイワサキセダカヘビに襲われるとしっぽを切り捨てて逃げることを発見しました。
もちろんカタツムリは失ったしっぽを再生できるのです。
こちらが産経ニュースに載っていた上が尾を失って再生中のもの、そして下が白く見える尾部を再生したイッシキマイマイだそうです。おもしろいことにカタツムリが成長し切ると、この自切による防御はあまり見られなくなるのですが、この時には殻の開口部に出っ張りができていて、ヘビに噛み付かれても殻から引きずり出されずにすむようになっているのだそうです。
左が開口部に出っ張りをもつイッシキマイマイで、右はそれを持たない近縁種(ヘビのいない島に住んでいます)。
といろいろとおもしろいことがあるのですが、調べているとなんと著者の細さんが自分で論文を解説しているホームページをお持ちだということが判明しました。こちらをごらんください。わかりやすい素晴らしい解説があります。
ホームページ 「人生は最適化できない!」
原著論文の解説ページの最初に「投稿論文が3回リジェクトされた」と書かれているのは、専門家にしかわからないかもしれませんが、涙なくしては読めない笑い話です。
というわけで、私がグダクダと解説するよりはご本人のページに行ってください。まとめだけを引用しておきます。
再生現象の方により興味を持つ私としては、カタツムリが小さいうちは再生力も強いのでどんどん自切して逃げて、モリモリ再生するのではないかと感じたところもあります。大きくなると再生力が落ちてくるので尾を切り捨てるのではなく殻から引っぱり出されないようになるのかもしれません。また、自切部位がどこにあってどのような構造をしているのかを明らかにできればかなりおもしろい発見になります。また、大人と子どもとで再生力に差があったりしたら、そのメカニズムを含めておもしろい研究ができそうです。
というわけで、生態学者の発見ではありますが、発生学(再生学)からみてもおもしろい現象を発見してくれたものだと感謝しています。
世界を股にかけて活躍する日本の若い研究者は頼もしいかぎりです。
さて、今日も最後の写真は例によって北大農場の夕景です。
ポプラ並木にかかる巻雲が美しいですね。
原著の論文もオープンアクセスになっているので、是非ともごらんください。
著者は単独です。学振のポスドクで現在はオランダの研究所にいる細 将貴(ほそ まさき)さんが、世界で初めて沖縄・八重山諸島の石垣島と西表島に住むイッシキマイマイというカタツムリが捕食者であるイワサキセダカヘビに襲われるとしっぽを切り捨てて逃げることを発見しました。
もちろんカタツムリは失ったしっぽを再生できるのです。
といろいろとおもしろいことがあるのですが、調べているとなんと著者の細さんが自分で論文を解説しているホームページをお持ちだということが判明しました。こちらをごらんください。わかりやすい素晴らしい解説があります。
ホームページ 「人生は最適化できない!」
原著論文の解説ページの最初に「投稿論文が3回リジェクトされた」と書かれているのは、専門家にしかわからないかもしれませんが、涙なくしては読めない笑い話です。
というわけで、私がグダクダと解説するよりはご本人のページに行ってください。まとめだけを引用しておきます。
というわけで、生態学者の発見ではありますが、発生学(再生学)からみてもおもしろい現象を発見してくれたものだと感謝しています。
世界を股にかけて活躍する日本の若い研究者は頼もしいかぎりです。
さて、今日も最後の写真は例によって北大農場の夕景です。
by stochinai
| 2012-10-04 19:03
| 生物学
|
Comments(0)