5号館を出て

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退職金も大幅削減

 我々は正確にはもう国家公務員ではなくなったはずですが、労働条件においてはいろいろ(というか、ほとんど国家公務員に準ずる扱いを受けることになっています。それでも法律上は別の存在なので、いろいろと理由をつけてこちらの労働条件を変えるのですが、結局のところ国の税金で給料をもらっているのだから、国家公務員と同じにするというのが最初から決まっているシナリオです。

 そういうわけで給与も下がっていますし、東北復興へ税金を還元するという名目で「臨時特例により、基本給及び諸手当を減額支給(減額率)9.77%」と、約1割の減給も行われています。

 年度末ということで退職される先生もたくさんおられるのですが、ついに真打の退職金削減にも手が付けられました。

 今年の退職金が減額されるということで、地方公務員である小中高校の先生が定年をまたずにたくさん辞職されて新聞を賑わせていたことは記憶に新しいですが、その頃本学でも退職金を下げることについて総長からメールが回ってきていました。1月31日のことです。

 長いのであちこちカットして、重要なところだけ残してみます。
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                  平成25年 1月31日
 
 職員の皆様へ
 
 
               総 長  佐 伯  浩
 
 
  本学職員の退職手当の支給水準引下げについて(お知らせ)
 
・・・ 
                      本年1月1日から国家公務員
について,退職手当の支給水準の引下げ

・・・

   官民比較調査の結果によりますと,国家公務員の退職給付
が約402.6万円民間を上回って                   

・・・

                  国家公務員の退職手当の支給水準
を引き下げる

・・・

                    本年1月1日から施行されました。
 
  公的な財源により運営されている国立大学法人の職員の退職
手当

引下げ

                            昨年12月に国から要


・・・

  本年3月1日施行を予定

・・・

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 要するに、この春退職する教職員から退職金を減額するということです。

 今年からいきなり400万円を減額するとショックが大きいだろうということで、2段階に分けて引下げを行うらしいです。それが、本日から施行された北大の就業規則(労働契約のようなもの?)に書かれています。
退職金も大幅削減_c0025115_18275150.jpg
 任期満了による退職は3月31日ですから、その日より前に辞めると「自己都合退職」ということになり、もともと退職金が大幅に減額される仕組みがあるので、定年退職を前に自己都合で辞める人は多くはないと思うのですが、その3月31日を含むように規程が改正されています。

 というわけで、減額のために退職金計算の基礎となる「調整率」というものを操作しているようです。

 退職金がどう決まるかというのは、私などはまったく理解していないのですが、大幅に削減されると聞くと気にならないわけではありません。退職金の算定方法の式というものがあります。

 ・退職手当額=(基本給+基本給の調整額)×支給割合+退職手当の調整額

 中に「支給割合」というところがありますが、支給割合というものが(支給率x調整率)というものからなっており、ここに「調整率」がでてきます。この調整率が今までは100分の104だったものを、最終的には100分の87にまで下げることで、退職金の官民格差が解消されるということのようです(やっぱりよくわかっていませんが・・・^^;)。

 ともかく今年定年を迎えられる35年勤めあげた教授は、規程の改正がなければもらえたはずの200万円くらいが減額されるという計算になるのだそうです。同様に、来年辞める方は400万円近く、再来年以降に辞められる方は550万円くらい減額という試算が示されています。とはいっても、これは勤続年数と、定年を迎えたときの基本給で大きく変わってくるようですので、個々の例ではかなり複雑で、これ以上は私にもちんぷんかんぷんです。

 ともかく、給料は下がるは、退職金は下がるは、仕事は増えるで、国立大学にいることのメリットがだんだんと小さくなってきているせいか、北大法学部の看板教授のお二人(山口二郎と宮本太郎)がこの春で北大を退職して、東京の私立大学(法政大学と中央大学)へ移籍することが決まっていたりします。

 もちろんお金がすべてなわけではありませんし、ワーキングプアと言われる方々や、北大の中にも非常にたくさんおられる非正規の非常勤職員の方々から見たら、正規職員の給料が何割減ろうが退職金が半分になろうがまだまだ恵まれていると見えるのも事実だと思いますが、状況の悪い方を基準にしてそれよりましなところを削っていくというマイナスの展開では、どこまでいっても誰も満足出来る状況は来るようには思えません。

 まずは、誰でもが日本国憲法で保証されている「健康で文化的な生活」を送れるだけの収入を得ることのできる社会にしなければなりません。削減された給料や退職金が、そうした方々への収入へときちんと回っていくのであれば、減らされたほうとしても納得ができるのですが、またまた道路や飛行機や原発を作ったり運用したりするために使われてなくなってしまいそうなところがとても不安なのであります。

 民主党が瓦解した後、期待できる政治家も見当たりませんので、我々としては日本の政治体制そのものを変えることが必要なのではないでしょうか。

 それは、定義からいうと「革命」ということになりますが・・・。
by stochinai | 2013-03-01 19:10 | 大学・高等教育 | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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