2013年 05月 14日
日本語目次で敷居の低くなったScienceで読む「氏より育ち」
しばらく前からScience誌もNature誌を追いかけて、日本語目次サービスを始めていましたが、ただ目次が日本語化されるのが発刊の1週間後だったので、私は使ったことがほとんどなかったのですが、いつの間にかリアルタイムで日本語目次が付いてくるようになっていました。
これが最初にアクセスした時の目次の先頭部分です。
灰色部分の右上部に日の丸と「目次(Japanese)」と書かれたところをクリックすると、この巻の今までの号の表紙が並んだページが開きます。ちょっと前までは、ここには今週号は載っていなかったのですが、最近載るようになりました。
左上の表紙に写っているモジャモジャしたものがHIVウイルスに対する免疫を作る時に使うワクチンの立体模型で、下の方でそれを支えている3個の足のようなものはその下にあるB細胞から突き出たレセプターの抗体分子だそうです。それはさておき、その表紙をクリックすると、今週号の日本語目次が開きます。
残念なことに、1週間遅れだったころにはあった表紙の説明へのリンク「表紙について」がなくなっています。(もっとも、「表紙について」をクリックしても英語の説明が出てくるだけでしたが・・・。)
同様に、目次が英語化されたといっても、日本語のリンクをクリックすると出てくるのは英語ページです。それでも、目次が日本語化されていると私程度の英語力しかない人間だと、流し読むスピードが英語の時の何十倍にも早くなるし、なにより精神的敷居がグンと低くなって助かります。
数秒で読みたい記事にたどり着きました。
なんかちょっと日本語が変ですが、問題ありません。英語ページに入ってじっくり読みます。
「遺伝的に差がない(純系の)マウスに「個性」が生じる」という論文で、中身は読まなくてもわかりそうですね。
pdfファイルをダウンロードして読んでみました。
実験は極めて単純なもので、遺伝子レベルでは個体差がなくなっている純系マウスを複雑な構造の飼育設備の中で育てて、発育とともに変化するその行動をRFIDで追跡記録して解析しています。
上が遊び場、下がRFIDを着けたネズミです。それを生後5週間から生後20週間まで追跡し、最後の3週間には脳内での細胞分裂を観察するためのBrdUという薬剤を注射して、完了です。
実験開始時にはもちろん狭い普通のケージで飼育していたものと同じ体重、同じ脳の重さだったのですが、広い空間で遊ばせて育てたネズミは実験終了時には体重も脳の重いさもケージ育ちに比べて軽かったり重かったりと多様性がでているのが面白いところです。
はっきりと差が出たのが、脳内で短期記憶を担っていると考えられている海馬における細胞分裂の数でした。
下の写真で黒く見えるのが分裂のためにDNA合成をしている細胞で、目で見ても明らかですが広い空間で遊ばせたネズミが断然多いのです。
そればかりではなく、成長とともに発達するネズミの行動パターンの多様性(複雑性、いろいろな行動をランダムにとる傾向)がこの細胞分裂が多い個体ほど高い傾向にあることも示唆されています。
まあ、あまりダイレクトに言ってしまってはいけないことではありますが、遺伝的に差がない個体同士でも、広い複雑な空間で育てることで、遺伝子に縛られない多様性(個性)が生じやすくなるということは示していると思います。
成長期の活動が個性を創りあげるという、なかなか説得力のある実験だと思いました。
これが最初にアクセスした時の目次の先頭部分です。
同様に、目次が英語化されたといっても、日本語のリンクをクリックすると出てくるのは英語ページです。それでも、目次が日本語化されていると私程度の英語力しかない人間だと、流し読むスピードが英語の時の何十倍にも早くなるし、なにより精神的敷居がグンと低くなって助かります。
数秒で読みたい記事にたどり着きました。
pdfファイルをダウンロードして読んでみました。
実験は極めて単純なもので、遺伝子レベルでは個体差がなくなっている純系マウスを複雑な構造の飼育設備の中で育てて、発育とともに変化するその行動をRFIDで追跡記録して解析しています。
はっきりと差が出たのが、脳内で短期記憶を担っていると考えられている海馬における細胞分裂の数でした。
そればかりではなく、成長とともに発達するネズミの行動パターンの多様性(複雑性、いろいろな行動をランダムにとる傾向)がこの細胞分裂が多い個体ほど高い傾向にあることも示唆されています。
成長期の活動が個性を創りあげるという、なかなか説得力のある実験だと思いました。
by stochinai
| 2013-05-14 19:06
| コミュニケーション
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