5号館を出て

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Tree of Life (生物系統樹と映画タイトル)

 今日も午後は風が強くなってきたものの(こういう時は風が止んだら雨が降りだすことが多いので、明日が不安です)、比較的暖かい一日ですこし間延びして花がスカスカに見えるレンギョウも元気でした。
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 すっかり忘れていた冬越しのカタツムリの入った飼育ケージを玄関の階段の下から引っ張りだして水をかけてたところ、2度めの冬を越えたカタツムリが殻からからだを出してきました。
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 完全に屋外ですから、マイナス20℃くらいをこの姿で耐えて冬越しするとはスゴイものだと感心します。

 そろそろ屋外園芸のこともやらなければならないのですが、まだちょっと気温に不安がある北海道です。

 さて、まったく関係のない話題ですが、先日講義の準備でウェブ検索で Tree of Life (系統樹)のことを調べていたところ、ブラッド・ピットが出ている映画がたくさんヒットしてくるので気になっていたのですが、今日たまたまブルーレイ・ディスクで見ることになりました。
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 2年前のカンヌ映画祭でパルム・ドールを取っているという話は聞いたことがあるのですが、日本で話題になったという記憶がありません。

 見てみて、すぐに理由がわかりました。紹介文などを読んでみると、親と子の葛藤を描いたドラマというふうにも思えるのですが、ドラマとしてのストーリーの流れはほとんどズタズタに切り裂かれており、ブラッド・ピットが演じる音楽家になることに挫折した偽善的なクリスチャンの長男(成長してショーン・ペン)が成長していく過程で、彼の脳裏に刻まれた嫌な記憶が次々と断片的に提示されるだけと言っても良いような画面です。それとともに監督の言いたかったことと思われる、親から子へと繋がれる生命の連鎖とそこに受け継がれる遺伝子の宿命のようなことがありそうなのですが、それをイメージさせるには、あまりにも壮大過ぎる、宇宙の誕生から、地球における生命の起源、さらには生物の進化の過程が、かなり科学的知見を注ぎ込まれた上でフラッシュ状に提示されるという、とてもわかりにくい構成になっているからです。キリスト教と生物進化という一見矛盾したものを融合させようという試みに見えないこともありませんが、反キリスト教映画と言われても仕方がない気もしました。

 また、我々科学の専門家にとっては、監督が意図していることは最新科学としてはかなり有名な映像が次々と出てきて、ある意味「なるほどね」という感じで、とてもわかりやすく伝わってくるのですが、そうではない人々にとっては意味がほとんど不明だけれども、やたらとキレイで迫力のある映像が延々と流される前半で挫折してついてこられなくなるケースが続出するだろうという不安も感じるものでした。カンヌの審査員は本当に映像の意味を理解できていたのでしょうか。

 でもまあ、わかりにくいところがなんとなく「すごい作品」と思わせるコケオドシ性もたっぷりあるので、見る人が勝手に解釈してくださいという「詩のような映画」だと思えば、それはそれでいいのかもしれません。

 というわけで、「映画でしか表現できない」という意味では映画らしい映画を見た週末でした(笑)。
by stochinai | 2013-05-19 23:38 | つぶやき | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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