5号館を出て

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寒い夏至に熱い講義

 夏至だというのに薄ら寒く、最高気温が16.7℃までしか上がらなかった今日の札幌の空を、また例の飛行船が寒そうに漂っていました。
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 そして、夕方には全学教育部で、理学部各学科が交代で担当するサイエンス・グローブがあり、我が生物科学科(生物学)が担当する順番が回って来ました。

日 時:6月21日(金)18:30-19:30
場 所:高等教育推進機構 N1教室
講 師:和多 和宏(生物科学科(生物学)・准教授)
     「生物学から「生き方」を考える-生物学の最前線からみえる自分たちの可能性-」
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 講義は「芸の域」に達していました。
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 理学部には珍しいお医者さんの和多先生だけあって、まずは遺伝子の異常で100%発症する病気の話題で学生の心をつかみ、遺伝子だけで決まってしまうものと、それだけでは決まらないものを次々と挙げていきます。

 前半の話のまとめはこちらです。
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 そして、遺伝子では決まらないように見えても、DNAに刻み込まれその後の運命を決めてしまうエピジェネティクスへと巧みに話を展開していきます。

 続いて、今、ご自身が研究されているソングバード(鳴く鳥)の話へと話題が進むとともに、トリが鳴き方を覚えるにも個性があり、しかも臨界期を越えると覚えることができなくなる鳴き方は、どうやらその個性とともにエピジェネティクスによってDNAに刻み込まれるということがわかってきたというのです。
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 もちろんヒトが言語を覚える時にも同じようなことが起こっていることが推論され、さまざまな刺激を受けヒトの個性が形成される時にも、脳内のDNAにいろいろなエピジェネティクス的変化が起こっているかもしれないのだと、たたみ込みます。

 最後は、今大学生の君たちは様々な刺激を受け学ぶことで高次な脳の認知機能を獲得するのにもっとも良い時期にあるのだと強調し、その時期に「がんばらないでどうする」という強いメッセージが届けられたのでした。
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 1時間の予定だった講義はあっさりと1時間半に達してしまいましたが、講義の始めの頃に一人だけ部屋を出た学生を除くと、誰ひとり最後の最後まで席を立つことがありませんでした。

 見事な「北大熱血教室」だったと思います。

 毎授業時間にここまで熱くアジられると、逃げ出してしまう学生もいるかもしれないという老婆心もふと心に浮かびましたが、今日この話を聞くことができた若い学生さんの脳内には一生忘れることのできない変化が起こったに違いないことを確信させられた熱い熱い授業でした。

 明らかに「芸風」が違うのですが、私にとっても非常に参考になる講演でした。楽しませていただくとともに勉強になりました。

 これだけ熱く語ると本人の消費エネルギー量も半端じゃないと思われます。お疲れさまでした。寒いですけれどもゆっくりとビールなどで疲れを癒していただきたいと思います。
by stochinai | 2013-06-21 21:27 | 大学・高等教育 | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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