5号館を出て

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理不尽な叱責や長時間の説教:アカハラ

 九州大学の理系学部の男性助教授だそうですが、私も理系学部の男性助教授です。

 理不尽説教で戒告処分(毎日)という記事ですが、私の知る限りこのくらいの先生ならどこの大学にも数人ずつはいらっしゃいます。大学に限らず、公私の職場や家庭にも良くおられると思います。

 記事を読んでの率直な感想ですが、「研究発表会の場で数人の大学院生を激しく批判したり、研究内容について1時間以上も詰問していた」ということだけだと難しいのではないかと思います。というか、私も研究上の議論なら(大学院生相手に、大人げなく)激しくしてしまうこともありますし、研究内容について詰問をしたりすることもありました。最近は体力がなくなってきたので、あまりやりません。こちらも疲れるので1時間以上もやることはあまりないでしょうが、研究や教育のことに関しては実はきちんとした先生ほど厳しく長時間相手をしてくれるのではないかという気もします。

 ですので一般的に批判とか詰問とか言われても、白からグレー、黒までいろいろなケースがあるのできちんと調べないと本当のところを知ることはなかなか難しいと思います。

 「酒の席でしばしば説教が激しくなり、大声をあげる」という人はまだまだたくさんいますね。酒のないところでもしばしば説教が激しくなり、大声を上げるという人も、ままいます。

 「大学院生が研究室に姿を見せなくなり、やがて退学する」というケースは調べていただけばわかりますが、どこの大学院でもごく日常的に起こっていることであり、ところによっては数パーセントから1割に上っているところもあるはずです。ただし、それが指導教員のせいでそうなっているのはそのうちの何割かだと思います。

 昨日のエントリーにあったNPOや各大学のハラスメント対策室が機能して、このような処分がおこなわれたのだとしたら良いことだとは思いますが、本当はこのようなことが起こることを未然に阻止していかなければ、被害に遭ってしまった学生は救われません。

 何度も書いていることですが、大学だけではなくこの社会には変な人間がたくさんいます。できれば研究室を選ぶ前に、教員の人間性のところまでも調べることで少しはこのような不幸が起こる確率を減らすことができると思いますので、学生の方々にも事前にできる限りの研究室の裏側に至るまでの調査をお願いしたいものだと思います。

 また本学にはありませんが、大学や大学院では匿名で告発できるシステムと、匿名告発に対してもきちんと調査して対応する姿勢を持って欲しいと思います。もちろん、告発された教員にも十分な弁明のチャンスを与えて欲しいということは、言うまでもありません。

 大学というのは、いちおう日本の頭脳が集まっているところなのですから、率先して社会に対して見本となるようなシステムを作っていかないと、情けないです。
Commented by enoki at 2005-06-18 19:34 x
栃内先生。

この問題は私自身考えるところがあります。先生にもいろいろご相談に乗っていただきました。その際は本当にありがとうございました。

アカハラ以前に人に合う、合わないというのはどうしても存在しうるし、一度袋小路に入ると、思考がぐるぐる回転してしまいます。そういうときに、誰かに話を聴いてもらうというのは重要だと思います。

アカハラネットワークの方とも交流がありますが、電話相談など、一日中待機して、話を聴くという活動をしています。頭が下がる思いです。

研究室からの逃げ道を作る必要もありますね。研究をしなければ人生は終わるとか、負けるとか思ってしまうと袋小路にはまります。

それ以外の道もあるんだよ、そういう道価値あるんだよ、ということを知ってもらう必要があります。

今なら、北大の科学技術コミュニケーター養成コースや産学連携、インターンシップなど、いろいろな道がありますよね。そういうコースの存在って、袋小路にはまって動けない人にとって、精神的な救いになっているのではないかと思っています。
Commented by inoue0 at 2005-06-18 21:27
東大工学系研究科のケースは言い訳しようのないものでした。
助手が院生を正座させた上に足蹴にする、びんたを張る、遅刻の罰金と称して金を取るなど。しかも被害者は複数。
懲戒免職処分でした。
Commented by inoue0 at 2005-06-19 15:38
 大学院生が研究ノートをつけているように、教員は指導ノートをつけてはどうでしょう。
「○月×日 A君は11時にようやく登校。実験は失敗したが18時には帰ったようだ」
とか記録があれば、学生から訴えられても反論できます。
Commented by stochinai at 2005-06-20 13:42
 被害者である学生が泣き寝入りしないですむ制度ができるのは良いことですが、同時に学生にとっては特定の教員を追い落とすための武器を手に入れるということにもなります。
 世の中にはいろんな人がいますから、人間が起こしうることで起こりえないことはありません。
 教員の側にも常日頃からのリスク管理が必要になる時代が来たのだと理解しております。
by stochinai | 2005-06-18 17:42 | 大学・高等教育 | Comments(4)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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