2005年 06月 24日
メスだけの島
私たちの研究室で飼っているミジンコ(Daphnia pulex)は、メスしかいません。メスが産んだ卵が発生してメスのミジンコになります。このようにオスなしで卵が発生して殖えることを、単為生殖といいます。ミジンコでは、秋になるとオスが出現して普通の有性生殖をして、有精卵を作ると言われていますが、地球上にはもう何千年もオスなしで殖えている動物もいるようです。
単為生殖なんて、ワムシ、ミジンコやアブラムシなどといった「下等な」動物だけがするものだと思われるかも知れませんが、アメリカには単為生殖するトカゲもいます。「赤の女王」という本の中にはシチメンチョウもたまに単為発生すると書いてあります。ヒトでは唯一イエスキリストが単為発生したということになっていますが、生物学的には信じられていないと思います。
昆虫でも、ミツバチの雄が単為発生してできることなどが良く知られていますし、単為生殖で有名なアブラムシも昆虫です。しかし、トンボやイトトンボを含むグループ(Odonata)では、今まで単為生殖は知られていませんでした。
今日読めるようになったNatureには、アゾレス諸島というところで見つかった単為生殖するイトトンボの話が出ています。
Ischnura hastataというイトトンボは、南北アメリカでごく普通に見られるものだそうですが、どこでもオスとメスがいて普通の有性生殖をしています。ところが、アゾレス諸島にいるこのイトトンボは採集された330匹以上の個体に、オスが見つからなかったのだそうです。また、そのメスが産んだ卵をそだててみたところ、発生してきた1900匹以上のイトトンボがすべてメスになったのだそうです。
つまり、この島ではこのイトトンボは無性生殖で繁殖しているということになります。なぜでしょう。
不思議なことに、例のガラパゴス諸島にもこのイトトンボがいるそうなのですが、そちらでは普通の有性生殖をしているとこのと、いろいろなことが考えられているそうですが、わからないというのが現状のようです。
おもしろい発見は、現代でもまだまだ続きます。
単為生殖なんて、ワムシ、ミジンコやアブラムシなどといった「下等な」動物だけがするものだと思われるかも知れませんが、アメリカには単為生殖するトカゲもいます。「赤の女王」という本の中にはシチメンチョウもたまに単為発生すると書いてあります。ヒトでは唯一イエスキリストが単為発生したということになっていますが、生物学的には信じられていないと思います。
昆虫でも、ミツバチの雄が単為発生してできることなどが良く知られていますし、単為生殖で有名なアブラムシも昆虫です。しかし、トンボやイトトンボを含むグループ(Odonata)では、今まで単為生殖は知られていませんでした。
今日読めるようになったNatureには、アゾレス諸島というところで見つかった単為生殖するイトトンボの話が出ています。
Ischnura hastataというイトトンボは、南北アメリカでごく普通に見られるものだそうですが、どこでもオスとメスがいて普通の有性生殖をしています。ところが、アゾレス諸島にいるこのイトトンボは採集された330匹以上の個体に、オスが見つからなかったのだそうです。また、そのメスが産んだ卵をそだててみたところ、発生してきた1900匹以上のイトトンボがすべてメスになったのだそうです。
つまり、この島ではこのイトトンボは無性生殖で繁殖しているということになります。なぜでしょう。
不思議なことに、例のガラパゴス諸島にもこのイトトンボがいるそうなのですが、そちらでは普通の有性生殖をしているとこのと、いろいろなことが考えられているそうですが、わからないというのが現状のようです。
おもしろい発見は、現代でもまだまだ続きます。

昔から、疑問なのですが、キリストは、生物学的にはオスなんですよねぇ? で、マリアさんはメスですから、卵は必ず X 染色体を持っていて( というかY 染色体は持っていなくて)、それから単為発生したら必ずメスのはずなんですが・・・・
アメリカでは、生物学を専攻している学生ですらキリストを信じている人たちがいて、私なんかは驚いてしまいますが、上のような議論を一回吹っ掛けたら、だからこそ『神』なんで、あり得ないこと(=奇跡)を起こせるんだそうで・・・・ そう来るかぁ、と唖然としてしまいました。
或いは、マリアさんは ニューハーフかなんかで、雌性発生ではなく雄性発生で誕生したキリストさんはsuper male? とか・・・
アメリカでは、生物学を専攻している学生ですらキリストを信じている人たちがいて、私なんかは驚いてしまいますが、上のような議論を一回吹っ掛けたら、だからこそ『神』なんで、あり得ないこと(=奇跡)を起こせるんだそうで・・・・ そう来るかぁ、と唖然としてしまいました。
或いは、マリアさんは ニューハーフかなんかで、雌性発生ではなく雄性発生で誕生したキリストさんはsuper male? とか・・・
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キリストは子供を作らなかったので、オスかどうかは不明だと思います。マリアが不倫をしたというもっともありそうな説もありますが、キリスト教徒には受け入れられない話でしょう。
ミツバチやアリは未受精卵はオスになるので、キリストはミツバチだったという新説を出すのもおもいしろいかもしれません。
ちょっとまじめに想像すると、Y染色体上にあるオス決定遺伝子は時として転座をして別の染色体上に移動することがあります。理論だけで整合性をとるのであれば、その遺伝子が一方のX染色体の上に転座していて、その染色体が丸ごと不活性化されていれば、マリアは機能的な女性になりうるかもしれません。そして、マリアの卵巣で減数分裂の結果できたオス決定遺伝子をもったX染色体のはいった卵から単為発生してキリストができたのだとすると、オスになる可能性はありそうです。
そうなると、キリストが半数体のまま発生したのか、途中で染色体が倍加したのかが興味深いところですが、キリストの染色体を調べることができないので、なんとも言えません。
ということでキリスト教は今日も安泰ということになります。
ミツバチやアリは未受精卵はオスになるので、キリストはミツバチだったという新説を出すのもおもいしろいかもしれません。
ちょっとまじめに想像すると、Y染色体上にあるオス決定遺伝子は時として転座をして別の染色体上に移動することがあります。理論だけで整合性をとるのであれば、その遺伝子が一方のX染色体の上に転座していて、その染色体が丸ごと不活性化されていれば、マリアは機能的な女性になりうるかもしれません。そして、マリアの卵巣で減数分裂の結果できたオス決定遺伝子をもったX染色体のはいった卵から単為発生してキリストができたのだとすると、オスになる可能性はありそうです。
そうなると、キリストが半数体のまま発生したのか、途中で染色体が倍加したのかが興味深いところですが、キリストの染色体を調べることができないので、なんとも言えません。
ということでキリスト教は今日も安泰ということになります。

イエスの遺伝子考、いろいろ作れそうです。
イエスの遺伝子を考えるだけで、
遺伝学の教科書が一冊つくれそう。
そういうのだったら、おもしろいので、
みんな一生懸命理解しようとして
むさぼり読むような気がする。
でも、不謹慎だという理由で絶版にされる恐れありか。
そうなると、ますます、値打ちが上がって・・・・。
すいません、脱線です。
イエスの遺伝子を考えるだけで、
遺伝学の教科書が一冊つくれそう。
そういうのだったら、おもしろいので、
みんな一生懸命理解しようとして
むさぼり読むような気がする。
でも、不謹慎だという理由で絶版にされる恐れありか。
そうなると、ますます、値打ちが上がって・・・・。
すいません、脱線です。
う~ん、信仰心の薄い人間の多い日本なら出せるかもしれませんね。
優秀でユーモアたっぷりの大学院生・ポスドクを集めて作れば、限りなく「と」には近いものの、最先端の知識を集めた超おもしろ生物学読本ができそうには思えます。
難しいかな。
優秀でユーモアたっぷりの大学院生・ポスドクを集めて作れば、限りなく「と」には近いものの、最先端の知識を集めた超おもしろ生物学読本ができそうには思えます。
難しいかな。

>stochinaiさま
『ダ・ヴィンチ・コード』 に依れば(笑)、キリストに子供が居たかも・・・
転座の可能性も一瞬考えたのですが、転座した方のXだけが不活化するというの無理があるなと思い、その仮説は取りませんでした。
>花見月さま
それは面白いかも。キリストでは問題があるかもしれませんが、身近な話題にそって話を展開するような、そんな遺伝学の教科書があっても良いですよね。
『ダ・ヴィンチ・コード』 に依れば(笑)、キリストに子供が居たかも・・・
転座の可能性も一瞬考えたのですが、転座した方のXだけが不活化するというの無理があるなと思い、その仮説は取りませんでした。
>花見月さま
それは面白いかも。キリストでは問題があるかもしれませんが、身近な話題にそって話を展開するような、そんな遺伝学の教科書があっても良いですよね。

人間の場合、Y染色体がないとメスになります。XOは性器も含めて完全な女性です。アンドロゲンレセプタやアンドロゲン発現因子の変異によるXY女性もいますが、XX男性はいない。女性ホルモンの欠損症は二次性徴が不十分になるだけで、男性になるわけではない。
おそらく、生物の基本形はメスであって、そこにオス化因子が付け加わってオスになるという性決定が普遍的なのでしょう。
おそらく、生物の基本形はメスであって、そこにオス化因子が付け加わってオスになるという性決定が普遍的なのでしょう。
by stochinai
| 2005-06-24 19:45
| 生物学
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Comments(6)