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「秘宝館の妙木さん」寄稿記事と付随記事

 妙木さんと言えば「秘宝館という文化装置」という著書で話題になり、新聞やテレビでもかなり取り上げられたのでもはや「有名人」になってしまいましたが、先日朝日新聞で大きく紙面を割いた寄稿記事が出ていました。その時にすぐ、朝日新聞デジタルでウェブに出ているかもと思って探したのですが、残念ながらありませんで、なんとなく書く機会を逸しておりました。

 先ほど何気なく検索してみたらバッチリ出ていたので、今日ご報告いたします。

消えゆく秘宝館、時代を映した鏡 語り継がれるべき日本の文化 寄稿・妙木忍

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 寄稿文の内容は「秘宝館という文化装置」を読み終わっているだけではなく、サイエンスカフェin 三省堂書店札幌店「観光化する身体~博物館・蝋人形・秘宝館と女性~」でもレクチャーを受けている私には、特に新しい発見があったというわけでもありませんが、妙木さんの書かれた記事ということで熟読させていただきました。

 記事の下のほうに「この記事に関するニュース」として、「秘宝館、なぜ生まれ流行したのか 時代映す旅先の娯楽(6/16)」という記事が同日に出稿されているようなのですが、こちらの記事は読んだかどうか記憶が定かではありません。とりあえず、こちらの画面キャプチャーも引用しておきます。

「秘宝館の妙木さん」寄稿記事と付随記事_c0025115_18101837.jpg

 今、気がついたのですが両方の記事に添付されている嬉野武雄観光秘宝館の写真は同じなのですが、妙木さんの顔写真のトリミングのされ方が違う大きさで、どうやら同じ時に撮ってはいるものの違うバージョンのようです。

 とまあ、そんなことはどうでも良いことなのですが、やはり若い女性が秘宝館を調査して報告書を書くということが今までになかった「スゴイこと」だという気持ちが大きいので、注目しております。

 秘宝館といえばどうしても「セクハラ予備軍のおやじの愛好物」というイメージがつきまとう、ある種「淫靡」な世界だと思っていた私にとって、妙木さんが真剣に調査研究をしていると知ってかなりのショックを受けた記憶があります。実は、その前に「創成研のカワウソ好きの妙木さん」として知っていただけに、ショックがいっそう大きかったのだと思います。(笑)

 その後、サイエンスカフェでお話を聞いたり、本を読ませていただいたりする中で、実はジェンダー・コンシャスな妙木さんが、その「セクハラおやじ」感覚を越えたところで「秘宝館」を社会科学しているということは、秘宝館そのものだけではなく、1970年台以降のジェンダー問題ともクロスオーバーする重要な研究テーマなのだということを教えられた気がしています。

 私などはまだまだ修行不足でお恥ずかしいのですが、妙木さんのような方が秘宝館という、一方では古くから続く子宝信仰の流れと、もう一方では政府による性風俗の抑圧を「医学」というオブラートをかけることで逃れようとする民間のエンターテインメント欲求を満たすべく生まれてきた(のではないかと私には思える)「秘宝館」の研究をされているというだけで、感動してしまったいたのですが、もう一方で、秘宝館が女性も楽しめむことのできる施設になってきたという時代の曲がり角にきたところで絶滅の危機を迎えるという、なんとも皮肉な現実の前に、さらにいろいろな感慨を抱かせられているところです。

 地方や国会の議員が平気でセクハラヤジを飛ばすような、まだまだジェンダー的石器時代の日本ですが、妙木さんのような方がそうした環境の中でさりげなくこうした性風俗の研究を「学術的に」発信していくことの意味の大きさを改めて認識してこれらの記事を読ませていただきました。
by stochinai | 2014-07-08 18:57 | その他 | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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