5号館を出て

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ガーデンの発生遺伝学

 どんなに美し咲いている花でもそれが永遠に続くわけではありませんので、庭では毎日のように「栄枯盛衰」を見せつけられます。

 しばらく前までスターだったヤマボウシも今は見るも無残な姿になってしまいました。

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 我が家にヤマボウシがやってくるまで、ヤマボウシの「花」の命が終わる姿など想像したことすらありませんでしたが、毎日見ているといろいろと感じさせられることも多いものです。とはいえ、ヤマボウシにとってはこれからは実を熟させ種を充実させる大切な時期でもあります。

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 昆虫によって受粉が成功した花は大切に育てられます。一方、受粉に失敗したりあるいは受粉には成功したとしても他の実を充実させるために落果させられてしまうものもあり、なかなか厳しい現実もあるようです。

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 こちらは実の部分は受粉も成功して問題ないようにも見えるのですが、あえなく落果してしまったものたちです。

 終わる花があればこれから咲き誇る花もあります。

 アジサイの中でもちょっと晩成のガクアジサイが、我が家の庭でもようやく見頃を迎えはじめました。

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 シモツケも絶好調です。

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 で、タイトルの発生遺伝学ですが、札幌ではトキシラズとも呼ばれるヒナギク(デージー)は、夏の暑さにちょっと弱り気味になってきているのですが、トキシラズというくらいですので頑張って咲き続けているものもあります。

 そんな中で、ちょっと変な花がありました。

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 最初見た時には、雨風でちぎれた花びらが中央部に付着しているのかと思いましたが、どうやらそうではなく中央部付近の筒状花がある部分からも花びらが伸びてきているようです。

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 要するに、中央部にあるという位置からいって本来ならば筒状花になるべきものが、周縁部の花びらになる舌状花になってしまったもののようです。このような変化はホメオティック変異と呼ばれて、植物にも動物にも見られるものですが、未分化の細胞が分化する時にどのような性質を持っていくかという調節をする時の「失敗」と考えられ、逆に細胞分化の調節機構を解析する上で非常に重要なヒントを与えてくれる現象です。

 トキシラズは夏の暑さに弱いと言われているので、だんだんと気温が上がってくるとともに、きちんとした花を咲かせる調節がうまくいかなくなってきた結果、こうしたホメオティック変異が多発するようになってきたのかもしれません。

 そういえば、花として乱れているものにこの変異が多く起こっているような気もします。

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 これなどは、舌状花のほうも変形した「花弁」を持っているものが多く、同時に多くの筒状花が舌状花へと変化しているようにも思えます。

 家庭では遺伝子変異のチェックまではできませんが、こうした発生遺伝学にも貢献できる現象の発見くらいまではいくらでもできそうですので、大学や研究所の専門家とガーデニングを趣味とする方々とのコラボレーションができれば、いろいろおもしろい研究の展開も期待できるだろうと夢想する一日でもありました。
by stochinai | 2014-07-12 22:15 | 趣味 | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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