5号館を出て

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爆音の去った丘珠に静寂とともに訪れる夏の夕べ

 これが1日なら我慢できるのかもしれませんが、米軍基地やしょっちゅうスクランブル発信のある自衛隊の飛行場のそばに住むことは明らかに「人権侵害」以外の何物でもないことを確認させられる一日が終わりました。今年は総理大臣が自衛隊の交戦に前向きなことを反映してかどうかはわかりませんが、戦闘機がいつもの年よりも低空でしかも派手な飛行を見せてくれたような気がするのは私だけかもしれません。

 それにしても至近距離で聞かされるジェット戦闘機の爆音はすさまじいもので、数十分聞かされたらおそらく身体的に変調をきたすのが「正常な人間」の反応ではないかと思われるくらいの圧力を感じます。初めて聞かされた幼児の中には明らかな恐怖が見て取れました。

 夕方になって、ほとんどの行事が終わり、いつものようなローカル空港の静けさが戻ってきた時の安堵感は得も言われぬものでした。私にもようやく外に出て、写真を撮る気分的余裕が生まれました。撮った最初の一枚がこれです。

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 ともかく、あの猛烈な爆音の下ではこちらの五感がほとんど麻痺してしまいます。聴覚からはいった過剰な刺激が、聴覚以外にも味覚・嗅覚・触覚・視覚がすべて混乱させられ、細やかな感覚がすべて失われた気がしました。そんな時のもちろん小さなコケをじっくりと観察する余裕などありません。爆音が去った跡、そうした細やかな感覚が戻ってきたことの象徴として、小さな自然を観察したくなったのは私にとってはごくごく自然な気持ちでした。

爆音の去った丘珠に静寂とともに訪れる夏の夕べ_c0025115_2229118.jpg

 あの爆音が象徴する戦争と、このコケあるいはこのコケを鑑賞する気持ちは決して共存できないことを確認させられた一日でもありました。

 だんだんと心が落ち着いてくると、もう少し大きな被写体も狙うようになってきましたが、それでもまだディテールにこだわる気持ちは続きます。

 毎日のように見ているツタですが、今日はやけに斑の入り方の細かさや、葉を食べられた食痕に目が行きます。

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 まだ咲いてもいないノウゼンカズラの花芽がどんどん膨らんでいることにも気がつきました。そして熟すまでにはまだまだ時間がかかりそうなブラックベリーの実もじっくり観察してしまいました。

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 そして、たしかに美しいのですが、本来ならば雑草に分類されるスイセンノウもじっくり撮ってみようという気分になったのも、消えた爆音のせいだったかもしれません。

爆音の去った丘珠に静寂とともに訪れる夏の夕べ_c0025115_22483040.jpg

 そして、今年何年ぶりかでとても美しく咲き誇ってくれている我が家のガクアジサイが、実は今、息を呑むほどの美しいステージにあることも再確認することができました。

爆音の去った丘珠に静寂とともに訪れる夏の夕べ_c0025115_22513586.jpg

 やっぱり、平和が一番です。
Commented by ikagenki at 2014-07-21 00:00 x
世の中のことより、

身内のことを、自分ではどう思うか? 発信したら!?

北大の不適切経理、計5億3500万円 教員59人関与
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140715-00000041-asahi-soci
Commented by stochinai at 2014-07-21 07:43
15日につぶやいておりますが、Twilogでは拾いきれなかったようです。
https://twitter.com/5goukan/status/488946083016372224
by stochinai | 2014-07-20 22:56 | 札幌・北海道 | Comments(2)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


by stochinai