5号館を出て

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DNA解析と新しい化石の発見でどんどん変わるヒトの進化像

 年間購読するととても安いので、サイエンティフィック・アメリカン(Scientific American)を購読しています。昔は紙媒体で送ってもらっていたのですが、遅いのとどんどんたまって邪魔になるので、数年前からデジタルに変えました。これも最初のうちは、オンラインで見るのとpdfでダウンロードするだけだったのですが、数年前からiPadアプリで購読できるようになって、しかもデジタル契約をしているヒトは「無料」で閲覧できるということで大変に感謝しつつ、大いに利用させていただいています。

 このくらい安いと、全部読まなければならないという強迫観念がなくなるのがいいです。

 でそのサイエンティフィックアメリカンの最新号である9月号がヒトの進化を特集しています。

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 最近は毎年のようにヒトの進化に関する化石の発見やDNA解析の結果がどんどん出てきていて、もとはヒトと共通祖先をもつ、ネアンデルタールやデニソワが我々の祖先のホモ・サピエンスに置き換わったという説が有力だったのですが、今では我々の遺伝子の中にネアンデルタールやデニソワの遺伝子が受け継がれていることがほぼ間違いないということになり、彼らは単に滅びていなくなったというよりは、我々の祖先との交雑によってそうした特徴をもった「種」として認識できなくなったということだと考えられるようになりました。

 昔は地質年代ごとに出てきたいろいろな人類の化石は年代順に並べられただけの図しかかけなかったのですが、最近ではヒトの進化そ表す系統樹もかなり完成してきています。たとえばこれは縦軸に地質年代(上が現在)が示され、それぞれの時代の地層から出てきた人類の化石の一部が枝でつながれてきています。

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 もう少し研究が進むと完全につながることでしょう。

 この系統樹をつなぐことと、現在生きている我々の近い親類であるゴリラ、チンパンジー、ボノボ(ピグミー・チンパンジー)それに、化石に残っているタンパク質やDNAの解析からわかってきた我々とネアンデルタールとほぼ同じくらいで、ごくごく近縁なデニソワ人、それぞれのDNAの違いがはっきりしてきたことで、これらの種がいつ頃、ヒトと分岐したのかが明らかになってきています。

 種がわかれた具体的瞬間がわからなくても、現在生きている我々とゴリラ、チンパンジー、ボノボの遺伝子、それと化石になっているデニソワの遺伝子を比較してその違いを表すと直感的に理解できる図も描かれています。

 こちらは我々とデニソワ人のタンパク質の設計図である遺伝子部分の違いです。

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 この遺伝子の差から40万年前まで一緒に生活していたと考えられています。

 そして、チンパンジーとボノボです。

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 いずれもヒトと1%くらいしか違いません。色の濃いところがヒトとの違いが大きいところで、ヒトとデニソワ人では大きく差がある赤いところの数も少なく、全体としても色が薄く違いがほとんどないことがわかりますが、ボノボやチンパンジーとヒトは1%くらいの違いがあるため、全体の色も濃い色のポイントの個数も多くなっています。

 さらに、ヒトとチンパンジー、ボノボが分かれる前に種として分かれたゴリラでは全体で15%もの差があるため、真っ赤に見えます。

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 これだと直感的に「なるほど~」とわかりますね。

 これからもどんどんヒトの進化に関する新しい知見が増えてくると、より確かに系統関係と分岐の時間がはっきりしてくることになり、そうなってくると今まで「常識」だった、ヒトとサルの違いなどというものもどんどんあいまいになってくるような気がします。

 私にとってはそれは楽しいことですが、嫌だと思う人もいるのでしょうね。

 さて、最後の一枚は今日も美しい夕暮れの空です。

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 二度と同じ空にはならないので、毎日見ていても飽きません。
by stochinai | 2014-08-29 19:54 | 生物学 | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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