5号館を出て

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キャンパス・ビジット・プログラム

 今日は札幌A高校の生徒さんが14人、研究室を訪問してくれました。

 全学教育の一般教育演習「北大への招待」として行われている講義実習として、一年生(多分)の学生が2人、高校生を引き連れての理学部探検を企画して、ガイドしながらのツアーを実行するということでの実験室訪問です。

 この講義では、学生には実際に高校生に北大をどのように実感してもらうのかというテーマの実践的解決実習となりますし、高校生には実際に北大の研究室の中にまで入って、北大を実感できるという、うまくいけば双方にとって素晴らしいプログラムになります。

 しかし、物事というものはそうそう理想通りに進むものではなく、初めてツアーの企画ならびにガイド付きのツアコンをやるという学生と、北大(大学?)のどこを見たいという特別な目的意識のまだない文系・理系混合の高校2年生(先生も付き添いでいらっしゃいましたが、あくまでも影武者です)との組み合わせで、なかなかスムーズに物事が進行しないというのが現実でした。

 私もこれが講義の一環と聞いていましたので、協力は惜しまないものの緻密に受け入れ計画を練って対応などしてしまうと教育的ではないと思い、敢えてほとんど何の準備もしないで待ち受けておりました。

 生徒さん達が研究室へ着いた時には、女生徒のひとりが暑さでダウンしてしまっていたというハプニングもありましたが、まずは「ここはかのブログの女王・眞鍋かをりも嬢も取材に来たという有名(ほんとか?)研究室です」というハッタリをかませてから、生徒さん達を実験室に誘導しましたが、そこでは予想通り「ふ~ん」と見るだけで特にどうという感動があるようでもなかったので、早々にとっておきの動物飼育室へと入ってもらいました。

 動物好きの人なら、一瞬で気に入ってもらえる自信はあるうちの動物飼育室ですが、「ここではスペースシャトル搭載用の水槽の稼働試験もやっています」という嘘ではありませんが多少の誇張を含んだ呼び込みで、生徒さん達はわいわいとカエル、プラナリア、ヒメミミズ、ミジンコなどなどを見て楽しんでくれたようです。

 実際にこの短時間で、生徒さん達に「大学とはどういうところか」とか「大学ではどんな研究をやっているのか」などというところまでを伝えるのはかなり難しい(ほとんど無理な)ので、時折そのような情報もはさみながらも、基本的には動物おもしろ話で終始したというところです。

 私1人では間が持たなかったかもしれませんが、幸いなことに科学技術コミュニケーター養成ユニットの特任助教授のNさんが、「取材」と称して参加してくださり、自己紹介とともにNさんの講演もある8月8日に開かれる「科学者と語ろう!サイエンストーク2005」の宣伝もしていってくれました。そのサイエンスショーには、A高校の物理の先生も出演なさるということもあり、生徒さん達にはなかなか受けていたようです。

 生徒さんは女子11人男子3人でしたが、女性であるNさんがもともとは理系(生物系)の大学を出ながら、出版社に勤め、その後フリーのサイエンス・ライターとして独立した後に、今度のユニットの助教授になったいきさつの話をしてくれた時には、かなり興味を引かれて聞き入っていた人が多かったようです。

 そうこうしているうちに、規定の時間が過ぎてツアーコンダクターさんたちが、「それでは、そろそろ下へ行って感想文を書いて解散しま~す」と本人達が一番ほっとしたような感じで、生徒さん達を連れて帰っていきました。

 私のところで行う「アウトリーチ」活動としては、この後「高校生の体験入学」「関西の小学生理科教室の研究室訪問」「札幌近郊の中学生による総合的学習・職場訪問」が予定されています。

 実を言うと、うちの研究室のアウトリーチは大学広報活動としては、かなり歩留まりが高く、高校生の一日入学・体験入学、研究室訪問からは今までに少なくとも4-5名が北大に進学してきています(他学部に進学した場合には、確認が取れないこともありますので、不確定です。ついでに余計なことを書くと、その活動が学内で評価されているともほとんど聞きません^^;例によって、追跡調査などの評価活動が行われていないのだと思います)。

 ただ心配なのは、そうして進学してきた学生が今の北大に満足しているかどうかということで、私の宣伝に乗せられたことを恨みに思ってはいないかと時々とても心配になるのです。
Commented by Nさん at 2005-07-23 00:10 x
ワイワイがやがや楽しい訪問でしたね。
ペットも実験動物と同居する、敷居の低い研究室を訪れた高校生は、
研究も人間の営みなんだなあということが伝わっていたように思います。
収穫の多い研究室訪問でした、stochinaiさん、A高校のみなさん、
ありがとうございました。
Commented by stochinai at 2005-07-23 18:14
 こちらこそ、お世話になりました。今後ともよろしくお願いします。
Commented by inoue0 at 2005-07-23 18:47
 対象が目で見えるものであるなら、まだいいのです。in vitroの実験しかしない研究室だと、培養細胞しかないですから、顕微鏡を通さないと何も見えないし。今の世代にゃ、「パラサイトイブ」といっても知らないでしょうね。
 さらに、もっと基礎的な、化学反応や分子構造の研究をしているところだと、回折データやNMRのチャートをアサインしていたりするだけです。あれって紹介に困るでしょうねえ。
 物理学科になるともっとたいへんだ。理論物理学にはそもそも実験がないし、実験物理であっても、その内容を理解することは難しい。
 人文社会系になると、パソコンや書籍ぐらいしか目に見えるものがありません。研究風景といっても、プリントアウトした論文をえんえんと読んだり、議論したりパソコンを叩いているだけです。しかし、それも立派な知的作業なのです。
 ぐだぐだ書きましたが、要するに、素人に見せてインパクトを与えられなくても、立派な研究活動は存在するんだから、オープンキャンパスに力入れても、誤解を招くだけなんじゃないかと思うのです。
Commented by stochinai at 2005-07-23 23:45
>素人に見せてインパクトを与えられなくても、立派な研究活動は存在する

 まったくその通りですが、素人に、おまけに興味があるかどうかすら定かではない素人には、目に見えるものを見せたところで引きつけることは難しいです。

 しかし、それをあえてやろうというのがアウトリーチ活動なのですから、片手間にできることではないです。

>だから、オープンキャンパスに力入れても、誤解を招くだけなんじゃないか

 というのも一面の真理だろうとは思いますが、力を入れずにダラダラやるよりは、同じやるなら力をいれるべきだと思います。

 少なくともそれが納税者に対する情報公開義務だと思うなら、教員のボランティアに期待するだけではなく、研究や教育と同じように正式な業務として依頼すべきだし、業務であるならばきちんと内容を評価すべきであるとも思うのです。

 さらには、そのような能力に長けた教員やサポートグループも大学として用意するのでなければ、労多くして実りが少ないという現状を続けることになり、おっしゃるとおり意味がないということになると思います。
Commented by ヤマグ at 2005-07-27 21:42 x
オープンキャンパスは確かに難しいですね。

まず、訪問者を絞り込めるかどうか。ということもあると思います。
以前のエントリーであったように、万人に向いている発表はありませんからね。それから、訪問者が研究自体に興味があるかどうかもありますし。

一方で、オープンキャンパスに参加する教員側にも、サポートを嫌う人がいますからね。

必ずしも、相手よりになりすぎることはありませんが、如何に自分が従事している研究が楽しいかということを説明することは、重要ではないかという気がします。

大学の先生をこの方向でまとめるのは、難しそうですね。
Commented by stochinai at 2005-07-27 23:46
 ヤマグさん、いつもコメントありがとうございます。
 明日は理科教室の小学生28名を相手に、講義と実験室案内です。小学生に講義するのは初めてなのですが、準備をしてみて大変さが身に染みました。ちょっとは楽しみでもあるのですが、さてどうなりますか。
by stochinai | 2005-07-22 22:38 | 大学・高等教育 | Comments(6)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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