5号館を出て

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アート・コミュニケーターも生むCoSTEP

 そろそろ2015年度の受講生の募集が始まるCoSTEPです。参考までに、募集のスケジュールを引用しておきます。
募集スケジュール
  申込の受付 2015年4月1日(水)〜4月20日(月)正午 
  書類選考結果・面接日時の発表(本科のみ) 4月23日(木)18:00
  面接(本科のみ)             4月25日(土)または26日(日)
  合格者の発表(本科・選科)        4月29日(水)18:00
 文部科学省による科学技術振興調整費の補助を受けて始まった最初の5年をフェーズ1、それを受けて北大独自のプログラムとして走りだした次の5年をフェーズ2とすると、今年はCoSTEPのフェーズ3の年ということになります。昨年の夏に記念フォーラム「10年目のCoSTEPと科学技術コミュニケーション」が開催され、この時に作られた記念誌の内容を中心にした「CoSTEP10年のあゆみ」が最近ウェブで公開され、新たな振り返りの波がFacebookを中心に沸き起こっているので、それに接して感慨を新たにしている方も多いのではないでしょうか。

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 さて、CoSTEPはフェーズ1では Communicators in Science and Technology Education Program の略語だったのですが、フェーズ2からは Communication in Science and Technology Education and Research Program の略語ということになっています。どちらにしても、今やCoSTEPだけで通じることが多くなりましたし、要するに科学技術コミュニケーターを養成するという目標にブレはありません。

 ところで、このCoSTEPは文字通りに解釈すると「科学技術」のコミュニケーターを育てるプログラムなのですが、そこで行われる教育を受けてみるとおわかりになるはずですが、そこで身につけたスキルや基礎知識・応用力、人脈などを活用すると、科学技術にとどまらずこの世の中に広く存在する「専門家と市民をつなぐコミュニケーター」として活躍できることがわかります。

 先日、CoSTEPの修了生のT皮さんが訪ねてきて、実は自分はCoSTEPを出ていながら科学技術の世界ではどうもうまく活躍できないことがわかり、しばらく前から自分の得意分野である美術(さらに広くアート)の世界で、CoSTEPで身につけたスキルを使ってのコミュニケーションにトライしているとのことでした。

 確かに言われてみると、我々素人にはアートの世界は近いようであまり良くわからないことも多く、科学技術と市民との関係と、芸術と市民の関係は意外と似ているところがあるかもしれないと思いました。

 それで、T皮さんのチャレンジがどのくらい進んでいるのかをお聞きしたところ、1年位前から少しずつトライしているとのことで、その成果はYouTubeでちょっとだけ公開しているとのお話でしたので早速見せていただくことにしたところ、ちょっとどころかもうかなりの量が蓄積されていたのでした。

アート・コミュニケーターも生むCoSTEP_c0025115_22254482.jpg
 こんなにたくさんあるのでは、全部見るのは大変だし、多くの人にそれを勧めるのは「見るな」と言っているのも同じなので、自信作あるいはオススメの作品を何本か紹介していただきました。

 すべての作品は「札幌アートの宮殿」という、ちょっとベタな名前でYouTubeにアップロードされているので検索してみると上のリスト(実はこれはT皮さんのハンドルネーム tevifox さんのチャンネルを表示したものです)のようなものが引っかかるはずです。その中で、T皮さんに紹介していただいたものをいくつか掲載させていただきます。

 最初は、もっとも評判が高かったという「阿部国利 佐藤武展」です。


 なるほど、札幌にもこれだけ個性的な芸術家がいたということと、それを知らない我々札幌市民という構図が浮かび上がってくるとともに、こうしたコミュニケーションによって、芸術と我々の敷居がグンと引き下げられることが実感できます。まさに、アート・コミュニケーションが実現されていると言えるのかと思いました。

 続いて、T皮さん評によると「ずば抜けた世界観」を持っているという水戸麻記子さんの「MITORAMA-胎児の観るユメ- 水戸麻記子絵画展」です。



 次は「色使いが印象的」という村井貴久子さんの絵画展です。



 最後は、こうしたアーティストを育てる大学からのレポートです。


 最初、私はこれを見て「大学に依頼されて作ったプロモーション・ビデオ」かと思ってしまったのですが、どうやらそうではなく、T皮さんが大学の特徴を気に入って取材して作ったコミュニケーション・ビデオのようです。

 これらのビデオを見てよくわかりました。

 CoSTEPがやっていることは科学技術コミュニケーターの養成のみならず、さらに普遍的なプロフェッショナルと市民を媒介するコミュニケーション一般に活躍できる人材を育てているということだったのですね。

 ひょっとすると、CoSTEPの皆さんも自覚していなかったことなのかもしれませんが、この視点を得ることでCoSTEPの更なる飛躍の方向が見えてきたような気がしました。

 T皮さんにはますます頑張っていただくことと、他の修了生・受講生さらには未来の受講生に大いなる希望を与えて頂いたことに感謝したいと思います。

 なるほどね~、でした。






by STOCHINAI | 2015-03-29 22:49 | CoSTEP | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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