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科学技術の専門科からコメントを配信する中立的なしくみは必要だと思います

 情報提供の基本的対象がジャーナリスト(科学技術関連のテーマを扱うブロガーなども含まれるところが新しいと思いますが)であるということもあって、SMC JAPAN (一般社団法人サイエンス・メディア・センター)の認知度はいまいち高くはないという印象を持っています。

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 サイエンス・メディア・センターの活動はイギリスで始まりましたが、オーストラリア、ニュージーランド、カナダに広がり、次いで日本でも立ち上げられたというグローバルなものです。日本では2010年10月にJST(科学技術振興機構)RISTEX(社会技術研究開発センター )の「科学技術と人間」領域(領域総括:村上陽一郎)研究開発プロジェクト『科学技術情報ハブとしてのサイエンス・メディア・センターの構築』(代表:瀬川至朗・早稲田大学大学院ジャーナリズムコース教授)の中から生まれました。

 当然、こうしたプロジェクトには年限があり経済的支援も終わりになります。SMCの活動は基本的にマン・パワーでなされているものですから、最低限でもそうした役割を担う人の生活を(たとえその一部だとしても)支えるサポートがなければ維持することはできません。このままでは今年の8月で活動が続けられなくなるという状況まで追い込まれてしまっているということです。

 そこで現在は上記のリンクをクリックすると、ちょっと悲しいお知らせが現れます。

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 そこに、書かれているSMCリサーチ。マネージャーの田中幹人さんの文章の一部を引用します。
 現在のSMCJは、持続性という大きな難題を抱えています。これまでは、主に「組織の機能構築」プロジェクトに関する公的研究資金にて運営をしてまいりました。しかし、こうした公的研究資金は、新規開発には向いていますが、継続的活動の支援は難しいという特性があります。
 SMCの機能が成熟してきたために、かえって公的資金は頼みにできないという状況になっており、そこで「組織を存続するための資金調達」が重要な課題となっています。そのためのさまざまな努力はしておりますが、現状のままでは、本年8月をもってSMCJの全活動を終了しなくてはならないところまできております。
 政府広報でも担当しているのでない限り、政府からの継続的な支援は得られるはずもなく、ましてやいかなる政治的・経済的組織からも独立して「公平・中立」な立場を貫こうとすると、ますます資金難に陥ることは想像に難くないところです。

 その活動の性質上SMCの活動を支えるためには、「ひも付き」の疑いの生じる私企業から大型の資金援助などを受けるわけにはいかないわけで、唯一の方法は小口の寄付(団体一口5万円、個人一口1万円)ということになります。同じページから賛助会員の申込書が入手できます。

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 とにかく、1日でも長くこの活動をつなげていき、最終的にはサステナブルな組織に育て上げることが、日本にとっての大きな財産になっていくと思います。

 その「証拠」をご覧になりたければ、最近SMCから発信されたサイエンス・アラートの記事のいくつかをお読みいだだければたちどころに理解されることと思います。

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 最新の科学技術関連のニュースに対する国内外の専門科の適切なコメントがギュウギュウ詰めになっているのがおわかりになると思います。SMCを通じて、普通ならば原著論文を読み解ける人でもないとなかなか接することのできない新しく深い科学技術情報に、誰でもが簡単にアクセスできるのです。

 ある意味で、油が乗ってきていてSMCが絶好調になってきている今、これがなくなるのはとてももったいないと感じています。

 いろいろな災害に見舞われ、日本にも「寄付」ということへのリズムができつつある今、有意義な相手先としてSMCもご検討いただきたく思います。

(なお、サイトを回ればわかりますが、私はいちおうSMCの理事という立場におりますので、この記事にもそうしたバイアスがかかっていることがありうることを前提にお読みいただけると幸いです。)







by STOCHINAI | 2015-05-29 19:47 | 科学一般 | Comments(0)

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