5号館を出て

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毒針で相手を攻撃する毒ガエルが発見された

 皮膚腺に毒をもつカエルはそれほど珍しくないのですが、ほとんどがその毒を防御的に使っています。

 日本のガマ(ヒキガエル)では、耳の後ろの毒腺から敵に毒液を吹き付けて敵から身を守る行動をとることがありますが、多くのカエルでは敵に噛み付かれたときに皮膚から毒をにじみ出させて、敵に飲み込まれることから逃れるという使い方が大多数だと考えられていました。

 ところが今度論文が出たブラジルのカエルでは、頭のヘリにトゲトゲの骨が飛び出しており、それを相手に突き刺すと同時にまわりにある毒腺からの毒を出すというカエルとしては破格に攻撃的な毒の使い方をするというので、びっくりしました。

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 毒の強さもかなり強く、強い方ではアメリカのハブ属のヘビ毒の25倍、弱い方でも2倍の強さの毒なのだそうです。

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 これが毒ガエルの姿と頭の骨格標本です。左の色が派手なほうが毒の強い Aparasphenodon brunoi で右が毒の弱いほうの Corythomantis greeningi です。おもしろいことに毒の強いほうのカエルの頭のトゲは短く、毒の弱い方のカエルは長いトゲを持ち、毒腺もより発達して大量の毒を分泌するようになっているそうです。

 こちらが頭の断面の組織切片標本です。並び方は同じで、左側が毒の強いほうで右が弱いほうです。

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 これらのカエルの毒液の中には、多くの毒蛇と同様にタンパク質分解酵素、凝固血液分解酵素そしてヒアルロン酸分解酵素も入っていて、毒液が相手の身体の中に広がりやすくなっていることも示されています。

 カエルの毒は poison と呼ばれ、毒蛇の毒は venomous と呼ばれることが多いのですが、これらのカエルの場合は毒蛇と同じように攻撃的な毒の使い方をしているので poisonous ではなく venomous と呼ぶことが適当であり、今までのカエル毒の常識をくつがえすものとして注目されています。

 捕食者を攻撃して身を守るためならどんな毒を持っていてもいいのですが、これくらい強い毒と注入方法を持っているのだと、まちがってヒトがやられても死に至るおそれもありそうで気をつける必要がありますね。

 野生にはまだまだ未知の危険がひそんでいるということです。クワバラ、クワバラ。
Commented by ぜのぱす at 2015-08-21 07:54 x
これって、最初にフィールド・ワーク中に発見したのが、『2倍の強さの毒』を持ったカエルで、素手で捕まえて刺されてエラい目にあって、次回から注意をして、『ヘビ毒の25倍』の方の発見にも繋がったようですが、若し、最初に見付かったのが、25倍の方で刺されて居たら、下手をしたら死んで居たかも?
Commented by STOCHINAI at 2015-08-21 12:47
実はそういう人が前にいて、すでに死んでいたりするかもです。
by STOCHINAI | 2015-08-20 19:42 | 生物学 | Comments(2)

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