5号館を出て

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季節を変える雨

 某天気予報によれば、今日の雨は「季節を変える雨」なのだそうで、この雨が晴れた後は正真正銘の「秋」ということになるのでしょうか。

 この雨にふさわしいものとして、今朝の最後のノウゼンカズラを選びました。

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 居間の窓の外に咲くノウゼンカズラもそろそろ終わりに近づいています。一方、夏の間中近所に方にも褒められた玄関前の木にはもう一輪も花は残っていません。

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 まさに季節の移り変わりを象徴するノウゼンカズラの花の終わりです。

 一方で秋を象徴するオオケタデは日に日に花を増やしています。

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 こちらは夏の花のフクシアですが、本来の送粉動物であるハチドリがいない北海道でも秋には実をつけるようになりました。どうやら活躍しているのはマルハナバチ(それも移入種であるセイヨウオオマルハナバチ)のようです。

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 この新しい動物と植物の出会いを良しとするのか否定するのか。人間の知恵と度量が試されているような気がしてなりません。フクシアの実は食べられるらしいですが、植物の実には毒があるものもあるので注意が必要です。

 こちらはその毒性がきわめて強いことで有名なスズランです。

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 これはドイツから園芸品種として移入されたドイツスズランだと思いますが、キレイな実でも決して口にいれてはいけません。

 これは北海道ではオンコと呼ばれその実を食べたことのある人も多いはずのイチイですが、実は実の中にある種にはかなり強い毒があります(一番毒性が強いのが樹皮だと言われていますが、なんとエゾシカはその樹皮を食べるとのこと)。

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 種を飲む人はほとんどいないので事故の報告もほとんどありませんが、細胞分裂を阻害するので抗がん剤としてがん細胞を殺すのに使われるタキソールという猛毒が含まれています。

 動物に授粉を手伝ってもらい、その実を食べてもらって種を運んでもらうことはしますが、自分たちの子孫を残すために大切なところは動物のエサにならないように毒などによって守るというぎりぎりの生き方をしている植物が多いと感じます。そうした生き方を見ていると、生き物は常に生き残りのためにギリギリの選択をしていることを強く感じさせられます。一方、動物も植物を食べなければ生きていけませんので、ギリギリで毒のない植物を見分けて食べわけているものと思われます。

 こんな小さな庭の片隅で繰り広げられている動物と植物の生き残り戦争からでも、地球数十億年の生命の歴史を感じることができるほど、生き物は複雑な関係をもって進化してきています。西暦2015年というほんの短い一年の夏から秋へと移り変わるほんの一日に、47億年の地球の歴史を思いやっている一方で、何十億年変わることもなく毎日沈んでいく太陽が、今日もまた小さな家の隙間に影絵を作って見せてくれるのでした。

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 明日は晴れそうです。







by STOCHINAI | 2015-09-13 23:40 | 札幌・北海道 | Comments(0)

日の光今朝や鰯のかしらより            蕪村


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