5号館を出て

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寒い季節に暖かい話題

 寒いです。暖房は目一杯入っているのですが、最高気温がようやくマイナス3℃。熱が虚しく湯気となって外に逃げていきます。

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 こんな季節ですが、体温を上げて卵を温めるトカゲが発見されました。



 南米に住むテグ・トカゲ (tegu lizard) です。体重は2キロぐらいですが、このきれいな皮のせいでバッグなどに珍重されてきた、可哀想なトカゲです。

 南米のトカゲなので春の10月頃に卵を産み温めるそうですが、その頃だけ「恒温動物」になるのだそうです。

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 http://advances.sciencemag.org/content/2/1/e1500951.full 全文がこちらで読めます。

 繁殖期以外はほとんど発熱していないようなので、体温が高くなるということが見つかりにくかったのかもしれません。

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 緑が巣穴の温度、茶色が日向の温度、そして黒いのがトカゲの体温で、10月に巣穴の温度よりも10℃くらい高くなっているのがわかります。この頃、卵を産んで温めるのです。

 こちらがトカゲの顔。

 そしてこちらがサーモグラフィーで撮った発熱しているトカゲです。

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 見事ですね。

 今まで、鳥類と哺乳類だけが恒温動物で、恒温の爬虫類が見つかっていなかったので、鳥類と哺乳類の高温性は収斂進化なのかと言われていたり、恐竜は恒温だったものがいたに違いないとか言われてはいましたが、現存の爬虫類で恒温と呼べるものがいなかったため、動物進化の謎のひとつと言われていたのですが、これで爬虫類も熱産生が十分にできるものがいることが証明され、爬虫類・鳥類・哺乳類という羊膜類の共通祖先が恒温だったということが簡単にそうぞうできるようになりました。

 大昔のことが現存の動物で次々と明らかにされていくのを見ているのは痛快です。






by STOCHINAI | 2016-01-29 19:07 | 生物学 | Comments(0)

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